プロローグ
最後まで完成するといいなあ。
死にたいなあ。
平日の昼下がり。とても良い天気だが、外はびっくりするほど静かだ。しかし、それも当然のことだ。なぜなら、今は平日の昼間なのだから。子供は学校に、大人は学校に行っている時間だ。今の時間帯、家にいるのは、定年退職を迎えた老人か専業主婦、それかニートくらいである。
僕はそのうちの一番最後に属する。何の役にも立たない社会のゴミ。それが僕。
そう考えているうちにまた落ち込んだ。
死にたいなあ。
僕は机の引き出しを開け、中からつづり紐を取り出した。
子供の頃は、もっと人生にわくわくしていたはずだ。なりたい職業もたくさんあった。そのうちのどれかにはなれるはずだと思っていた。
だけど、現実は甘くない。自分が付きたい仕事に就ける人なんてごくわずか。みんな我慢して、生きるためにコツコツと働いている。そんな大人はカッコ悪いと思って、僕は決して妥協しないぞと思っていたらこの体たらく。結局何にもなれないまま、気力も尽き果てている。
もう疲れたんだ。おやすみなさい。決してもう二度と目が覚めませんように。
こうして僕は、僕の人生を自らの手で終わらせた。凶器は自作の小説をまとめるために買ったつづり紐だった。