人生チカクカビン その8
怪物の一件は一応の収束をみた。
バトルのあった現場上空には、ようやく幾つかのヘリが飛び、惨状の把握に努めているようだが、怪物と王子一行の痕跡は既にない。
警察官である鈴木にとっては、上層部への報告という仕事が残っているが、王子一行の存在を伏せ、文章の書ける同僚に任せることにした。
最上層には王子の父であり、宇宙の支配者で、地球人の祖をつくった奴、いや、方である王様がいるはずだ(もちろん、地球人は事実を知らない。)が、アテにならないから・・・じゃなかった、念の為、誰が見ても怪しまれない内容にするよう指示も忘れない。
そして怪物の入ったカプセルは、ハザマによって手際良くM78星雲在住の博士に転送され、事実上の関係者である、鈴木・王子・ハザマ・サンドラ・ローズは安堵した。
戦い済んで、日が暮れて―――♪
と、哀愁を含んだ歌が流れそうな夕暮れ、瓦礫を背に、何気なく5人が立っている。ちょっと満たされた雰囲気。しかし、
「これって“戦隊モノ”のエンディングっぽくない?」昭和から来たサンドラがちょっと悪戯っぽく笑う。
「ホントだ。じゃあ、何かポーズでも取る?」王子も乗る。
「ポーズより、色ですね。キャラ的にやっぱり王子がレッドでしょうか?」と、ハザマ。
「うーん、僕は赤、あまり好きじゃないんだ。ブルーかブラックということで」という王子の返事。
「じゃあ、鈴木さんがレッドですね」ハザマの指名に鈴木は「・・・」。把握できていないのか?
「それじゃあ、アタシはピンクに決まりね♪」
「ピンク―――!? 何をもってピンク? アンタ、グリーンでしょー。戦隊知ってるの? ピンクって女だよー」
ローズの立候補にサンドラが爆笑する。が、ローズも負けない。自分のアタマを指差して、
「当然よっ。王子さまに、ちゃーんと、情報を入れて貰ってるんだからアタシ。分って言ってるのよ。おーほほほほほ!!! 女性キャラと言ったらアタシ以外にいないでしょう」
サンドラの周囲で軽く稲妻が走る・・・。
「私も一応女だけどね」
こいつもピンクをやりたかったのかっ? どうにもアホくさいケンカだが、二次被害が起きてはいけない。が、王子さまはこの状況を面白がっている様子。誰が止めるのか。
「まぁ、お二人とも落ち着いて・・・」やっぱりハザマが間に入ってしまったが、
「アンタはグレーでいいのっっ!!!」
ああっ!! ハザマに激しい落雷が・・・。




