人生チカクカビン その3
いくつかメールが届いてますのでご紹介します。
「いつも楽しく拝読しております。が、ローズさんはいつ活躍するのでしょうか」
「ローズさんメインでハナシを進めてください」
「ローズさんを出さないと、僕はもう絶対読みません」
「タイトルは“惑星のローズさま”でいいんじゃなくて?」
送信アドレスが皆同じなのですが、・・・長いものに巻かれるタイプ(つい積極的に)の作者は抗し得ませんでした。すみません。
鈴木は尚も、怪物の懐でモガいている。ようやく気付いたが、鈴木は怪物の掌に擁かれているのではなく、ミゾオチに食い込んでいるのだ。それを怪物は押えている。鈴木をでは無く自分のミゾオチをだ。
「なんでだ・・・」
すでに力の無い声で自問する。しかし、解説者ナシでは何も理解できないままである。が、まだ『最中』だ。まだ事件の『最中』なのだ。時間は止まらない。被害も止まらない。
「くそっ!」
ミゾオチ強打とカミナリ連打で怪物の動きは止まっている。今こそどうにかせねば! しかし、「俺、何か出来たっけ?」チャンスを活かしきれない男。
「一段落したら王子さんに、も一回メンテナンスしてもらわなきゃだな、クソリーダー」
「なんだお前、態度も言葉も悪すぎだぞ!」
「あたしは協力してんだよ。さっさと覚醒してっ」
女は更に空中に稲妻を走らせる。
「まてっ、こら、口で説明しろ! 何の為についてるんだよ、お前の口はっ!」
「メシ食うためだ」
同時にカミナリが怪物+鈴木を貫く。
「ぎゃぁぁぁぁ―ーー か、身体が持たん!」
「持つ持つモツモツ! 充分持つ!」
「と、とりあえず攻撃止めろ。ハデな戦い禁止だ。不況の日本に打撃与えるなっ。と、特に、民間のビルはっ! 再生不能になったらどうするんだっ! 分かってんのかっ」
「昭和だったら、ヒロインなのにーっ。なんか湿気るなぁ」
「いいんだっ。このバケモノの足の裏だけで何ヘーベイだっっ、何坪だと思ってんだっっ」
怪物の腹にめり込んだまま、無駄の多い会話をしている鈴木に、長ーい緑色のロープが忍び寄る。『リーダー』という言葉よりも、鈴木の短期記憶領域に保存されている『緑色・・・』
まさか!




