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人生チカクカビン その23

 鈴木、いやダイスの脳裏に再び遠い映像が浮かび上がる。


 巨大蛙の卵の核になったまま、薄暗い廊下を引きずられ、身体が移動しているのは感じながら、心は、深い闇の底へ沈んでいくまま、何も出来ずにいた。


 真っ暗、多分1cm先も見えない暗闇。・・・しかも身体の自由が全く利かないというのに、不安も焦りも感じない。先ほどの戦いで、エネルギーというエネルギーを使い果たしてしまったからか? いや、この闇特有の、温く、重力の薄い感じがそう思わせるのか? とにかく、ダイスは、漆黒の底へ落ちながら、脱力の心地よさを味わっていた。いずれにしても、こうリラックスするのは、久しぶりなのである。


 既に、使命の達成とか、生への執着なども・・・ない。思った以上に、ここち良いのだ。




 ・・・しかし、いくら作者が飽きっぽくても、これがエンディングでは、何がどうなっているのか、さっぱりだ・・・。の、ままである。更に、作者は、「笑っちゃう」の部分がないと、つまらない体質で、ここ数話の、過去を振り返った説明的部分は、自分の中では「終っている」ので、ちょっと単純作業じみて、「つまらない」のである。


 「作者がつまらない」・・・これは、致命的だ。なにしろ、趣味で書いているだけの、商業的でもなんでもない作品で、つまらなくては、どうしようもない。義理・人情・サービス精神、或いは、「始めた物は、ちゃんと最後まで」という責任感で、やれる人は素晴らしい&尊敬しますで賞を、陰ながら送ります(さと)と、したいくらい、頑張れない。


 ので、せめて、次のギャクが書けるところへ辿り着くのを、一番近い目標に定めて、この心臓破りの坂を、ふらふらとしながら、マラソンを続けるのでありました。




 さて、身体はスライムの中に置いたまま、謎の漆黒の闇を魂だけで流されているダイスは、ふと、少し先に『人』の気配を感じ取った。が、感じたものの、四肢が無いのだ、どうする事もできない。


 そのまま流れに身を任せていると、その『人』の方から近付いてきた。


「よくここまで来れたね」


「ここまで?」


「そう、ここまで」


「ここ・・・って、どこなんだ? あの世か? オレは死んだのか?」


「うーん。死んではいないと思うけど」


 深刻な筈の会話だが、相手は笑っている感じがする。

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