表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/24

人生チカクカビン その20

 人間、生き延びる為に必要な最終手段は、「気合」や「気力」でもないらしい。何故なら、今、ダイスは「気」を失いかけている。

 命令系統は、小脳だけが一手に引き受け、戦いを保っているのみ。


 生命力、というか、生き延びる力は、「産まれつきの危機回避能力」に併せて、「徹底的に訓練され、身体の隅々まで染み込ませた戦闘パターン」の実行によって発揮されているようだ。


 ダイスは、どちらにも優れている。


 お陰で戦いは、・・・無駄に長引いている。

 更にお互い、「次の一手」が無い。

 よって、先に力尽きた者が敗者となるわけだが、相手のモンスター・蟻ダイスは、機械的に刃物を振り回し、集合離散を繰り返すだけで、全く疲れなど感じられない。


 一方のダイスは、すでに弾は尽き、補助用のナイフ類は全くと言っていいほど、役にたたないでいる。信じるのは、自分の蹴りと拳のみ・・・。


 時間の感覚もわからなくなっているが、多少の時は流れたようだ。ダイスは自分の粗い呼吸と疲労感でそれを感じている。が、『任務』だ。


 しかし、そうして生じた僅かな隙を、モンスターは逃さず、ダイスの胸をやいばで貫いたのだ!!!



 どうして、そうなのか?


 人は、命を失いかけたとき、全ての音を失うらしい。


 そして、全てのものが、ゆっくりとくっきりと見える。


 が、ダイスは自分の胸を貫いた刃を見つめたまま、後方へフワリと飛ばされるのを感じ、自分の身体がどうなっているのか、確認さえできないままでいた。


 視線は、煌びやかな大広間の天井を見たまま、動かすこともできない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ