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人生チカクカビン その18

 ダイスが初めてシェスと対面したのは、この日だった。


 陽光輝く王宮へ、一歩足を踏み入れた日。


 大きな門、…のすぐ横の、超小さい門から門兵の視線をバリバリ浴びつつ、大きな身体を小さくして入った。背が周囲より一段高い者の悲しい所は、つい猫背になって成長してしまう部分であろうが、一際大きなダイスは、更に猫背を強め、低姿勢で中に入ったのだった。


 …のに。入った途端、激しい矢の雨!


「うおぉぉぉっ」


 その時の彼にとって最もスキが大きかった上空から、何故か激しい矢の雨・雨・雨…土砂どしゃ降りっ!!


「お、王宮だよな…」


 信じがたいが、ハッキリ狙われていた。とにかく、死にもの狂いで逃げつつ進んだ。だって王様に会うという任務だったから…。

 しかし、どうにか辿り着いた建物の扉が開いた瞬間。今度は、両壁から一気に槍が向かってくるっ! ダイスの動きを狙ったように、敵意むき出しで自動的に壁から飛び出してくる!!!


「絶対おかしい!」


 忠実・実直・素直な心、の彼でも疑問が出るだろう、そうだろう。ここまで疑わなかった方がヘンだろう。が、任務遂行を目指してダイスは進む。


 次に、悪意の廊下をクリアすると、「さぁ、どうぞ」という貼紙がついた大きなドアが面前に現れた。どうする? ダイス。イヤラシさ剥き出しの貼紙ではないか。が、『忠実・実直・素直な心、の彼』は、躊躇ちゅうちょなくドアを開いた。


 …やっぱり。広間には、ありえない姿のモンスターがいた。アリエナイ…という感想をだれもが漏らすであろう。アリエナイ…、ありの姿とダイスの身体とを上手にブレンドされたような、見事にみにくいモンスターが、広間の中央に、大チェーンソー装備で待ちうけていた。


「めちゃめちゃだな・・・」



 そろそろ感付いて当然な状態だが、『故意』だ。もっと前に分かっていただろうが、『故意』だ。

 しかし、ダイスは進まねばならない。「くだらない」と思っても進まねば任務を全うできない。そうだっ! 任務とは・・・、



「よ―――く聞いておけ! 王族の中でも、唯一の嫡男であらせられる方の…隠し子であるお子様のお相手だ」



 何話か前に彼の上官から聞かされた言葉である。

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