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暴食の剣と歪の王  作者: 紫禁城
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Crazy Train

 強烈な明かりに目の奥が痛くなるがそんなことは、今自分が置かれている状況と比べれば大した問題ではない。


 どういうわけか診察台にゴムバンドで縛り付けられている。更に救いようがないことに麻酔でも打たれたのか身体に力を入れることも、抗議の声を上げることすらできない。おまけに麻酔のせいか思考がぼんやりして、どうしてこのような状況に置かれているかがわからない。



「騒がれたり暴れられると面倒だからちょっとだけ小細工させてもらったわよ」


 声がした方にやっとの思いで首を向けると血まみれの白衣を着た女が立っている。あまり考えたくはないがその血は自分の血だと考えるのが妥当なのだろう。

 マスクをしているため、年齢は分からないが女は創作物に登場する若い女医のイメージを具現化したような姿をしている。



「色々と聞きたいことがありそうな顔をしているけどあまり時間がないからこっちの都合だけ手短に話すわね」



 女は俺の表情から思考を読み取ってくれたが、そういう優しさがあるならこの理不尽な拘束を今すぐ解いてもらいたい。



「強いて言うなら貴方がここにいるのは私達の暇潰しを兼ねた実験のため、とでも言おうかしら、」



 前言を撤回しよう、優しさの欠片もあったものではない。わけのわからない実験とやらに付き合うために自分はこのような仕打ちを受けているのか。そう思うと怒りが湧き上がってくるが、どうすることもできない。



「与えられた力で好き勝手にするのも良いし、自分なりに正義を振りかざしてみるのも良い、でも簡単に死ぬのだけはやめてね」



 興醒めだからと付け加える女の目は、姿形こそ人間だが全く別の生き物のように感じた。例えるならさながら『遊星からの物体x』といったところか。



「それじゃ最後に一つだけ……」



 女がパチンと指を鳴らすと、ブレーカーが落とされたかのように再び視界が闇に閉ざされた。その中で再び頭の中に甘ったるい声が響く。



ーー喰らい尽くせーー



 どうせ最後になるなら昼飯の時に味玉をラーメンに乗せておけばよかった、我ながらどうしようもない後悔をしながら俺は意識を手放した。

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