秘密戦隊
自宅警備員シリーズ、三作目!?
「ありがとう、イエロー。オレたちは、君の尊い犠牲を決して無駄にはしない」
丘の上。リーダーのレッドが、燃え上がる敵の基地を見下ろしながら、その方角に向けて敬礼した。
『おい、何が尊い犠牲だよ! オレだけ敵地に、置いてきぼりにしやがって!』
近くの無線機から、抗議らしき声が聞こえてくる。
「あー、今なにか聞こえた? 空耳だよねー」と、ピンク。
「ああ、空耳空耳。イエローはもう、星になったからな」と、ブルー。
「ああ。彼のお蔭で、オレたちは無事に脱出できた。感謝しないとな」と、ブラック。
『オレを囮に使いやがって! テメーら全員、後でゼッテェぶっ殺す!』
「イエローのお墓には、大好きだったカレーを供えてあげようね❤」と、ピンク。
『イエローだからって、人を勝手にカレー好きに設定すんな!』
「別に墓なんて、要らなくね? 遺体は無いんだし」と、ブルー。
「それにあいつは、DQNだったしな」と、ブラック。
『墓と学歴は、関係ねーだろ!』
「はっきり言って、負け組だよねー」と、ピンク。
「それに、元ニートだったしな」と、レッド。
『自宅警備員だ!』
「それじゃ帰ったら、祝勝会やろうよ。ボーナスも出るだろうし」と、ピンク。
「お、いいねー。貸し切りで、世界平和万歳と盛大にやろうぜ」ブルーが指を鳴らす。
「オレはボーナスで、車買うわ」と、ブラック。
『無視すんな!』
「いよいよブラックも、ペーパー・ドライバー卒業かぁ」レッドが口笛を吹く。
『テメーらなぁ!』
「んじゃ、とっとと帰ろうぜ。忘れ物ねぇな?」ブルーが踵を返す。
『あるだろ!』
「無いよー❤」と、ピンク。
「んじゃ、撤収ぅー」と、レッド。
そして。イエローを除く秘密戦隊ゴレンジャは、壊れかけの無線機を残して帰路についた。
『テメーら、楽に死ねると思うなよ!』
それが、無線機から聞こえた最後の声だった。
それからほどなくして。敵の基地は盛大に爆発炎上。
イエローが星になったのかどうかは、誰も知らない。
秘密戦隊ゴレンジャ。すでに五人ではなくなっているが、彼らの苛烈な戦いは続く。
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