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プロローグ

暇だったときによくしていた十分ぐらいで大まかな説明だけで一つのストーリーをつくるやつがたまってきたので、とりあえず書いてみようと思ったけど、勘違いものはご都合主義になるので、そういうのが苦手な人はあまりオススメできない上に、まともに書くのが久々なもので、正直書いた後に読むとよくわからないところが多々あって修正に修正を重ね続けていたのですが、その結果文章がかなり淡々としてしまっておもしろみもなく、どうすりゃいいんだこれは、といった感じです。

――とある世界に、まるで一つの大陸が二つに切断されたかのような二つの大陸があった。


東の大陸・イース

西の大陸・ウェルス


この大陸間では、過去諍いが絶えず、小さな戦争は数えきれないほどに、大きな戦争なら数回ほど行われており、そのどれもが被害は甚大で、いつだってそれは弱い立場の民が被ってきた。

戦争資金の調達による貧困、兵糧の徴収による飢餓、徴兵による人口の減少。

家族が、友達が、恋人が、昨日までいっしょに笑い合って喋りあってはしゃぎ合っていたというのにその日々は未来永劫奪い去られてしまう。

怒り・憎しみ・悲しみ・絶望、そんな感情が蔓延していたそんな時、人々に光明が現れた。

東の大陸・西の大陸、両方の大陸から、未来英雄として語られる、この両大陸の和平を実現させた偉業を成した二名の王。


西の大陸にして戦争の最前線に位置する皇国ディパング、賢帝『ヤマト』

東の大陸にして大陸最強の軍事力を持つ軍事国家リメリス、平和王『ヘイルメス』


この二人が和平を成し、そして大陸間に巨大な橋を建造し、中立平和都市を作り上げることになる。

そして両大陸間で戦争が起きることもなく百年余りがすぎた、すでに軍事力そのものが必要ないのではないかと軍事力縮小に対する言論が飛び交う中、その意見を反論するかのごとくとある国で紛争が起きた。

賢帝が生まれた国の南に位置する国『聖テレジア王国』。

王国最強と名高い騎士『マルクス・アスフォード』が反乱を起こし、その結果国は二分にされる。

マルクスに対し兵は信頼や尊敬の念が多く存在し、王国側となる兵隊よりも多くの兵がマルクス側についたこともあり、王国側の劣性かと思われたその時だった。


――英雄は誕生した。


王国側にマルクス側と内通する王国側の有力者である大臣を暴き、彼は常に最前線へと立ち、敵を撃破し続ける。

そして彼は劣勢かと思われた状況を吹き飛ばし、マルクスとの直接対決まで持ち込むほどに勢いを持ち、その勢いをもってマルクスとの一対一の戦いの結果勝利したのだという。

その働きを持って彼は王国より、最前線を行くその勇ましさから『勇者』と呼ばれた。




「へぇーすげぇなそりゃ」


各国を回る商人アルアは知り合いである聖テレジアで店を開いている店主が興奮した面持ちで話し続けるのを嫌な顔一つせずに頷きを交えながら聞いていた。

聖テレジア王国の紛争は昨日終了し、勝利の一報は瞬く間に国中に広まった。

昨日のことだというのにこの早さだ恐らく既に外国にも広まっていることだろう。


「すげぇんだ、あれか、皇国ディパングっていうのはすげぇ国だ、何しろ英雄を輩出する国ってぇもんだからよ、賢帝ヤマト!勇者シオン!スカイライト公爵家三男ってもんだ」


話のネタになるだろうかと聞いてはいたが、かなり長い、しかし嫌な顔をするわけにもいかない。

小さな好感度の積み重ねが大きな利益になることは多々ある。

長年この商売をしているからこそ分かってはいる、だからこそ何処かで見切りをつけてこの場を褫奪しなければならないのだが、この興奮具合だ、どこかで止まるということは考えられない。


「父さん、これ買って!」


話をしていると、横に近づく十代前半くらいの少女が店の商品をさして、アルアの服を引っ張る。


「お、おぉユナ、お父さん今――」


「買って買って!」


「すまんな……これ一つくれないか」


「おお、毎度あり!」


「すまんが大きいのしかない」


そういって札のお金を渡すと、店主は奥へと引っ込んで行った。

その様子をみてユナの頭を撫でて褒める。


「よくやった、あの店主はいいやつなんだが話が長くなるのが悪いところだな、しかしよくわかったなユナ」


「えへへ……お父さんちょっと困ってると左手をピクピクッてさせるんだもん」


そういわれてアルアは左手をマジマジとみる。

そんな癖があったとしたら困り者だ、見抜かれたらかなり商売に邪魔になる。

困るなと思いながら左手をみるとピクピクと動きだし、それを見た瞬間に笑いがこみあげてくる。


「よし、お釣り――ってどうしたんだいアルアさん、楽しそうだな」


「いやいや娘っていうやつぁ、親の背中を見てるんだなって理解しなおしたのさ」


「はは、アルアさんみたいにならずに奥さんみたいにならなきゃいけないぞ、ユナちゃん、こんな腹の出たおっさんじゃなくて美人さんにならなくちゃ」


「うん!」


「はは……元気よく頷かれちゃったぞ」


アルアは苦笑いでそういうと他の二人は笑う。


「それで、続きなんだけどよぉ」


「おおーっとすまんな、もうすぐでないといけねぇ!」


先ほどの話を思い出してしまい、話を再開し始める店主に思わず声を大きくして話をさえぎる。

店主は少し残念そうな顔はしたが、すぐに頷いた。


「そうか、しかたねぇな……じゃあなアルア、ユナちゃんもな」


「おう、またきたときにでもよるわ」


「うん、じゃあねおじさん!」


別れを告げて手を振りあって荷馬車を止めてある宿へと向かう。


「ガルン、待たせたな」


「気にしないでいいですけど……ユナ嬢も疲れたでしょう」


ガルンと呼ばれた荷馬車から顔をだしてきた、ガタイの良い少し焼けた肌とライトブラウンの髪をもつ剣を携えた剣士へとアルアは声をかける。

ガルンは首を横に振りアルアへと返答すると、ユナへと手を伸ばす。ユナは礼を言った後にガルンの手を握り、荷馬車へと乗り込む。

アルアも乗り込み、馬の手綱握り、上下に動かすとパチンと軽く馬を叩き、馬はゆっくりと動き出す。

城下町の門で手続きを済ませた後、舗装された石畳の道路を歩くこと数時間、石畳は舗装されていない土の道路へと変わり、荷馬車をガタガタと揺らしていく。


「次はどこにいくの?」


「次はペルア村です、ここから南東にあるエウリカにある国境付近の村です」


関所を抜け、走り続ける。

既に話せる内容は話しつくした様子で、ユナは窓を眺めて暇を潰し、ガルンは眼を瞑り冥想をしているようだ。

ユナはボーッと眺めていると、何かを思いついたようにアルアへと顔を向ける。


「そういえば父さん、さっき何を話してたの?勇者とかいってたけど」


「お、おぉ、えーっとたしかテレジアの紛争でものすげぇ英雄が現れたって話だったな」


「へぇーどんな名前なの?」


「名前?おぉ……なんだったかな、ディパングのスカイライト家の三男で――シ……すまん、忘れちまった」


「英雄と呼ばれるぐらいですから強いのですかね」


「おっ戦いたいか?」


「……まぁ」


「おめぇ冷静沈着だけどやっぱ熱い心があるよな、おっとこっのこってやつか」


「や、やめてください」


少し顔を赤くして頬を掻くガルンにアルアとユナは軽く笑い、その様子にガルンはさらに顔を赤くした。

そのあと父とガルンの二人が会話をし始める、ユナは若干さみしさを覚えたが、気にせずに外をみると、川が見えていることに気が付いた。

たしかペルア村に一度いったことがあるが、その時にも川が見えたはずだ、もうすぐだろう。

いい天気で川が美しく光を反射している、きれいだなぁなんて思いながらじっと眺めていると、何か大きなものが流れていることに気が付いた。

――人だった、一瞬ゴミかと思ってしまうほどにボロボロになっているが、浅瀬でピクリとも動かず、川の水の方向にゆっくりゆっくりと砂利に止まり川に流されを繰り返している。


「と、父さん!人が、人が流れてるよ!?」


「人?なにいってんだありゃただのゴ――人じゃねぇか!?」


「だからいってるじゃない!止めて止めて!」


アルアは馬の手綱を引いて馬を止める、その瞬間ガルンは外へと飛出し、川へと向かい、少年を引き上げる。

ユナも飛出し、ガルンが引き上げた少年へと近づく、その時初めて流されていた人間の顔を見た。

自分よりも若干歳が上であろうしっとりと髪が濡れた少年は、ボロボロの軽めの鎧に身を包み、剣を携えていた。


「生きてるの……?」


「えぇ、大丈夫そうです」


「ペルア村に医者がいるからないったんそこまで運ぶぞ」


最期に近づいてきたアルアの提案に二人は頷き、少年をガルンが荷馬車へと乗せ、馬を走らせる。


「……大丈夫かなぁ」


ガルンは少年の剣を引き抜き、錆びない程度に手入れをしながら、ユナへと視線を向けて頷いた。


「息も荒くないですし鼓動がおかしいわけでもありません、熱はなさそうですし――表面的なものではありますが、問題はないでしょう」


「うん……」


ガルンにそうは言われても心配そうなユナだったが、少年へと視線を外へと向ける。

村が見える、ペルア村だ。

いつもより速く、大きく揺れる馬車の中、ユナは少し安心した。

――その時だった、荷馬車がガタンと飛んだのは。

浮遊感、ガルンが浮くほどに揺れ、何事もないように着地する。

それは当然少年の体も浮き――支えるものもなく、思い切り後頭部を打ちつけた。


「なんかすげぇ音がしたが大丈夫か?」


「……」


「……」


アルアが問いかけてくるが、あまりの音の大きさに沈黙する両者。

二人の感想は一言で表すとすると――ヤベェ、だ。


「う、うん……?」


しかし二人の心配と反して、少年は息を吹き返し眼を開ける。


「……ここは誰だ?」


言葉がおかしい、ユナもガルンも頭を打ち付けたせいでおかしくなったのだろうかと考えて不安になるが、少年は上半身を動かし、二人をとらえ、周りを見回す。


「馬車……?」


「あ、あの大丈夫ですか?」


「えぇっと、ここは……?」


「荷馬車の中です、川に流されていたあなたを保護しました。私はガルン、彼女はユナ様、そして今馬を動かしているのはアルア様です」


「川……あぁ、ありがとうございます」


見たところ言葉づかいは可笑しくないし、意識もはっきりしているようだ。


「兄ちゃん、起きたのか?」


「はい、ありがとうございます」


「んで、兄ちゃんは何で川に流されてたんだ?」


「……賊に襲われ森に火をつけられ矢を放たれ、ギリギリなところを川に飛び込んだ感じですかね……?」


少年の返答に対し、三人同時に顔が引きつる、とんでもない状況から生還してきたもんだ。


「マジか……そりゃ災難だな、んでおめぇさんの名前は?」






「はい、シオンと言います」







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