世界の仕組みが変わったとき
19☓☓年 春。
人間が住む『人間界』にとてつもない異変が起きた。
君たちも周知している、『魔法界』と境界線の接触だ。
『魔法界』とは、何百にもなる魔法を使いこなす魔術使い達が統治する世界である。
その世界との交流は〝繋がった〟ときからわずか半年後に開始した。『魔法界』から外交官がやってきたのだ。彼らは、自分たちは私たちの世界を『人間界』と呼び、存在は把握していた、と言ったそうだ。そして、侵略の意思はなく、共存を切に願うと告げた。
世界、いや、『人間界』の長官達は、最初は「攻めてくるのでは」と懸念していたが、彼らの行動を見ているうちに「交流しよう」と決心したという。
そうして交流が本格化し、私達が住む日本にも、外交官や魔術使いが来日し始めていた。
だが、接触して2年後。重大な問題が発生した。
それが、夢喰いの発生である。
夢喰いとは、『魔法界』でも厳重警戒生物に指定されている魔術生物である。生物の気力を喰らい、最悪死に至らしめるという、悪魔のような存在だそうだ。
ただし、人間に対する被害は違う。夢喰いは、人間の『希望』、『願望』、『夢』を喰らうのだそうだ。もし、夢喰いにそれらを喰われたら、最悪の場合、二度とそれらを持つことは不可能だという。
魔術使い達は『人間界』に夢喰いの排除の許可を要求。『人間界』はこれを快諾した。その時、一人の『魔法界』の外交官は、ある提案をした。
「人間と〝パートナー契約〟がしたい。」と。