第6話……いやさ、泣いていい?
はい、少し早く出来たので投稿しまーす
拝啓……いや前略だっけ? まぁいいや面倒だし
母さ、もとい糞ババア様と……父さ、もといコスプレ野郎様へ
そっちはどうでしょうか?俺が死んだのは猛暑の真っ只中だった気がします。皆干物になれ
相変わらずのバカップルですか? 相変わらず変態ですか? タンクローリーに潰されて死ねばいいのに
まぁ無駄に運のいい2人なら平穏無事にウザイくらいの幸せそうな笑顔でいちゃついている事でしょう。毎日毎日息子無視して居間でイチャイチャ燃えるぐらいなら、いっそのこと樹海辺りでマジで燃え尽きてください
俺は元気ではないですがある程度頑張ってます。いきなり木が倒れて潰されたり、バカみたいな巨大な鳥の餌にされかけたり、それを助けようとした姫さんにぶっ飛ばされたり、昨日血を吸われたくないから拒絶したら姫さんの癇癪で部屋が全壊して現在物置で寝てたり、……でも、何故か生きてます……コレって泣いていいよね?
え? 今の状況ですか? そうですね〜、今の気温は約20℃、湿度は50%です。若干熱いけど結構快適な温度です。普通なら……
ちなみに、今の俺にはキツ過ぎる温度です
何が言いたいかと言うと……
吸われ過ぎてミイラ一歩手前の状態になってます
= = = =
「み、水……一滴でいい゛がら゛……! あと、出来れ゛ば……ぞうげづ剤……を……」
「わ、わあぁぁ〜、吸いすぎちゃいました〜」
いや、うん姫さん。あたふたする前に水分ください
出来れば増血剤も一緒にくれると本当に嬉しいです
「こ、こういう時のアル願いです!」
「呼びましたか?」
「あ、アル! 昴さんが大変なんで『ドグシャ……』」
アルフレットさんは来て早々姫さんの頭に容赦のない【寸止め】をして床に沈めた……
いや、マジでどうやってんだろう?
「……ぁ…………ぁぁ〜……」
「コレは……最短ルートを突っ走る。しっかり掴まっておけ」
姫さんを叩き潰した後、俺を持ち上げていきなりアルフレットさんは走り出した
ちなみに、最短ルートは……森だった
うん、枝が足に刺さってます。というか、今俺の事盾にしましたよこの御方
「見えた! 音無、少し冷たいかもしれんが我慢しろよ!」
「………………ぇ?」
その言葉を聞いた後、全身にとんでもない衝撃を受けて俺の意識は吹き飛んだ
= = = =
現在、姫さんとアルフレットさんを正座させている
ちなみにさっきのやり取りは中庭〜裏山辺りだが、帰って来た瞬間大量の砂が風に流されて来た(ちなみに直撃した)ので、砂だらけだ
で、流石に砂の上で正座は痛いので屋根の下にマットを敷いた状態で正座させている
ちなみに俺は服を乾かしたいので外に立っている状態で説教中だ
「……いやね、おやつとか食事とか輸血パックとかはね、もういいよ。慣れた。仕方ないし……でもさ! 干からびるまで吸うとかマジで止めて! しかも、食事とかじゃなくて「喉が渇きました〜」って俺の血をドリンク感覚で飲まないで! つーか朝から飲み過ぎなんですけど?!」
「うっ、ご、ごめんなさい……」
流石に悪いと思ってるのかだんだん小さくなっていく……が、朝から不幸続きの俺は機嫌がかなり悪いのだ。昨日、部屋ぶっ壊されたし……
「アルフレットさん、助けてくれてありがとうございました。でもっすね、いきなり頭掴んだと思ったらいきなり森を全力ダッシュしないで。いや、するなら俺を盾にしないで!? しかもその後湖に叩き付けたよね!!? 上空10mくらいから?!」
「うっ、す、すまないな……」
こっちも流石に気まずいのか……こちらを見ようとしない
そして皆さん、こんだけ悲惨な目にあって俺が生きてるのが不思議でしょうがないだろう? そこ、小説だからとか言わない!
まぁ……何で生きてるかと言いますと……
「で、でも昴さんは不老不死だから大丈夫です! 一回や二回ぐらい死んでも不思議じゃないですよ!」
そう、前々々回……この姫さんに吸われた時に俺は人間でありながら化物になってしまった……
自分で着けた能力名は【不完全な不老不死】……ネーミングセンスはほっといてくれ
まぁ、簡単に言うと……何があっても死なない身体になったって事……
羨ましい? 不老不死なんて最高じゃないか♪
ありがとう皆死ねば?
いやね、不老不死ってさ、つまり成長期がこない、どんなに痛い事があっても楽にならない、盾にされるの3拍子だよ?
「にしても、本当に特殊な能力を手に入れたな。確かに姫様達吸血姫には血液を吸った相手に何らかの能力を目覚めさせるが……このような能力聞いた事もない」
「……ねぇ、もしかして姫さんに首噛まれた時ってさ、運だのみだったの?」
「えっと……まぁ…………」
「ああそうだ」
あぁ……ヴィーザルさんマジでありがとう……
貴女が介入してくれたお陰でなんとか生きてます。出来れば生き返るだけにして欲しかったけど……
『いや、今回私は何もしてないんだが……』
ん? 今声が聞こえたような? 気のせいだな
それより、着替えたい。老けなくて死なないだけで、それ以外には意味ないんだよなぁ……極端過ぎるよこの能力
「アルフレットさん、他の服ないですか?」
「す、すまない。全部洗濯中だ。乾くまで待ってく『ボツ…』……ん?」
いきなり、本当にいきなりどしゃ降りになった。前が見えないくらいの……
ちなみに、現在の皆の位置は……
俺……外
姫さん……屋根の下で正座中
アルフレットさん……姫さんと同じ
洗濯物……俺と同じ
……ゴッド、俺なんか悪いことしましたか?
「ふぇくちっ!」
「……なんというか、朝から凄いな」
「ここまで不幸な人……初めてみました」
ふっ、ふふふ♪
……もうね〜、色々昨日から会ったんだけどね〜
今完全に心が折れました
「……うっ、うぇ、うええぇぇ〜ん!!」
= = = =
濡れた服を脱いで毛布にくるまり、暖炉の前でミノムシ状態
……今程自分が惨めに思えた時はない
……また泣けてきた
「落ち着いたか?」
「……ぐすっ……ぐすっ……す、少しだけ」
「……えっと、身体は温まって来ましたか?」
「……もう少し」
優しいけど、今日の死亡回数5回の内、3回はこの2人のせいなのを俺は忘れない
「ほら、ホットミルクだ。とりあえず飲め」
「ありがと……ズズズ、しょっぱ!!?」
「……あ、あれ? もしかして塩と砂糖間違えたか?」
……追い討ちか? 追い討ちだな? 追い討ちなんだな?
「うっ、うぅ〜……」
「あ、ああ泣かないでください昴さん! ほ、ほら、美味しいトマトジュースですよ?!」
「うぅ〜、ズズズ……ブバァッ?! コ、コレ血だよ〜!!?」
「あ、あれ? もしかして、トマトジュースの隣のを間違えて入れちゃいました?」
……ふっ、ふふふ……あはははは♪
今、完膚無きまでに心が砕けました
「うええぇぇぇぇ〜ん!!!」
「す、昴さん?! 何処に行くんですか?!」
「うるさいぃ〜!! 皆大嫌いだ〜!!」
「お、音無?! そっちは危険だ! 戻ってこ『バキッィ!!』「ぎにゃあああぁぁぁーーー!!?」……遅かったか」
ちなみに今の状況を説明すると……床が腐ってた→泣きながら全力疾走→踏み砕く→予想通り
ゴッド、本当に俺何かしましたか?