第五話……美少女に囲まれた奴隷生活。こんな特別求めてません
遅くなってすいませんでした
次回はなるべく早く更新出来るように頑張ります
夜「という訳で、楽しみにしてくれた方……がいたらいいなぁと思いつつ投稿します!」
昴「アンタが一番謝れや!!!」
夜「バルサァッ!!!」
夜、とある城で……
警察を呼ばれてもおかしくない状況が繰り広げられていた
少女が少年を追いかけているのだ
まぁ、これだけ聞くとあまり危機感を感じないと思われる
だから捕捉して説明するとしよう
目に妖しい光を灯し、舌舐めずりをしながら時々幸せそうに笑う少女が、涙を流しながら逃げている少年を追いかけてるのだ
少年は曲がり角を曲がってすぐの扉に入り、入られないように鍵を閉めてから近くにあった物を扉の前に置き始めた
足音が遠ざかっていくのを聞き、ホッと息を吐いた
「もう逃げられませんよ♪」
「ッ?!」
不意に後ろから聞こえた声に振り向こうとすると、ベッドに押し倒され、右手と左足を縄で縛られる
よく見るとこの部屋には二つの扉がある。もう片方から入ったのだろう
「なっ、何するつもり?!」
「さっき、ちゃんと言いましたよ? 着替えてください……って」
「や、やだ止めて……そんな事したくな……ひゃん?!」
そんな少年の言葉を遮るかのように、女性は白魚のような指を少年の服の中に侵入させる
冷たかったのか、少年の口から可愛らしい悲鳴が上がり、少女は嬉しそうに目を細めた
そして、少年に妖艶な笑顔を向けた後……優しく、少年の体を触り始める
「んんっ……ダメ、お願い……だから……ひゃぅ?! へ、変な所を触らないれ?!」
「ダメです。コレは逃げた罰なんですよ? 分かってますか?」
「わ、わっ、分かって……たまるかーーー!!!」
その少年の叫びが聞こえたのか、扉が破壊され……赤い髪の女性が険しい顔をして入ってきた
一瞬で場の空気が凍り付いていく
先程まで嬉しそうに少年の体をまさぐっていた少女でさえ、完全に凍り付いている
そして、被害者である筈の少年も冷や汗を滝のように流している
「姫様……前も言いましたが、少しばかり自分を抑えてくれませんか?」
「は、はいぃ……」
「そして音無」
「は、はい?!」
「私は廊下を掃除しろと言ったよな? 何故こんな所で上半身裸で姫様と戯れてるんだ?」
「違っ?! 襲われてt「音無……後で反省室に来るか?」ごめんなさい!!!」
女性は姫と呼ばれた少女がこっそり隠そうとした物を見つけ、龍でも尻尾を巻いて逃げ帰りそうな殺気を出しながら少女を部屋の隅に連れていく
ちなみに少女は正座させられている
「姫様……コレは何ですか?」
「さ、猿ぐつわと手錠です」
「何故こんな場所にあるんでしょうか?」
「わ、私が持って来たからです」
「何故持ってきたんですか?」
「す、昴さんを掴まえて美味しい夜食を食べようと思ってたからです。……あと、ちょっと自分へのご褒美に昴さんの体をくすぐったりしようかな〜って」
その瞬間、雷が落ち、数瞬遅れて地震が起こった
姫様は頭から大きなコブを作りながら床に頭を……めり込ましている
そしてめり込んでいた姫さんに容赦のない踵が落ちる
姫さんの体からどうやったらなるのか分からない(正確には分かりたくない)音が響いた後、ゆっくりと……赤髪の女性は語り掛けるように言い始めた
「姫様、朝も昼も夜も飲みましたよね? 世の女性がどれだけダイエットを頑張っているか知ってください。それにさっきメイド服とか着せてましたよね? 我慢を覚えましょう。私だって……買い物や髪の手入れを我慢して城の金銭の管理や姫様のお召し物を揃えたり、食事の毒味役、メイドの教育や兵士の隊列やその他もろもろをやってるんですよ? ねぇ、分かってますか?」
何故だろう? 個人的な意見がちらほら聞こえたような……しかもかなり苛立ってる
「全く姫様は私の事を少しは……ん? 音無、まだいたのか?……これで掃除を再開出来るな? 姫様なら私が見ているから早く掃除をして来てくれ」
「は、はいぃ!!!」
その後俺は青い顔をしながら廊下に塵一つ残さず綺麗に掃除をした
= = = =
side
――昴――
いきなりこんなシーンを見せられて混乱してる方ばかりだろう
まぁ、そんな方々の為に昨日の出来事を説明したいと思う
……そうだな。気絶した後の説明から入ろう
3,2,1……回想スタート!
昨日……
「…………つまりアンタ等は人間じゃなくて魔族なの?」
いや自分で言ってるのに全く現実味がないワードだ
魔族? 魔力持ってて何故か毎回善人の勇者達に倒されて「例え私を倒しても第二第三の魔王が〜」とか言う奴の手下的存在の魔族か?
正直信じられんが……一度俺は死んで、ヴィーザルさんに助けて貰ってるからな〜
あり得ないって言いたくても言えないな(むしろ死んだけど何故か生きてる今の状況にツッコミたいぐらいだ)
「はい。それも私は魔族の頂点である吸血種の中でも最上位と言われる吸血姫なんです」
そう誇らしげに言いながら姫さんは胸を反らす……うん、なんというか2つのロケットの弾頭がこっちに向いてて目のやり場にとっても困ります。そして右斜め後ろから氷柱のような視線に刺されて死にそうです
「ごほん……と、とにかくそれは置いといて、何でいきなり俺奴隷宣言? 何? 人間は貴重な労働力=見付けたら即GET!みたいな感じ?」
「違います! 私達はそんなに物騒じゃないです! ただ、ただその………………わ、私の唇を奪ったんだから責任取ってください〜/////」
「…………はい? 唇? 」
唇
英名【lip】
意味:口腔を囲む薄い皮に包まれた部分。飲食・発音・呼吸の器官
What!? なに!?
それってあれですか? キスなんですか?! いや待て落ち着けコレは諸葛亮の罠だ!!!
ほらアレだよ? 何回も気絶してて記憶も飛んだりしてるせいで信用出来ないけどピンクシーンなんてなかったよ? ……多分だけどな!
「おい、愉快な顔してるないで私の話を聞け」
「るっさい! 今記憶を遡ってるんだ! 集中させて!」
「だから説明をしてやると言っているんだ」
「マジで!? お願いしますお代官様!」
「はぁ……、なんだか、お前と喋ると疲れるな」
そう言いながら何処からか眼鏡と教鞭っぽい物を取り出した
……え? この世界にもそんなアイテムあるの? というか形から入るタイプ? あとそのホワイトボードはどこから出した!?
「……どうした? いきなり変な顔だな?」
「ッ!? べ、別ににゃんでもないよ!? ……驚き過ぎて噛んじまったよちくしょー!?」
「よく分からんがまずは落ち着け」
3分後……
なんとか落ち着く事に成功した
「お、落ち着きました」
「そうか。ならまずは一言言わせてくれ」
俺の目を真っ直ぐ見る目は……それだけで人が殺せそうな程鋭かった
「私をいきおくれ扱いした事を腹を斬って詫びろ。あとついでにこの城に不法侵入した挙げ句、姫様の裸体を見るだけに止まらず、胸を揉みまくった事について何か言う事はないのか」
えっと、今の言う順番反対……だよな? ま、まぁ俺が全面的に悪い事だしな……うん、ちゃんと謝ろう
「なんか色々すみませんでした!!!」
「あ、わ、私は気にしてませんよ? そ、それより体の調子は大丈夫何ですか?」
「よくないでしょう? 姫様、一応言わせてもらいますが……重罪ですよ? ……特に女性にいきおくれ発言は!」
「私が気にしてないから良いんです!」
「いや、私が気にしてるんですが……」
「それに悪い人には見えません!」
初対面なのにここまで信じてもらえるなんて……良い人だ!
「それに……」
……ん? いきなり姫さんの空気が変わった? ……な、なんか姫様がジッと、俺の体を舐めまわすかのような、まるで獲物を狙う肉食獣のような……なんていうかとにかく、いや〜な視線が
そう、これはまるで……母さんが俺の寸法を測ろうとする時のような、クラスの女子が俺を着せ替えようとする時のような……
「とても美味しそうじゃないですか♪」
その一言を聞いた瞬間、俺は扉に駈け出していた
流石に洒落にならない。食われるなんて御免だ……というか、舌なめずりしないで!!
ガチャ……
………………?
ガチャ……ガチャガチャ!
「か、鍵が閉まってる……!?」
「逃げれませんよ〜♪」
「いッ、嫌だーー!!!」
いつの間にか肩を掴まれ、さっきの場所まで引きずられていく
「肌は軟らかいし、しっとりとして噛みごたえがありそうです♪ 血もサラサラで、何よりタバコやお酒の臭いがしません……はぁぁ、久しぶりの新鮮な血になんだか胸がドキドキしてきました♪」
「いやあああぁぁぁ!!! 赤い人、助けて〜!」
「いきおくれ発言は一応謝ったし……許した方がいいのか? いや、だが……うん。まだ子供の言う事だ……許してやるのが……大人だな「あ、あの〜」……ん? あ、すまない。姫様が暴走してたのか」
話掛けるまでまで放心していたらしい
まあ俺のせいだからしょうがない
「ひ、姫様……頼みますから落ち着いてください」
「落ち着いてます! 久しぶりの男の娘……絶対に逃がしません!」
「ヒィッ!!?」
「ふふふ……美味しく食べさせていただきま『ドグシャ!!』
シンとした
目の前の光景に言葉が出ない
従者が主人を殴った……なんて些細な事だ
問題は……何でビンタで頭が壁に埋まってるんだろうか?
「さて、姫様が静かになったのでさっきの話に戻ろう」
「あ、あの……いいんですか?」
「構わない。前も言ったんだ。『私の前で暴走したら叩き潰します』とな。それでも暴走したんだ。姫様が悪い」
こんなとんでもない主従関係があっていいんだろうか?
いやまあ、そのおかげで助かったわけだが……
「とりあえず先程の話だが……はぁ、姫様本人の事は私が口を出す訳にはいかないからな。一応無罪ということになるな。いきおくれ発言は……まぁ……なんだ。子供の言った事だ。許してやろう」
「あ、ありがとうございま「ちなみに、姫様の暴走は種族の呪い(と普段のストレス)のせいだ……大目に見てやってくれ」……は、はぁ」
呪いなら仕方ない……と思う
「さて、そろそろ本題に移ろう」
「……本題?」
「……君がこの城で働かなきゃいけない理由だ」
……ああ、そういえばそうだった。何でこんな話になったんだっけ? ……まあいいや
「で、どうしてここで働くの?」
「うむ、まず君が首を吊ったのを覚えている……よな? 流石に……」
「は、はい……」
出来れば思い出したくない
首吊った瞬間の浮遊感とか、その後来た首への衝撃とか、微妙に足が着いてたせいでゆっくりと締上げられた骨の軋む音とか、おちる時の独特の感覚とか……うう、なんかこんな事を覚えてしまった自分の人生が恨めしい
「あれは……少し悪かったが、
まあ今は置いておく。あの後、君は生死を彷徨っていた。普通ならあのまま死んでいた筈なんだが、……姫様が君の血を吸ってな」
「……え?」
今、この人はなんて言ったんだろう?
姫さんが俺の【血】を吸った? え、マジで?
「その結果、君は姫様の従者になることによって生き長らえる事が出来たんだ……あと、従者といっても輸血パックみたいなものだ。姫様のおやつとして頑張ってくれ」
「ちょ、ま、ええっ?!」
「いちいち五月蠅いぞ」
「五月蠅くもなるって! いきなり奴隷→従者→おやつとか言われたら!」
「むぅ……そんなに私の従者嫌ですか?」
「立場が嫌なの! というか姫さんの近くにいると色々な意味で危険な気が…………」
「嫌じゃないなら良いじゃないですか」
…………………………
「あの、いつ復活しました?」
「アルが「君の首を〜」の辺りからです」
「ワォ☆ ほぼ全部っすね♪」
ままあ待て落ち着け俺なら大丈夫……多分大丈夫
あれだ! 逃げ……!
「いただきます♪」
「はぅ!?」
いきなり首筋に姫さんの犬歯が深く突き刺さった……
あれ? 痛く……ない?
「……ひぅ?!」
「ごくっ……ごくっ……♪」
「あ、あぅあぅ……?!」
なっ、ななななな?! なっ、なんか変?!
「姫様、血を吸うのは後にしてください」
「はぁぁぁ……♪ 美・味・し・い……♪」
ズドガアアアアァァァァンッ!!!!!
「ったく、暴走しないでくださいと言ってるでしょうが」
「ぐすっ……ぐすっ……酷いですアル……折角5年ぶりの新鮮な血なのに……今ので犬歯折れちゃいました。また治さなきゃいけないなんて……ぐすっ」
「い、今何が……なんか変だったんだけど?」
「血を吸われただけだ。大した事はないから気にするな」
いや、なんか……体が違うものになった気が……勘違いなら問題ないんだけど
「それより……仕事の話だが」
「はい?」
「君には……掃除をやってもらう」
「ちなみに拒否権は?」
「知ってるか? 世界とは理不尽な事ばかりなんだぞ」
「拒否権は無いって事ですね分かります……」
もう訳が分かんないまま城のお手伝いさんになりました
「ん? そういえば名前を聞いてないな」
そういえば……言ってないな
「音無昴です」
「音無……昴? 変わった名前だな」
「あ、昴が名前です」
「それでも変な名前だな……異国出身なんだな」
いやまぁ異国って言ったら異国だけど……
「……ん? そう言えば……私は名乗ったか?」
「……えっと、聞いてません」
「……私はアルフレット・ヴァン・エルデューク。まぁよろしく頼む」
= = = =
「いや〜、姫さんが母さん達と同類だったのは……悲しかったな〜」
いや、本当に悲しかった……例え呪いだとしても
たまには、たまには普通の女の子と仲良くしたかった……いつも、学校に行けば女子に身ぐるみ剥がされてコスプレさせられて……教師も助けてくれないし……家に帰れば母さんのセクハラ……唯一優しくしてくれた先輩は行方不明……悲しいにも程がある
姫さんは……久しぶりの心の平穏を与えてくれる人だと思ってたのに……うっ、ううっ……
「昴さんが失礼な事考えてます……ぷ〜♪」
「………………」
何故か自分の部屋(3LDKも貰っちゃったよ)で姫さんの声が聞こえる
……大丈夫。コレは単に部屋が隣だから声が聞こえるだけだ
別に部屋にいるって訳じゃ……ないと思いたい
「昴さん昴さん、何を黄昏てるんですか?」
「……さて、明日の為に眠ろうかな」
「ベッドなら私が使わせてもらってます。あ、なんならそいn「ソファーで」ガーン!」
酷いです!という言葉が聞こえるがスルーする
さて、ゆっくり寝ようかな……
「無視ですか……分かりました。そっちがその気ならこっちもこうです」
姫さんの不吉過ぎるセリフを聞いて振り向くと……凄くいい笑顔で近付いてくる姫さんが……
何故だろう? 犬歯が伸びているように見えるような
「いただきま〜す♪」
「いやあああぁぁぁーーー!!!」
…………どうしてこうなった?