第四話(前)……聞こえる音
頭に鈍い痛みを感じる
痛みで目を開けようとしたが……開かなかった
……何で?
「くっ……!最上位の回復魔法ですら反応無しか!やはり蘇生出来ないのか?!」
回復魔法?ホイミか?いやベホマズンかな?
蘇生ならザオラルかザオリクを使わなきゃダメだよ?もしくはせかいじゅのはを使いなさい!
「アル……あの、私が彼を……」
「ダメです!例えどんな理由があろうと姫様の大切な……を使うのはダメです!」
…………ん〜?この2人の声聞いた事があるんだが、誰だ?
「でも……助けてくれた人に恩返ししないと……えっと、王女としてのお願いじゃ……ダメかな?」
「…………分かりました。王である貴女が決めた事なら……このアルフレッド、何も言いません」
「ありがとう、アル」
シリアスな話っぽいがまったく俺には理解出来ない
不意に耳元で吐息が聞こえた……
「い、いきます!」
今の俺は目は見えないし、触感も無く、鼻も機能していない
それどころか耳以外は正常に機能していない
なのに……
突如、形容し難い音が聞こえたのが、……自分の体から出た物だとすぐに分かった
ミチミチと何かが千切れていく音
ギギギと硬い物同士が擦れるような音
そして……何かを啜るような不気味な音が俺の耳に鳴り響く
「んっ、くっ……はぁ……はぁ……コレで、……大丈夫で…………」
何かが倒れる音が聞こえる
その後、小さな、本当に小さな声が聞こえた
―――コレで契約は完了した。後は手前が腹を決めるだけだぜ、俺の相棒?あはははは!―――
……その声を最後に、今度こそ完全に意識が闇に堕ちた