第三話……理不尽と書いて人生と読む
首吊りって窒息死じゃなくて首の骨折って死ぬのが普通らしいよ?
暗くてとてもジメジメして場所で俺は目覚めた
転がっていた時に何か付いたのか、顔にネバネバとした物が付いている……ヤバイ、何があったかまったく思い出せない
「…………えっと、死んで……ヴィーザルさんにあって…………匍匐前進して………………何かとんでもないハプニングがあったような?」
「やっとで起きたようだな」
いきなり後ろから声が聞こえ、見てみると……牢屋に入った女性が話し掛けてきた
染めているのか髪は朱く、瞳は水色……カラコンか?美人だが性格がキツそう……第一印象って大事だよね
「……おい、誰の性格がキツそうだって?」
「今の心の声だから。あと何でお姉さん牢屋に入ってるの?」
「逆だ。貴様が牢屋に入ってるんだよ」
……何で俺が牢屋なんて入ってるの?
「うん、逃げよう」
「捕まえた本人の前で言うか?」
「いや冗談だよ?だから銃みたいな物を向けないでくださいごめんなさい謝るから許してください」
あのですね?言葉より先に銃みたいな物を向けるのはどうかと思いますよ?
「…………」
「あ、あの、殺気に満ちた目を向けないでください!」
「…………とりあえず、姫がお前に会いたいそうだ。死にたくなければ今すぐ……今すぐ手を後ろに回してゆっくりと歩け」
「…………は、はい」
ゆっくり、ゆっくり……
「遅い!」
「ええぇ!?なんか理不尽じゃね!?」
= = = = = = = =
はい、現在処刑台に乗せられて首に縄が掛かった状態です
ははははは……誰か助けてーーー!!!
「あ、あの、だから皆さんの勘違いですよ?」
「お姫様ナイス!今の本当に素晴らしい一言です!確実に俺の好きな言葉第一位です!名言として後世に残したいくらいです!」
「貴様……現在の立場が分かっているのか?」
「ごめんなさい……だから首にナイフを押し付けないで。痛いから、つか刺さってるから……」
……何故僅か30分でこんな事になった?
← ← 約30分前 ← ←
現在、謁見の間みたいな部屋にいます
ドーム状の部屋の一番奥に玉座が一つだけあり、その場所に行くには入り口から30mは歩かなきゃダメかもしれない
まぁ部屋は別に良い
問題は……今の俺の状態だ。ぶっちゃけ囲まれてます
騎士が俺の周りにズラーと並び、「妙な真似したら跡形も残らねぇよ?」的な素敵な笑顔で俺を見てくる
そろそろ良く分かんないけど土下座しようかな〜?って思い始めた……うん、集団の強味はその圧迫感だよね
そんな恐怖を実感しながらどうやってこの場で皆さんの怒りを静めるかを考えていると……
「あ、あの、……すみません。なんとなくすみません」
いきなり消えそうな程小さな声が聞こえた……が、その声の主は何処にもいない
しかし何処かで聞いたような声だな?
「あ、あの、わ、私は…………」
「姫様……恥ずかしいのは分かりますが、玉座の影に隠れていてはいけません。一応貴女が皆を集めたんですよ?」
「ご、ごめんなさい〜……ひくっ……」
玉座の後ろから……なんか凄い美少女が出てきた
金髪に琥珀色のひと………………あれ?なんか見た事があるような?
「…………誰だっけ?」
「あ、私は……オルカ・ヴァン・アルトセルクです……あの、ごめんなさい」
可愛い……なんか凄く癒される
体が俺よりデカイのが残念だ
「あ、あの、昨日の事なんですが……」
「……?昨日会ったっけ?」
「お、覚えてないんですね!……魔法が上手く効いたみたいで良かったです」
「……貴様は昨日、姫の胸を揉んだんだ……覚えてないんだな?」
「覚えてるって言われても……」
ん?なんか周りの殺気が上がったような?
「貴様!姫様のあの素晴らしい胸を揉んでおきながら忘れただと!?」「ふざけるなーーー!!!」「殺すぞちびっこ!!!」「魔法で忘れても気合いで思い出せ!」「思い出したら優しく殺してやるからな!」「思い出さなかったら口に爆竹詰めるからな!」「思い出したら顔面ヤスリで削るぞ!?」「女みたいな顔しやがってーーー!!!!」「え?女じゃないの?」「バカ!女じゃなくて少女だろ!」「む、なら姫様の胸を触っても合法……いや、百合的展開でなんか特じゃないか!?」「た、確かにそうね!!!」「コレは犯罪じゃない!新たな扉への第一歩だ!」「つまり……ごくっ……つまり姫様ときゃきゃうふふな姿を見て俺達楽しいって訳だな!!!」「そうさ兄弟!彼女は敵じゃない!むしろ姫様を導く堕天使様だ!」「え?普通天使じゃね?」「そんな事より皆!今は言う事があるだろう!?」「そうだ!」「言わなきゃ!」「じゃあ、いっせーので!」
「「「「「百合最高ーーー!!!」」」」」×100
「黙れカス兵共がああああぁぁぁーーー!!!」
朱い髪が目の前を通ったと思ったら叫んだ奴等が轟沈していた…………まぁ、とにかくかなり凄い変態ばかりなのは分かった
「…………百合?堕天使?なんでしょー?」
まぁ知らん方が良いな……ってあぶねぇ!?
いきなり、お姫様の近くにあった照明が倒れてきた
「くっ!」
「ふぇ?きゃぅ!?」
照明がぶつかる前にお姫様を突飛ばした……までは良かったが照明を避けきれず頭に直撃し、ふらついた拍子に玉座の角で頭を打ち、前に倒れた瞬間…………なんか柔らかい物が口に触った
「なっ!?」
「……(パクパク)///」
「…………」←瀕死
あぁ、頭からなんかドクドクって音がする……なんか視界が真っ赤になってきた……あ、体ピクリとも動かねぇ♪
「我が国が誇る屈強なる兵士達よーーー!!!あの、あの大罪人は……姫の胸を揉むだけでなく、あまつさえ押し倒し!あの穢れを知らね唇まで奪いよったぞーーー!!!」
「「「「「な、なんだと!?姫様の唇……殺せーーー!!」」」」」×100
あの……よく分からんが治療して
このままじゃ死ぬ
「あぁ、治療してやる。治療した後処刑台だ!」
…………なんでさ?
→ → そして現在 → →
「「「「可愛いは全世界共通の正義!しかし俺(私)達の姫に手を出した奴は生かしちゃおけねぇ!!!」」」」×100
「あ、あの、だから勘ちが……ぅぅ〜」
「「「「「あぁ!手前また姫様を泣かしやがったな!?」」」」」×100
「俺じゃなくてお前等、がはぁっ!?」
朱い人にいきなり腹を蹴られた
しかも2撃目喰らわせようとかどんな鬼畜!?
そんなんだから結婚出来ないんだ!!!
「……人が気にしてる事を!」
「って図星!?ぎゃがぁぐぅ……!?」
「カス兵共ーーー!!!今すぐ床を開けろーーー!!!」
「「「「「イエス マム!!!」」」」」×100
「げふっ……イ、イエス マムじゃねぇーーー!!!」
そんな魂の叫びも虚しく、俺の足下は開き体が浮か……
「まっ、待ってください〜!あの人は私を守ってくれたんです〜!」
姫様の言葉で皆の目がポンカンでも入るんじゃないかってくらい開かれる
「あ、あの時、近くにあった光の筒が倒れたのを守ってくれたんです〜」
「なっ……」
「「「「「なんだとーーー!!!」」」」」×100
うん、やっとで誤解が解け…………あれ?なんか周りがだんだん……消えて…………ぁ、なんかちょっと気持ち良い……かも♪
※人間は堕ちる寸前、気持ち良くなる時があります
「い、今すぐ下ろせ!!!」
「は、はい!!!」
なんか周りが慌ててるみたいだが……まぁ良いや
多分また死ぬんだろうな〜、と思いながら意識を手放した






