番外編③ 「自由奔放でも、愛は甘い」
侯爵家の朝は静かに、しかし少し騒がしく始まった。
ミラは寝起きの髪をくしゃくしゃにしながら、アーロンの寝室に突入する。
使用人たちもいつもの風景に見慣れていた
「おはようございます、アーロン様!」
「おはよう、ミラ……ん?」
アーロンはまだ半分眠ったまま、目をこすりながら彼女を見た。
ミラはベッドの端まで駆け寄ると、飛びつくように抱きついた。
「昨日の夜も、わたくし、ちょっと我慢できませんでしたの」
そう言ってくるくる回りながら、アーロンに腕を絡める。
アーロンは微笑みながら、そっと彼女の頭を撫でた。
「自由すぎるな、君は……でも、君らしくていい」
その言葉に、ミラは満面の笑みを浮かべ、ふわっと体をアーロンに寄せる。
朝食の時間、二人で庭を眺めながら食卓に座る。
ミラはまだ半分眠そうな目をこすりつつ、パンを一口頬張った。
「アーロン様、今日も素敵ですわね!」
「そうか、ありがとう。君も朝から元気だね」
アーロンは彼女の手に軽く触れ、指を絡めた。
ミラは照れくさそうに笑いながらも、腕をしっかりと絡め返す。
昼下がり、庭で二人は散歩を楽しむ。
ミラは花や小鳥に目を輝かせながら、アーロンの腕にしがみつく。
「わたくし、こうして自由に庭を歩けるのも、アーロン様がそばにいてくださるからですの」
「君が笑っているだけで、僕も嬉しい」
アーロンは微笑み、そっとミラの頬に触れる。
その指先の温もりに、ミラはふわっと顔を赤らめた。
庭の隅で小さなハプニングも起こる。
風に舞った花びらがミラの髪に絡まり、アーロンがそれを丁寧に取ってあげる。
「もう、アーロン様……恥ずかしいですわ」
「君のためなら、どんなことでもするさ」
アーロンの真剣な顔に、ミラはくすりと笑う。
午後、書斎で読書するアーロンの隣で、ミラは自由に遊ぶ。
ページをめくる音、時折笑い声、庭の風の音――すべてが心地よい調和となる。
時折、ミラは「アーロン様!」と呼んで膝に飛び乗ったり、抱きついたりして、アーロンも困ったように微笑む。
「君の自由奔放さには敵わないな……でも、君が僕を選んでくれたからこそ、僕は幸せなんだ」
その言葉に、ミラは誇らしげに胸を張った。
「わたくし、アーロン様がいらっしゃるから、こんなに自由に幸せでいられるのですわ」
夕暮れ時、二人は窓辺で紅茶を楽しむ。
外には柔らかなオレンジ色の光が差し込み、影が揺れる。
レイナとエリオット様も訪れて、二組のカップルが一緒に過ごす。
「二人とも、本当に幸せそうですわね」
レイナが微笑むと、エリオット様も頷く。
「君たちも、楽しそうで何よりだ」
夜、寝室に戻ると、ミラはふと不安げな顔をする。
「アーロン様……わたくし、身分が違うのに、こんな自由に甘えていていいのでしょうか」
「まだ、それを言うのかい?だけど何度でも言うよ
君じゃなきゃダメなんだ。君がいい、ミラ」
アーロンは真剣な眼差しで、彼女を見つめる。
ミラの目に、涙が少し光る。
「……アーロン様……」
その言葉に、ミラは抱きつき、アーロンも優しく包み込む。
二人の温もりに、穏やかな夜が流れる。
外の月明かりが部屋に差し込み、二人を柔らかく包み込む。
――新婚の甘々な日々は、朝から夜まで、いつでも笑いと幸福に満ちていた。
自由奔放なミラも、優しいアーロンも、互いに相手を尊重し、愛し合う。
レイナとエリオット様も微笑みながら、二人の幸せを見守る。
これで、学園で始まった二組の恋は、城下と侯爵家で確かな幸せの形を手に入れたのだった。




