「文化祭、三角関係の大騒動!」
学園の文化祭初日。広場には色とりどりの屋台が並び、生徒たちの笑い声と活気であふれている。
黒髪に青い瞳のレイナ・フォン・シュヴァルツは、いつも通り完璧な制服姿で歩き、展示や屋台の準備も手際よくこなす。長身でスラリとした立ち姿は、学園でも「完璧」と称されるほど。
一方、肩までの栗色の髪を軽やかに揺らすミラ・フォン・リーヴァは、手作りのクッキーを抱えて駆け寄る。
「殿下、おはようございます!今日は文化祭、楽しんでいらっしゃいますか?」
殿下ことエリオット・フォン・アルトハイムは、緑の瞳を細めて微笑む。
「おはよう、ミラ。楽しむ…かな、君のおかげで、ね」
ミラは前回の花束の失敗を気にせず、さらに張り切る。
「殿下、もしよろしければ、このクッキーも召し上がってくださいませ!」
しかし、手元が狂い、クッキーの入った箱はレイナの足元へドサッと落ちる。
「わっ…!す、すみません、レイナさま!」
レイナは眉をひそめるが、優雅に拾い上げ、微笑む。
「ありがとう、ミラ…あなたらしいわね」
殿下は微笑みながら困惑する。
「ふふ、ミラは明るくて楽しいね。でも、レイナの美しさには誰にも敵わないよ」
ミラは一瞬うっとりするが、すぐに奮起する。
「そ、そうでございますか…でも、私もめげませんわ!」
---
文化祭では、三人の小さな騒動が次々と巻き起こる。
ミラの屋台トラブル
手作りポップコーンが爆発して周囲に飛び散り、他の生徒たちから歓声と笑いが。
レイナは冷静に拭きながら、淡々と指示を出す。
「ミラ、落ち着いて。手伝いましょう」
殿下の困惑
緑の瞳をレイナに向けつつ、ミラの天然行動に小さく笑う。
「君の無邪気さには救われる部分もあるけれど、やっぱりレイナがいると安心するね」
ミラのリベンジ作戦
今度は殿下にクッキーを直接渡そうと試みるが、通りすがりの生徒にぶつかって、またしても失敗。
「うぅ…また失敗!」
---
文化祭の終盤、三人は広場の中央で並ぶことになる。
レイナは落ち着いて手を胸に当て、殿下の腕に軽く触れる。
「殿下、本日はお楽しみいただけましたか?」
殿下は微笑み、両者を見比べる。
「十分だよ、レイナ。でもミラも明るくて楽しいね」
レイナは腕組みをしたまま微笑み、少し首を傾げる。
「あら?殿下、私とミラ嬢を比べていらっしゃいます?」
殿下は少し赤面しつつも、微笑んで答える。
「比べているわけじゃないよ。ただ、レイナの美しさには誰にも敵わないし、もちろん、ミラも明るくて楽しいけどね」
ミラは「わぁ!」と目を輝かせ、レイナは軽くため息をつきつつも微笑む。
こうして、文化祭の一日は、完璧な悪役令嬢、無邪気でドジな男爵令嬢、そして両思いの殿下による、笑いと甘さあふれるドタバタ三角関係で幕を閉じた。




