表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高嶺の花と無自覚なライバル  作者: はるさんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/23

学園の朝、三角関係の始まり


学園の広場は朝日を浴びて輝き、生徒たちの声が賑やかに響く。

漆黒の髪と青い瞳を持つレイナ・フォン・シュヴァルツは、整然とした歩幅で広場を横切る。長身でスラリとした立ち姿は、学園でも「完璧」と称されるほどで、通りすがりの生徒たちは思わず息を呑む。


その横で、肩までの栗色の髪を軽やかに揺らし、茶色の瞳で笑顔を振りまくミラ・フォン・リーヴァが駆け寄ってきた。

「おはようございます、殿下!今日も素敵でいらっしゃいますね!」


しかし、殿下ことエリオット・フォン・アルトハイムはすでにレイナの隣に立っていた。金髪の短髪に緑色の瞳。端正な顔立ちと長身で、学園の空気さえ格上げしてしまうようだ。


「おはよう、レイナ」

「おはようございます、殿下」


二人の微笑み合う姿を見て、ミラの内心は穏やかではなかった。

「ふん、レイナさえいなければ…私が殿下の隣に立てるのに…!」


しかし、現実は厳しい。ミラがせっせと用意した小さな花束を殿下に渡そうとした瞬間、手が滑り、花束は床に落ち、レイナの足元に転がった。


「わっ…!す、すみません、レイナさま!」


レイナは一瞬驚いたが、優雅に屈んで花束を拾い上げ、微笑む。

「ありがとう、ミラ…あなたらしいわね」


ミラは頭をかき、顔を真っ赤にして必死に言い訳する。

「え、えっと…その、殿下に差し上げようと思ったのですが…あはは…!」


殿下は緑の瞳を細め、二人を見比べる。

「ふふ、ミラは相変わらずだね。でも心配しなくていいよ。レイナは僕の…」


レイナは微笑み、そっと殿下の腕に触れる。

「そうです、殿下は私のものですから」


ミラは悔しさをこらえつつも、顔はまだ笑顔。

「そ、そうでございますか…でも、私もめげませんわ!」


学園内に小さな笑いが広がった。ミラの天然ドジぶり、レイナの完璧さ、そして殿下の優雅な困惑が絶妙なバランスで三角関係を彩る。


さらに広場の片隅では、他の生徒たちがひそひそと噂していた。

「レイナ様と殿下、まるで恋人同士みたいね」

「でも、ミラもあの笑顔で殿下に近づいてるから見てて面白い」


ミラは自分が笑われていることに気づき、少し顔をしかめる。

「な、なんですって!?」


だが、次の瞬間には再び笑顔を作り、懲りずに殿下の方へ駆け寄る。

「殿下、今日の授業もご一緒にいかがでしょうか!」


レイナは腕組みをし、目を細めて冷静にツッコミを入れる。

「ミラ、あまり無茶をしない方がよろしいのでは?」


殿下は微笑み、両者の間で困惑しながらも楽しげに応じる。

「ふふ、ミラは明るくて楽しいね。でももちろん、レイナの方がずっと素敵だけどね」


こうして、学園の朝は、完璧な悪役令嬢、無邪気で明るい男爵令嬢、そして両思いの殿下の、ドタバタ三角関係から始まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ