小麦の町の冒険(part2) ~月日は流れて~
あの巨大ゴブリンを討伐してから、数ヶ月の月日が経ちました。
私達は今日も相変わらず任務で、害獣討伐に来ています。
時間は―
陽もそろそろ傾き始め、もうすぐで夕方になろうとしていました。
今日はサニーさんとバルモは、ある別の任務で先に町に戻っています。
なので…
今は、コーレン副団長とルイアと私と他1人の4人で行動をしています。
「ヒュウウウウウウウウウウウウウウー」
「ザアアアアアアアアアアアアアアア―」
天気は、相変わらずの快晴で
雲一つ無い寂しい青空の下を、ほんのりと冷たい風が吹いています。
そんな、風を受けながら
私達は、どこまでも続く大草原の中を馬で駆けていました。
(これは、心地よい風ですね…)
風に揺られて-
擦れ合う麦穂の音が良く聞こえる。
所々に見える小麦畑は、もう少しで収穫の時期なのでしょうか。
逞しく育った穂の先っぽには、実を沢山付けています。これは、今年も美味しいパンが出来そうですね!!
そう思うと、胸が躍ります。
私は、パンがとっても大好きなんです。
もし、騎士になれなかったら…
パン職人になろうと思っていたくらいですからね!!
「…」(私)
そして…
成長したのは、小麦だけではありません。私もまた騎士として、着実に力を付けていました。それから、魔獣調教士としても…
まぁ、これはまだやっている事は馬小屋のお世話くらいですけどね…
「ハァ…」(ため息)
「…」(私)
あれから、私達の第2分団の中でも色々と変化がありました。
まず、一番大きな事として…
数週間前から新たなメンバーで、キャロットさんという女性が加わりました。キャロットさんは騎士としては、新人なんですが…私とルイアより年上の25歳で黒髪のツインテールの女性です!!
騎士団の試験は18歳から受けられますが、合格率が低いので、このくらいの年齢で新人であっても、それは至って普通の事なのですよ。
キャロットさんは “水の魔法” の使い手であり、この騎士団では回復術士の役割を担っています。彼女が回復術士である所以は、彼女は調合術が得意でありまして、薬草や魔獣の素材など、あらゆるものを調合して回復薬を作っています。
魔獣との闘いなどで傷を負った場合は、回復薬を飲んで治すのが、治療の基本となっておりまして、回復薬は町の薬局とかでも普通に売っています。市販されている回復薬であっても、ある程度の傷ならば、時間を掛けずに治ってしまうのです(あと…魔力も回復します)
私も…
いつも1~2本の回復薬を持っていますし、害獣との闘いに明け暮れる、この世の中にとって必要不可欠な物であるという事は、言うまでもありません。彼女も、自ら調合して作った回復薬を使って、傷を負った人達を治療しているのです。
因みに…回復薬は、魔法薬の1種であります。
魔法薬というのは、飲めば何かしらの効果を得られる事が出来る魔法の薬であり、液体として瓶に入っている事が多いです。そして…魔法薬には色々な種類がありまして、代表的なものは、良く使われる回復薬ですが、他にも色々な効果を持った魔法薬が存在します。
彼女も、表向きは回復術士ですが…
他にも色々な種類の魔法薬を作っているとか。中には、怪しい薬も…
例えば、幽体離脱が出来る薬とか。
まだ完成は、してないみたいですけど…
どんな用途で使うのか、さっぱり分かりません。
(まぁ…確かに、ちょっと幽体離脱を体験してみたいですけどね)
彼女は今、その怪しい薬を作る事に奮闘しているみたいです。
良く言えば、研究熱心なんでしょうが。
ん~、どうなんでしょうか…
それから、他のメンバーも相変わらずです。
バルモが…町の筋肉自慢コンテストで準優勝した事や、コーレン副団長とサニーさんが付き合っているのではないかとの噂が騎士団の中で流れて、それを知ったルイアはやけ食いをして、体重が増えたとか。
そんな事がありました。
そうそう―
あとコンテストといえば…
私もパンの大食いコンテストに参加して準優勝でした。この町の美味しいパンを一杯食べられた事は嬉しかったですけど…でも、やっぱり美味しいものは、ゆっくり味わって食べたいものですね。参加して振り返って、そう思いました。
でも、来年も参加しますけどね!!
「…」(私)
そんな日常微笑ましい事が色々ありましたけど、気に掛かる事もあります。そして、今日は寂しい話も…
「あっ!!」
「見て下さい。向こうに何かいます!!」
急にキャロットさんは、向こうにいる何かに指を差して、おどおどしく言いました。指差した方を見ると、遠くの方に大きな水玉があるのを発見した。
あれは、巨大スライムですね!!
草原で遮るものが無いから、遠くにいても分かり易いです。
ん~、それにしてもキャロットさん…巨大スライム程度で少し怯えすぎですよ。まぁ…まだまだ騎士としての経験が少ないから、仕方ないと思いますけど。
「「ルイア、行くわよ―」」
「「防御をお願い!!」」
「「分かったわ!!」」
―私は即座にルイアに声をかけて、臨戦態勢に入る。
さぁ、ここからはとりあえず魔獣討伐の時間です!!




