49話 案内
「サアアアアアアアアアアアアアアア―」
外に出ると、弱い雨がパラパラと降っていました。
「さぁ、行きましょう」
お店の扉に掛けてある看板を『close』にして…
グレイシスさんは言います。
「わざわざ、有難うございます…」
私は、グレイシスさんの厚意に謝意を伝える。
(テクテクテクテク…)
私は、黒くて大きな傘を差しながら歩くグレイシスさんの後をついていきます。一体、どんな人が、私の事を知っているんでしょうか…
私も傘を差しながら、期待を胸に考えます。
(う~ん、どんな人なのかしら…)
「…」(私)
それはそうと、些細な事なんですが…私とグレイシスさんは、特に会話をする事も無く、黙々と歩いていました。本当に無言で…あのお喋り好きのオバサンにしては、珍しい気もしますけど。
私の中では、そうゆうイメージですので…
しばらく、歩いていく内にー
私達は町の寂しいメインストリートを抜けて、丘の緩やかな坂道を上がっていました。
雨で霞んで、よく見えませんが…
うっすらとパーシャの町並みが見える。
そして、近くを見れば、所々に朽ち果てた廃墟がチラホラと見えます。
これは…私が悪夢を見た大きな廃墟と、同じ方向に向かっているのでしょうか。どうやら、そんな気もしますけど。
「…」(私)
そうそう…悪夢を見た日から、私とゼニィーは流石に寝床を変えていました。今は、もう適当な場所で寝ていますね。
「サアアアアアアアアアアアアアアア―」
辺りはー
次第に霧が出始める。
まるで、雲の中に入って行く様な感じです。
すぐ前を歩く、グレイシスさんの背中でさえ、霞んで見える。
そして…いつの間にか道を外れて、只の草原の上を歩いていた。
(ゾクっ…)
背筋に寒気を感じる。
(この霧って、まさか…)
「大丈夫よ」
「これは、只の霧よ!!」
グレイシスさんは…
私の考えを見透かしたのか、平然とした感じで言う。
「そ、そうなんですね…」
「ハァ…」
何か…紛らわしいですね。正直、カコシだと思いましたから。
私は下を向き、安堵のため息をつきます。しかし、それもつかの間―私が顔を上げると、グレイシスさんの姿はとても遠くの方に離れていた。
「えっ…グレイシスさん!!」
「ちょ、ちょっと、待って下さーい!!」
「「「歩くの速いですよオオオオ!!」」」
私は、咄嗟に大きな声でグレイシスさんを呼ぶが、応答はありません。
そして、グレイシスさんはどんどん霧の中に消えていく。いけないっ、グレイシスさんとはぐれてしまう。私は、グレイシスさんに追いつこうと走り出すが、その瞬間―
「「「ぐはアアアア!!」」」
何かの石にぶつかった。
(イテテ…何だ、この石!?)
「!!」(私)
それは、朽ち果てた墓石であった…
墓石は、長年の風雨に晒されたのか、黒ずんでひび割れていました。これは、かなりの時間が経っているのでしょうか。見た感じですけど、それは数十年…百年…いや、もっとそれ以上でしょうか。
その石には、辛うじて読める文字が刻まれていた。
(パ、パーシャ騎士団…)
そして…
『パーシャ騎士団』の文字と一緒に、その騎士の名前でしょうか…誰かの名前が刻まれている。そういえば、パーシャ騎士団は140年前に滅んだと言っていましたが、そのお墓なんでしょうか。でも、何でこんな所に…
そう思っていますと―
草原を覆っていた霧が、少しずつ晴れていく。
「サアアアアアアアアアアアアアアア―」
目の前の視界が開けると私は…
その景色を見て納得した。
私の目の前には…そんな朽ち果てた墓石が沢山ありました。
どうやら、ここは墓地の入り口みたいですね。それで…肝心のグレイシスさんといいますと、完全に見失ってしまいました。
どうやら、この墓地の中に入って行ったと思いますけど。
一体何故、こんな場所に。
「…」(私)
流石に、私も少し中に入って探して見ますけどね!!
でもゼニィーが、いてくれればなぁ。
私が、そう思っていますと―
「お疲れ~!!」
空から、ゼニィーが飛んできた。
「アンタねぇ、また小銭を探していたの?」
「まぁね!!」
「でも、全然見つかりませんでした~!!」
「イブは、ここで何をしているの~?」
「何か、思い出したのー?」
「いや、私はまだ何も…」
ですけど、今まさに重要な手掛かりを掴もうとしています!!
「ゼニィー!!」
「ここに私の重要な手掛かりがあるかもしれないわ!!」
「一緒に行きましょう!!」
「オッケー!!」
私達は、オバサンを探しに墓地を進む事にする。




