47話 まさかの…
「ザアアアアアアアアアアアア―」
町には、強い雨が降っているー
町の人達は、手慣れた様子で傘を差しながら
私の横を、通り過ぎていきます。
私は人の流れを只々、見つめ流している。
「…」(私)
あれから、しばらく…この身体の人物『イブ』という少女を知っているかについての聞き込みをしましたが、思った様に成果は出ませんでした。
一応、聞き方も工夫をしましたけど…
正直に『私は別の星から来て、そしたら見知らぬ少女になっていて、記憶も無くて…』と説明するのも、面倒くさいですし、多分信じてくれないでしょう。要するに、この少女について、何か知っていれば良いのですから。
それを簡潔に聞き出す方法を―
私は町の人達に、こう言って聞きました。
『私と瓜二つの顔の、名前はイブ・サラリーナという双子の姉妹を探しているのですが、何か知りませんか?』と。
あくまでも、私の記憶を探しているのではなく、人探しをしているていで聞きました。探しているのは、自分なんですけどね。まぁ…これで町の人達からは、スピーディーに聞く事が出来ましたが…肝心の中身は、皆『知らない』との事でした。
「ザアアアアアアアアアアアア―」
時間は、もう夕方になる頃でしょうか。
今日も1日、あっという間に過ぎてしまいましたね。
辺りは、いつの間にか日差しも消えて、いつも通りの雨が降っていました。そんな私ですが…とあるお店の軒下で、止む事の無い雨が…降り止むの待ちながら、ずっと佇んでいました。
「ハァ…」
まだまだ、聞き込みが甘いですね…
地道にやっていかないとですけど。
「ヤッホオオオオ~!!」
「!!」(私)
私がため息をついていると…
雨の中から、ゼニィーが飛んで戻って来ました。
「アンタ、一体…何をしていたのよ…?」
「もしかして、聞き込みを手伝ってくれてたのかしら…?」
「何か、良い情報はあったの?」
「えっ、何の事…?」
「ボクは、落ちている小銭を探していただけだよ~!!」
「…」(私)
まぁ、こんな事だとは思いましたけど…
「アンタねぇ、少しは聞き込みを手伝ってよね…」
「ボクも、そうしたいのは山々なんだけど…」
「ボク、人から姿が見えないんだよね~!!」
「だから、聞き込みを手伝う事は出来ないんだ~!!」
「「えっ、そうなのオオオオ!?」」
「はい、そうで~す!!」
ゼニィー曰く…
精霊は、その名の通り霊なので、普通の人には見えないらしい。そして、声も聞こえないらしいです。ですので…この世界の人々における精霊の認識とは、おとぎ話の中だけの存在になっているとか。
サラっと、重要な事を言うゼニィー。
「じゃあ、何で私には見えるの?」
「さぁ?」
「霊感が強いんじゃないの~!!」
「マジすか…」
「例外で霊感が強い人なら、精霊は見えるからね~!!」
「あと、他には…動物達(魔獣も含めて)にも、ボク達の姿が見えるんだよね。動物って、元々強い霊感が備わっているのかな~!?」
「…」(私)
(いや、私に聞かれても…)
「因みにだけどね~!!」
「只…霊感が強ければ、見えるという訳じゃありませ~ん。精霊を見る為には、更に満たさないといけない条件があってね。その条件とは―」
「…」(私)
その条件とは―
心が悪に染まっている人や、心が存在しないとされる害獣は…たとえ霊感が強くても、その姿は見えないとか。まぁ、確かに…『精霊とか妖精は、心が綺麗じゃないと見れない』と、よく聞きますけど…
「これは、精霊の特有の “精霊の目隠し” という不思議な魔法の効果なんだよ。精霊は皆、繊細でかなり臆病だからね。そして、強い魔法は使うけど、その存在自体はとても儚く脆いんだ。だから…この魔法で、害獣やその他悪い奴らの視界に入らない様にしているんだよ~!!」
「そ、そうなんだ…」
『精霊とか妖精は、心が綺麗じゃないと見れない』というは、そうゆう魔法の効果だったんですね。
「まぁ、悪魔とか…」
「強い魔獣には、たまに看破されちゃう時もあるけどね。C5以下の害獣ならば、問題無く視線を遮る事が出来るから、中々便利な魔法だよ~!!」
「ふ~ん…」
因みに…
『心が悪に染まっていない人』の基準ですが、余程悪い事をしていなければ、大体の人はクリアが出来るとか。この世界の人間で言うのならば、盗賊とか悪霊とか呪具を使っている人とかが、この条件に引っ掛かるみたいですね。
「もう1回…聞くけど、霊なのにご飯食べるんだ…?」
「ボクくらいの高位の精霊になるとね~」
「ご飯も普通に食べれるんだよ~!!」
「はぁ、そうですか…」
他の精霊を見た事が無いから、何とも言えなんいですけど…
貴方、どちらかというと精霊じゃなくて、珍獣の方なんじゃ。
~回想~
あっ…だから、本屋のオバサンは、私の事をキョトンとした目で見ていたんですね。普通にオバサンの前で、ゼニィーと話していたし。私…痛い人認定されてるかも…もう恥ずかしくて、あの本屋には行けないよ~(赤面)
「うううう~」
私はうずくまり、頭を抱える。
ゼニィーは、そんな私を見て…
「そういえば…」
「小銭は落ちてなかったけど、拾ったものならあるよ~!!」
「お詫びにどうぞ!!」
「えっ、拾ったもの?」
「また、飴玉かしら…?」
「…」(私)
(別に嬉しくはないけど、くれると言うならば…)
私は仕方なく、ゼニィーの方へ手を差しのべる。
「いや、カエルだよ」
「鳥の巣で拾いました~!!」
ゼニィーは、死んだカエルを私の手のひらに乗せた。
「「「「ギャアアアアアアアアアアアアアア~!!」」」」
「「「「んなもん、取ってくるなアアアア―!!」」」」
私の叫び声はー
町中に響き渡っていました。
(はっ―!!)
(しまった、つい…)
私は、すぐに我に返ったが…
もうすでに遅かった。通り過ぎる町の人達は、突然叫んだ私の事をチラチラと見てくる。その人達は、私が目を合わせようとすると…目を背けて、気まずそうに、そして足早に立ち去って行った。
(や、やってしまった…)
傷口が塞がるどころか、盛大に傷口を開いてしまいましたね…
私は、しばらく途方に暮れていました。




