雨の町の冒険(part4) ~煎餅~
「おっ、また発見!!」
「パクっ!!」
(モグモグモグモグ…)
雨が降る薄暗い道で、ゼニィーはまた蛙を見つけたらしく、美味しそうに食べている。ゼニィーはこの様に、落ちている小銭を探しながら、その際に見つけた虫などを食べているとの事です。
まさに、無駄のない動きですね!!
…いや、小銭を探す事自体が無駄な動きでしょうか。
「まぁ、殆んど虫しか食べてないけどね~!!」
「はぁ…」
そんなゼニィーを見ながら、私は相変わらず…
この異世界で、これから何をしようか考えていました。
とりあえず、この町にはギルドが無いですからね。
ですが…300Gくらいでしたら、私が召喚した魚を売ってもどうにか、なりそうでしょうか。
「…」(私)
いや、あの魚を売ったら苦情がくるかしら…
味が無いですから。
「…」(思考)
う~ん、どうしましょうか。
例えば、困っている人を助けたり、手伝ったりして、報酬を貰うとかは?
まぁ…折角、異世界に来たのですから、旅をして色々な所を見て回りながら、そんな感じでバリア代などを得ていくのも良いわね。
そして…
自然と、私はこの世界に来た時に見た、お告げの夢を思い出していました。
「「「この世界を救って!!」」」
―と。
そう言えば…
この町は『カコシ』と呼ばれる呪いの霧で、困っているそうですね。
それならば―
私にも、何か助けになる事は出来ないかしら。
「ゼニィー…」
「呪いとは、一体何なの?」
「んっ、呪い?」
「呪いって、言うのはね―」
「ザアアアアアアアアアアアアアー」(雨音)
「…」(私)
ゼニィー曰くー
呪いとは、禍々しい効果を持った “闇の魔法” の技の1つとの事で…主に『呪具』と呼ばれる呪われた魔法具を使用する事で、発動しているとか。
「へぇ…」
「呪具ですか…」
名前を聞いただけでも、不吉そうな魔法具ですね。そして…この世界には、それなりの数の呪具が、各地に点々と存在しているみたいです。『呪具』の数だけ、バリエーションに富んだ多種多様の呪いがあるみたいですね。誰かが、そんな怖い魔法具を作っているのでしょうか。
「呪具は、悪魔と呼ばれる邪悪な魔獣が作っているんだよ~!!」
「あ、悪魔…!?」
「もっと、細かく言うとね―」
『呪具』とは…
“悪魔” と呼ばれる邪悪な魔獣が、使用する特有の技 “呪具創成” によって、作り出された魔法具との事です。この魔法具の性質として…ある条件さえ満たせば、他の魔法具と比べて、段違いに強い力を得る事が出来るそうです(まぁ、それが呪いという “闇の魔法” の力の訳ですが…)
その…
ある条件とは…
『呪具』を発動させる為には、生け贄が必要らしいです。ザックリとしたイメージとしましたら『呪具』の燃料は、生け贄の血と肉になる感じでしょうか。まぁ、地球の自動車で言うところのガソリンみたいな感じですかね。基本的に…人間の血肉が、生け贄として使われているそうです。それで、高位の呪具になればなるほどに、とても多くの生け贄が必要になるとか。
そして―
『呪具は、主に誰が使用しているの?』
ですが、呪具を作った張本人である悪魔は使ってないみたいです。
使うのは、人間だけらしいー
悪魔は…よく困っている人間を見つけて『助けになってくれる優秀な魔法具があるよ!!』と語りかけ、呪具の使用を勧めてくるらしいです。悪魔は、人間達に『呪具』を使わせて、何をしようとしているのでしょうか。
現に巷ではー
生け贄さえ調達すれば、簡単に大きな力が手に入るので、一部の人間が好んで使っているみたいですね(一部の人間って…きっと、悪い人達なのでしょうか。そんな感じがします)
(と、まぁ…)
そんな事情で、最近この世界に増えつつある『呪具』みたいですが…
その呪いで、引き起こされた効果には、回復魔法や回復薬が一切効かないとか。なので、それらが効かない『カコシ』と呼ばれる霧は、典型的な呪いと判断しても良いとの事です。
呪いが、解ける方法は
自然に発動時間が過ぎて、元に戻るのを待つか…
その元凶となっている呪具を破壊するか、どちらかみたいです。
「だから、このカコシの発生を阻止したいのならばね~!!」
「その元凶となっている『呪具』を見つけてね~」
「壊さないといけないんだよ~!!」
「ふ~ん、そうなのね…」
そして、勿論―
呪具とは、あくまでも、道具である。
道具は、勝手に1人で動いたりしない。
誰かが、どこかで呪具を使い『カコシ』を発生させているのだ。
一体、誰が…何の為に。
「下手をすれば、そのカコシの呪具の所有者と闘いになるかもね~!!」
「そ、そうなのね…」
出来れば…
そんな恐ろしい呪いを発生させている人となんかと会いたくないわね。
「…」(私)
「でも…この世界には、悪魔がいるのね」
私は、意外そうに言います。
「ボクの精霊の国には、呪具を売り捌いて、沢山の銭を稼いでいる悪魔がいてね。とても、羨ましい…じゃなくて、許せないんだっ!!」
「…」(私)
「しかも、ボク達(精霊達)の商売も邪魔をしてくるしイイ!!」
「全然、売れてないじゃん(笑)とか…それって、商売じゃ無くね(笑)とか悪口も言ってくるしね(フウウン)」
ゼニィーは、悔しそうに言います。これが…悪魔(呪い)に対して、対抗意識を燃やしている理由なんでしょうか。
ですが…
精霊達も、何かの商売をしているみたいですね。
とても、気になりますね。もしかして、悪魔に対抗して聖なる武器とかを作っているのでしょうか…
「因みに精霊達は、何の商売をしているの…?」
「精霊の皆で、お煎餅を作っているよ~!!」
「ええっ、お煎餅ですか…!?」
意外すぎる答えに、私はポカーンと口を開ける。
いきなり、世界観が違いすぎますけど…
「名前は、精霊煎餅で売ってるよ~!!」
「しかも中々、市場に出回らない珍しいものだよ~!!」
「そうなんですね…」
(中々、市場に出回らない珍しいもの?)
「じゃあ、もしかして特別な材料で作った凄いお煎餅なのかしら?」
「食べれば、何か聖なる力が身に付くとか?」
「いや、普通のお煎餅だよ~!!」
「えっ…」
「じゃあ、何で?」
「精霊というのは皆、気まぐれだからね!!」
「たまに、皆で集まった時だけ作っているから、販売数自体はそこまで多くはないんだよ~!!」
「だけど、お煎餅の材料にはそれなりにこだわっていてね!!」
「量より質を重視した、とても美味しいお煎餅だよ~!!」
「そ、そうなんですね…」
「…」(私)
「因みに、ゼニィーって…」
「お煎餅を作る時は、何をしているの?」
「んっ、ボクは主に…」
「味に問題が無いか、試食を担当してるけど。あとは、営業かな~!!」
「その役割は、変えた方が良いわよ…」
(他の精霊達も、気付かないのでしょうか…)
「まぁ、試食は(精霊の)皆と一緒にやっているけどね~!!」
「「…いや、他の精霊達も一緒に食べてるんかいっ!!」」
「…」(私)
精霊達は…お煎餅を商売しているというよりかは、只お煎餅を作って食べているだけじゃないのかしら。何となく、そんな感じがした私であった…
それじゃあ、売れる訳が無いわね…私も悪魔と同意見なんですけど。
「自慢のお煎餅だよ~!!」
「今度、送って貰うから、是非食べてみてよ~!!」
「はぁ…」
私は今、何の話しをしていたんでしたっけ…
お煎餅は、美味しいという話しでしたっけ。




