39話 リンゴの話し
「はい、ただいま~!!」
草原のどこからか、ゼニィーは戻って来ました。
私は、ゼニィーの声で『ハっ!!』と目を覚ます。
どうやら私は、草原の上でしばらくウトウトしていたみたいですね。
「それで、闘いの方はどうだった~?」
「ちゃんと、出来たの~?」
「…」(私)
ゼニィーは『今日、学校はどうだった?』と、まるで…学校帰りの子供に聞く親みたいなノリで聞いてきた。
「勿論、圧勝よ、圧勝…」
「圧勝に決まっているじゃないの!!」(真っ赤な嘘)
私は、平然とした感じで言う。
私は何故か、どうでも良い見栄を張った。
「そ、そうなんだ。それは良かったね…」
そして、ゼニィーは全く信じていない顔で言った。
「うぅぅぅ、だって…」
「あっ~そうそう、食材を沢山取ってきたよ~!!」
「えっ、ウソ!!」
「有難う、ゼニィー!!」
「ホレ―!!」
ゼニィーは口から『ペっ』と、私が渡したタッパーを出す。
「これは、便利な入れ物だね~!!」
ゼニィーは、タッパーを珍しそうに言います。
フフフフ、そうでしょう。
でも、貴方の口も中々便利じゃないの。ゼニィーも、私のポーチみたいに、口に入れて色々な物を持ち運べるらしいです(まぁ、少しベトベトしますけど…)
では、早速ですが中を見てみましょう!!
そういえば、私は異世界の食材を食べるの…初めてですね。
(ゼニィーから貰った飴は、ノーカンですよ)
なので何が入っているのか、とても楽しみです。
(ドキドキドキドキドキドキ…)
「それっ!!」
(パカ―)
「「「「「ギャアアアアアアアアアア~!!」」」」」
―私の叫び声は、遠く彼方まで響き渡ったでしょうか。
私は一瞬、意識を失いかけた。
○
「「ちょっと、ゼニィイイー!!」」
「「何なのよ、これはアア~!!」」
私はしばらくして、冷静になっていました。
そして、ゼニィーに半泣きで、怒ります。
結論から言いますと…
タッパーの中に入っていたのは、殆んど虫やドングリみたいな木の実でした(私…虫は、ダメなんです)
あの~、ゼニィーさん…私、鳥じゃ無いんですよオオ。
「人間は、贅沢だな~(ムシャムシャ)」
「「ヒィィィィ!!」」
ゼニィーは、カマキリをムシャムシャと食べながら言います。
中々、グロいですね…コレは。
そして、木の実をピーナッツみたいにボリボリと食べます。
私は、異世界に来てから色々と悲鳴をあげてきましたが…
今回の悲鳴が一番大きかったでしょうね。そういえば、コイツ…最初、モンシロ蝶を捕まえて、喰おうとしていたわよね。
「ハァ…」(私)
「あっ、でも…」
改めてタッパーを見てみると、蠢く虫達に埋もれてリンゴみたいな果実もありました。これは…パーシャの町の露店で売られていた果実と同じですね。これなら、食べられそうです。
私は、恐る恐るタッパーからリンゴ?を手に取ります。
そして、一口噛る。
(シャクウウウ―)
ああっ、リンゴの味ですね!!
普通にリンゴでした。そして、このリンゴ…とても美味しいです。噛った瞬間に、中に詰まった水分が、私の口の中に弾け飛びます。何とも瑞々しい、とても甘くて濃厚な味です。
う~ん、こんな大草原を見渡しながら、食べるリンゴはまた一味違いますね。まるで…ピクニックをしている様な、ウキウキ感がします。
「…」(私)
まぁ、そんな美味しいリンゴなんですけど、異世界に来てもリンゴか…
ここで期待していたのとは、違う様な気が…
何か、新鮮味に欠けますね。
「ねぇ、ゼニィー…」
「この果実の名前って、なんて言うの?」
私は、ゼニィーに聞きます。
(まさか、リンゴじゃないわよね…)
「それは、リリアンゴールドという果実だよ~!!」
「「ええっ、リリアンゴールド!?」」
「凄い大層な名前ですね…」
「皆、略してリンゴって言っているよ~!!」
「…」(私)
「「いや結局、リンゴかああーいっ!!」」
私は、良い感じにツッコみます。




