34話 夢と窓ガラス
「ヒュウウウウウウウウウウウウウウ―」
―私は、草原の緩やかな坂道を歩いていた。
天気はとても良く、白く眩しい光を全身に浴びながら。
アア、とても暖かい…
空から降り注ぐ日差しは、春の様に暖かく爽やかで心地よいです。
ですけど…
風が、とても冷たい。
まるで、雪が舞いそうな骨身にしみる冷たさを感じる。
時折吹く、そんな風は草原をユラユラと揺らしながら、歩いている私を少し震えさせます。
ですけど、暖かい日差しがすぐに私を包みこんでくれました。
そして、気付くと私はある大きな建物の中に入ろうとしている。
大きな門をくぐり、立派な扉を開けて―
「「「バアアアアアアアアーン!!」」」
その建物のエントランスには…
壁や天井に綺麗な装飾が施されていて、天井にある大きく立派なシャンデリアの光に反射すると、それらがキラキラと光輝いていました。所々にある純白の可愛らしい天使の彫刻は、そんな煌びやかなエントランスの中をまるで飛び回り…
戯れているかの様に見えました。
そして―
私自身も、シャンデリアからの煌びやかな光に全身を包まれていました。
真上の大きいシャンデリアに目を向けると…
そこには沢山の天使が乗っていて、私の事を見下ろしている。
―まるで、天使達に不思議な魔法をかけられている気分ですね。
その建物は、どこか…
私が今、来ている廃墟と雰囲気が似ている気がした。
この廃墟が、まだ使われていた頃の…かつての姿なんでしょうか。
エントランスを眺め見ながら、その内に私は長い廊下を歩いていく。
そして、階段で2階に上がっていくと…今、私とゼニィーがいる部屋でしょうか。
「ガチャン―」
その部屋の扉を開けて中に入る。
「サアアアアアアアアアアアアアアア―」
部屋の中に入ると…そよ風が、私にあたります。
少し開いた窓から入って来る風は、カーテンをヒラヒラと靡かせている。
そして…
今、私が丁度寝ているベッドでしょうか。
そのベッドの上に、髪が銀髪の女性が座っています。窓から照らされる白い日差しに反射して、その銀色の髪がキラキラと光っていました。
―顔は、霞んで見る事が出来ません。
…ですが、私の方を向いて、何かを話しかけている感じがしました。
この女性は一体…?
私は耳を澄ませて、その女性の声を聞こうとする…
「…」
「…」
「イ…」
「イブ…」
「イブ、おはよオオオオ~!!」
「ハっ―!!」
私は、そこで目を覚ましました。
「ファ~アアアア、もう朝だよ~!!」
丁度、ゼニィーも今起きたらしく…
眠そうにあくびをしながら、私に言います。
「…」(私)
(今のは、夢ですか…)
私は、何とも言えない気持ちになります。そして、私も眠そうにあくびをしながら、ゼニィーにおはようと言おうとしますが…
「ファ~アアアア…」
「ゼニィー、おはよ…んっ?」
(ギシィギシィギシィギシィ…)
「ギャアアア―!!」
「「ドシィィィィィィィィィィ~ン!!」」
(モクモクモクモクモクモク…)
―私の悲鳴と共に、辺りに埃が舞います。
一瞬、何が起きたのか分からなくなりましたが…どうやら、寝ていたベッドの底が抜けて、私はそのまま床に尻もちをついたみたいでした。
「あ~、痛てててて…」
(何なのよ、このベッド!!)
私はベッドに文句を言おうと、改めてベッドを見ますが…
しかし…そこにはベッドは無く、バキバキに粉々になったベッドらしき木の破片が散乱しているだけでした。
「「「!!」」」(私)
(てか、あれっ…?)
と言いますか…部屋を見渡しますと、明らかに昨日と部屋の様子が違いました。壁も床も天井も…まるで時間が戻ったかの様に、他の部屋と同じ感じで、何もかもが朽ち果てていました。
窓には…ガラスなんて、はまっていません(汗)
「ゼニィー!!」
「これは、一体…?」
私は、ゼニィーに問いかけます。
「さぁ…昨日は、暗くて気付かなかったんじゃないの~?」
「…」(私)
「あ~、なるほど。それもそうね!!」
そうゆう事で流した。
○
時間は、朝の10時前でしょうか。
天気はドンヨリと重たい雲に覆われて、弱い雨がパラパラと降っていました。昨夜の雷雨の影響か、所々に大きな水たまりが出来ている。町のメインストリートに向かう下り道は、酷くぬかるんでおり、私は傘を片手に滑らない様に、気を付けながら歩いていました。
「ピチャピチャピチャピチャ…」
「…」(私)
(先程、見た夢は一体なんだったんでしょうか…)
(これは、もしかしてこの身体の…この少女の記憶なんでしょうか)
私は、そんな事を思いながら歩いていました。
そして、その内に町のメインストリートに着いていた。まぁ…町のメインストリートといえど、その人波はとても少ないですけどね。
そして、雨なのか…
傘を差した人は足早に、私の目の前を過ぎ去っていく。
私が、声をかける間も無く。
(う~ん、誰かにギルドの場所を聞いてみたいですけど…)
私は、キョロキョロと辺りを見渡しながら…しばらく歩いていると、私のすぐ横に『open』と書かれた札が、ドアにかかっているお店を発見しました。これは丁度良いと思い、とりあえず…その店の中に入ってみる事にする。
(お邪魔しま~す!!)
「カラン、カラン―」




