30話 広告
「ヒュウウウウウウウウウウウ―」
「ゴロゴロゴロゴロー」
湿った風が、草原を駆け抜けていく。
辺り一帯は…陽も暮れ始めていた。
元々ドンヨリとした雲に覆われて薄暗かったですが、更に暗くなろうとしていました。雨が降らないのが不思議なくらいです。
遠くの空からは、雷鳴も聞こえている。
そんな中、私は町から出て、再び草原にいました。
そして、今からここで魔獣を召喚したいと思います!!
(イエーイ!!)
「「パチパチパチパチパチ―」」(意味もなく拍手)
…と、その前にギルドカードには、自身が使える魔法として “魔獣召喚の魔法” が確かに書かれていましたが、その中には2つの召喚の技名があった様な気がした。
(どんな魔法が使えるのか…)
(改めて、ギルドカードを見て確認しましょうか…)
そう思い、私はギルドカードを取り出してタップするが…何も反応がありませんでした。と言いますか、ギルドカードに煌めいていた星が消えて、ギルドカードは真っ黒になっていた。
(あれっ、どうゆう事だ…?)
「…」(困惑)
まぁ…仕方がないので、昨日オッサンに言われた通りに、魔法を使ってみる事に。まず、私は頭の中で今の切実な気持ちを念じました。
『今、お金が無く、食料もあと僅かで困っています。何でも良いので何か助けてくれる魔獣よ、出てきて下さい』…と。
それから、私は目の前に手をかざして、その先にある地面に…昨日、湯沸しポットでお湯を沸かした時の様に、その場所に意識を集中させる。とりあえず、これで “魔獣召喚の魔法” を発動が出来るでしょうか。
物は試しにやってみる事にします。
~10分後~
私は…しばらく目の前の地面とにらめっこをしていますが、一向に何も変化が起きる気配がありませんでした。やはり、念じ方がザックリとしすぎたんでしょうか。
もっと、具体的なイメージが必要なのでしょうか。
でも、私…この世界の魔獣はゴブリンくらいしか知らないし…
(もう無理でしょうか…)
私は諦めて、止めようとした時でした。
「「「!!」」」
(ゴオオオオオオオオオオオオオオ―!!)
私の目の前に突如、魔法陣が出現して、その周囲に風が吹き荒れる。
そこから、いかにも魔獣が出てきそうな感じがしました。
…なんか、出来ました。やりましたアアアー!!(歓喜)
どうやら本当にギルドカードの書いてある通りに、私は…私は “魔獣召喚の魔法” が使えるみたいでした。
(ワ~イ、ワ~イ!!)
まぁ…魔法陣が出現しただけで、まだ肝心の魔獣は出てきませんでしたけど、私は先走った感じで歓喜していました。そして、いよいよ魔獣の出現か-そう思った矢先でした。
風が吹き荒れる魔法陣の手前…
私の目の前に、空中ディスプレイが表示される。
「はぁ?」
そこには、こう書いてあった。
『貴方はこれから、カムバック召喚を行おうとしています』
『果ての魔法で、この魔法を強化しますか?』
『 YES 』 『 NO 』
「…」(私)
いきなり表示された、これは何なんでしょうか…
まぁ、魔法を強化してくれるとの事なんですが…その表示された空中ディスプレイは、まるでネットに表示されるバナー広告を、私に連想させていた。
(今は、別に良いかな…)
私は、バナー広告を無視する様な感じで『NO』を選択しますが…
『本当に良いんですか? 後悔しますよ』
『果ての魔法で、この魔法を強化しますか?』
『 YES 』 『 NO 』
「…」(私)
私の目の前に再び、空中ディスプレイが表示される。
私は『 NO 』を選択するが…
『これは、カムバック召喚ですよ!!』
『ここで、使わないと間違いなく損をしますよ。そして…今ならば、更に特典でお菓子もついてきますよ!!』
『果ての魔法で、この魔法を強化しますか?』
『 YES 』 『 NO 』
「…っ!!」
しつこいな、この広告っ。それに特典にお菓子って…子供ですか!!
いや、今の私は子供なのか…
とりあえず、先に進まないのでもう『 YES 』しますかぁ。
私は『 YES 』をタップすると-
魔法陣から強い光が放たれる。その直後、更に強い風が吹き荒れて、周囲に土埃が舞い、私の視界を遮った。
『ご利用、有難うございます。それでは魔法の発動を再開します!!』
『素晴らしい良い旅を―!!』
吹き荒れる風と土埃の中、空中ディスプレイは、その様な表示をして消えていった。
結局…
この広告は、なんだったのかはよく分かりませんでしたが、風が吹き止むと魔法陣の周りには、風で舞った土埃がモクモクと立ちこめていた。
そして-
土埃の中には、何かが潜む影が見える。
果たして、どんな魔獣が出てきたのでしょうか。
私は、土埃の中を見つめます。
「…」(私)
(ゴクンっ―)
「こんにちは、僕は銭の精霊のゼニィーです。宜しくねー!!」
「「!!」」(うわ、なんか喋った!!)
突然、土埃の中から声が聞こえた。そして、土埃もおさまって徐々に視界が開けてくる。そこにいたのは-
奇妙な生き物であった。
その生き物は、薄い黄色の球体の形をしていて、大きさはバレーボールくらいでしょうか。そこには、目と口や紐の様に細い手足がついていて、その手や足の先は丸くなっていた。
ドラ○もんの手みたいな感じですかね。
そして…
特徴的なのは、翼が生えて飛んでいる事と、大きな角が1本ある事でした。
「…」(私)
(ん~なんと、言いますか…)
世界観が、まるで違う…子供の落書きの様な見た目であった。
その生き物は、私の事を真顔で見つめている。
「こんにちは、僕は銭の精霊のゼニィーです。宜しくねー!!」(2回目)
「こ、こんにちわ。私はイブよ」
「…」(思考)
コイツ、銭の精霊なのね。いや、銭の精霊って何だ!?
火や水の精霊とかでしたら、分かりますけど…銭の精霊とは一体。
あ~、もしかして…お金に困っていると念じたから、その類いの魔獣が出てきたのでしょうかね。それにしても、その見た目も相まって、とてもヘンテコな魔獣を呼んでしまった。あと喋った事にも驚きですけど。
(ゴクン―)
では、私は気を取り直して本題に入る事にします。
「アンタ、銭の精霊なのね。じゃあ、私にお金頂戴」
私は単刀直入に言うと、その奇妙な生き物は怒って言いました。
「コラアアー!!」
「出会って、いきなりお金を頂戴なんて失礼だろー!!」
「…」(私)
…それもそうですよね。私もその適当な見た目から、ぞんざいな感じで聞いてしまっていた。私は謝り、言い直します。
「ごめんなさい。貴方は、銭の精霊なんですね。私は今お金が無くて困っていまして、少しだけでも良いからお金を貰えると、いや貸してくれるだけでも良いので、助けてくれないかしら?」…と。
「あ~、そうゆう事ね」
「でも僕も今、お金持ってないんだ」
「はっ?」
「えっ…銭の精霊なのに、お金を持ってないんですか?」
「うん、今金欠中」
「あの~、だから…僕にお金を恵んで下さい」
真顔で、その奇妙な生き物は言った。
「…」(私)
あの~、思い切りブーメランが突き刺さっていますけど…
というか、私も今お金が無いって言ったでしょうがっ!!
何なの、コイツは…
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