24話 この人は誰だ?
俺は、テクテクと自分のペースで…
のんびりとウサギの後を歩いていく。
ウサギも、俺との距離が遠くなると、立ち止まり待ってくれている様だ。
これは、頼もしいな。
(テクテクテクテクテク…)
でも、ウサギに案内されるなんて、どこのファンタジーだろうか。
最初は、何かの偶然や勘違いと思ったけど、そうではないのかもしれないな。
そういえば…あのスマホ?には、魔獣調教士とか、あとは魔獣使役の魔法とか、書かれていたな。もしかして、俺がウサギさんと意志疎通が出来る事も、そうゆうのが関係しているのだろうか。
(ふ~ん…)
「ヒュウウウウウウウウウウウウウ―」
あ~、強い風…
―どこからか強めの風が吹いて、葉っぱがヒラヒラと宙に舞っている。
やはり、ここは地球じゃないのか?
見渡せば、どこまでも大草原が広がっている。俺は、異世界に来てしまったのだろうか。
俺は、そっと風に耳を澄ませる。
とても、静かだ…
都会の様な、騒音は一切しない。自然の音だけだ。
時折吹く風の音、その風で靡びいている草原の音、鳥のさえずる声など…
「フフフフフ…」
こんな自然の中を歩くなんて、凄く久しぶりだからなぁ。
良い気分転換だ。心が晴れ渡る!!
「ルンルンルンルンルン…♪」
俺はスキップをしながら、歩いていた。
これなら、どこまでも歩いていけそうじゃん。
(((ん~、最高オオオオ~!!)))
「ハハハハハハハハハハハハー!!」
…と思いながら、俺は大草原の中を歩いて、すでに2時間近くが経過していた。流石に、疲れてきたんだけど。あの~、ウサギさん。一体いつになったら、川に着くんですか?
…というか、俺は喉が凄く渇いていた。もう喉がカラカラだ!!
ポーチの中には、食料(昨日の晩飯)はあったが、水分は入っていなかった。水筒もあったのだか…中身は、空だった。
あと、湯沸かしポットの中もね!!
((あ~、水が飲みたい…))
(テクテクテクテクテク…)
次第にそんな思いも、入り混じりながら歩き続ける事、しばらく…
俺は、やっとお目当ての川に辿り着いていた。草原の合間に流れる小さな川だ。水も透き通っており、水の中を小魚が気持ち良さそうに泳いでいるのが、良く見える。
とても、綺麗な小川だ。
「ハァハァ…やっと着いた…有難うね、ウサギさん」
俺は息を切らしながら、ウサギさんにお礼を言う。
…ウサギさんは川の水面に近づいていくと、ペロペロと水を飲んでいた。
俺も飲みたいけど…川の水を直接飲むのは、気が進まないなぁ。
でも、今はそんな事言っていられないし…
とても綺麗そうな水だし、大丈夫だろうか?
そんな迷っている俺を、水を飲み終えたウサギさんは、黒く可愛らしい瞳で見つめてくる。ウサギさんは、俺に “とても綺麗な水だよ。飲んでみな” と言っている様な気がした。
「…」(俺)
(じゃあ、俺も水を飲んでみるか…)
「ゴクリっ―」
俺は手で水を掬って、喉を潤す。何て、冷たくて美味しい水だ…
「あ~、生き返る…」
喉を潤した俺は、満足げにそう呟く。
「…」(俺)
「あれっ…?」
ところで他にも何か用があって…
ここに来た様な気がしたけど、何だっけ?
ど忘れした。
「!!」
そうだ、とりあえず…水筒の中にも、水を汲んでおこう。
多分、この事だったかなぁ…違う気もするけど。俺はポーチから空の水筒を取り出して、その中に水を入れる。
よし、OK!!
さてと、お次は…近くに人が住んでいる所とかないかなぁ。町とかね。
頼りになるのは、このウサギさんくらいだ。
「ではウサギさん、次のお願いをします」
「俺を、人の住む町まで連れて行って下さい!!」
俺がそう言うと、ウサギさんはピョンピョンと飛び跳ねて先を行く。どうやら、また案内をしてくれるみたいだ。有難う、ウサギさん!!
俺は引き続き、ウサギさんの後を歩いていく事に。
○
「ヒュウウウウウウウウウウウウウウー!!」
(キラキラキラキラキラ―)
俺とウサギさんは、それからしばらく小川のほとりをテクテクと歩いていた。綺麗な小川の水面は、波打つ事が無く…とても静寂で、陽の光をキラキラと反射させている。どうやら、この川の先にでも町があるのだろうか。
…しかし、人が全然いないな。
町に向かっているならば、そろそろ誰かに会っても良いはずなんだけど。
「!!」
俺は何となく、小川に目を向けると…
水面に可愛らしい少女の姿が映っていた。
(おっ!!)
早速、人を発見。この近くに住んでいる人かな?
色々と聞いてみたい事があるんだよなぁ。
(キョロキョロキョロキョロ…)
(あれっ…?)
しかし、俺は辺りを見渡すが、その少女はどこにもいなかった―
違う、これは俺だー
「「「ギャアアアアアアアアアア―!!」」」(俺の叫び声)
俺はー
水面をマジマジと見る。
その顔は、少女だった。俺の顔じゃない。
大体は、察していたけど…まさか、本当に!!
(((アワワワワワワワワワー!!)))
「俺は、一体…」
「俺は、一体…」
「「「「「私は一体、誰なんだアアアアアアアア~!!」」」」」
少女になった私の叫び声は、虚しく空へと消えていく…




