21話 彼方の星へ
「ガサガサガサガサ―」
部屋の中に入ると…山積みになった雑誌や、今日食べた朝食の皿の洗い残し、そこら辺に脱ぎ捨てられてグチャグチャになった衣類、ずっと敷きっぱなしの布団、いつ食べたか分からないコンビニ弁当のゴミ袋などが、色々と散乱している。
「…」
…この頃、全然片付けをしていないからな。
とても汚い部屋であった。
「ドサアア―」
俺は買ってきた晩飯を、その辺に放り投げる。そして、部屋の灯りを点けると、すぐに畳の上に仰向けに倒れた。
真上に見える灯りの光が、滲んで見えました。
-どうやら、俺は社会で生きていくのが上手くないらしい…
淡々と時間だけが無意味に流れていき、気付けば…もう30歳をとうに越えていた。このまま、何も起こらずに老いて死んでいくのだろうか。
いや…その前に、心はすでに死んでいるに等しい状態だった。
こんな事ならば、最初からどこでも良いから定職に就いて、働くべきであった。なんで…あの時の俺は、何も考えていなかったのだろう。
いや、そもそも人生を最初からやり直したい…
もっと、計画を立てて生きるべきだったな。
そしたら、今よりはマシな人生を歩んでいただろうか。
彼女を作って、結婚をして、今頃は幸せな家庭を築いていただろうか…
まぁ、これも自業自得なんだがな。
「ハァアア…」
その内に、目に溜まっていたであろう涙が、頬をつたっていた。
俺は、腕で涙を拭う。
すると、俺は少し気が楽になった感じがした。
だが…だがだ。嘆いてばかりでも仕方がない。
少しずつでも生きている限りは、頑張らなければいけない…(グスン)
あ~、そういえばだ!!
俺は自分を励ます様に、冗談混じりの考えを巡らす。
30才を過ぎて、童貞だったら魔法使いになれるって言っていたな。
只の迷信だと思うが、心のどこかでは本当に魔法使いになれるのではないかと、期待していたもんだ。
…まぁ、30才を過ぎて何年も経つけど、結局魔法は使えなかったがな。
少しでも期待をしていた自分がいた事は…なんか、恥ずかしいな。
「ハハハハァ…」
俺は軽く笑いながら、ため息をつく。
とりあえず、これからでも定職に就くか…
だが、今までも…こんな俺だ。
俺にこなせる仕事が、この世界にあるのだろうか。
「…」
今日は、もう疲れた。明日になったら考えよう。
俺は…折角買ってきた晩飯も食べずに、そのまま寝てしまっていた。
「…」
「…」
「…」
-これは、夢だろうか?
気付くと…
俺は、白い光の中にいた。
そして、遠くから、誰かの声が聞こえる。
俺は何となく、その声に耳をすませていた。
「…」
「…い」
「…がい」
その声は、次第にハッキリと大きく聞こえてくる。
「…ねがい」
そして突然、女性の声で強い口調で-
「「「「「お願い、この世界を救って!!」」」」」
「「ウォっ!!」」
俺はその声に驚いて、目を覚ました。
「チュンチュンチュンチュン―」
「…」(俺)
「何だ、夢か…」
俺は、胸を撫で下ろしていた。
「ハァ…」
(今のは、一体何だったんだ?)
(疲れていたから、変な夢でも見たのかなぁ…)
「あ~、ビックリした!!」
「んっ…?」
「「「「ええええええええええええ~!!」」」
俺は、改めてビックリするー
目覚めた所は、アパートではなかったのだ!!
―俺は、見渡す限りの大草原の中にいた。




