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19話 ???







十数人の騎士が “水の合体魔法 滝壺豪雨” を発動させる。


私は結界の後ろの方で、固唾を飲んで見守ります。




私が…私達が結界の後ろの方に退避したのは、ある理由があるからです。


そもそも、この巨大な結界を作った理由は、この為のものになります。


まぁ勿論、サラマンダーの吐く炎を防ぐという理由もあるにはありますが、それ以上に。







   ―サラマンダーの群れの上に、巨大な魔法陣が出現する―







そして―



「「「発動オオオオー!!」」」



魔法陣から大量の水が滝の様に降り注ぎ、サラマンダーの群れに水を浴びせます。


その直後―




   「「「「「「ドゴオオオオオオオオオオーン!!」」」」」」


    「「「「「ゴオオオオオオオオオオオオー!!」」」」」 





「「うおっ…!!」」(私)




サラマンダーの群れに水を浴びせた瞬間に、凄まじい蒸気による爆風が発生して、私達がいる巨大な結界を直撃する!!


サラマンダーに浴びせた水が、その高熱の体表によって一気に蒸発して、水蒸気による爆発を引き起こしたのです。





…しかし、巨大な結界の中にいる騎士達は、全然平気です。





私も…私達も、巨大な結界が盾になってくれて、爆風の直撃を避けられましたので、平気でした。でも流石に、ここまでの爆風は予想してませんでしたけど。


やはり、サラマンダーの数が多かったからでしょうか。







       「「「ゴオオオオオオオオー」」」






サラマンダーの群れは大量の湯気によって、覆われている。


辺りも、高温の湯気によって、サウナの様に暑くなっていました。


所々に出来た小さな水溜まりは、ボコボコと沸騰しており、熱湯になっている。







そして…


次第に、湯気で曇った視界が晴れてきます。





「「「!!」」」(私)





大量の水を発生させる魔法でしたが、サラマンダーの群れの周囲には、水は一滴も残っておらず、全て蒸発していた。



…がしかし、作戦は成功したみたいです。




サラマンダーの群れは、冷えきった溶岩の様に固まり鎮火しており、動きは完全に止まっていました。




あの巨大サラマンダーも…



水量は、ギリギリ足りたみたいです。








良かった…










「「よしっ、結界を解除しろー!!」」


「「砲撃準備ー!!」」


そして、すかさず砲撃で一掃に入ります。




「「いでよ、大砲!!」」(砲撃手達)



砲撃手達は一斉に魔法陣を出現させて、十数台の大砲を呼び出します。


そして、サラマンダーの群れに向けて、横一列に大砲を並べる。






この大砲は…どこにあったのかというと、一緒に馬で引いてきた1台の運搬用の馬車の中に入っていたものです。


この馬車の大きさは…大砲が、やっと2~3台乗るくらいの大きさでしょうか。しかし、この馬車の中には、持ってきた全ての大砲が入っていました。


この馬車は、収納の魔法が付与されている特殊な馬車でありまして、馬車の中の空間を拡げる事により、とても沢山の物資が運べる優れものなのです。そして、その馬車の近くからならば魔法陣を通して、自由に出し入れも出来るのです。


因みに…この収納の馬車はとても高価であり、使用にも沢山の魔石を消費するので、この様な有事の時しか使いませんよ。









―砲撃をする為に、すでに巨大な結界は解除されていました。





後は一斉に砲撃をして、一掃すれば討伐完了です。


誰もが、胸を撫で下ろしていました。










          「ゴオオオオオ…」














        「ゴオオオオオオオオ…」














       「ゴオオオオオオオオオオオ…」














     「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ…」










(この音は、一体…)


まるで…地下で、何かが激しく流れている様な不気味な音だった。














「「「「!!」」」」



その瞬間であったー


完全に動きが止まったと思われた巨大サラマンダーの1体の目に、赤い光が灯ったのだ!!



「しまっ―」


「「「「「「「ドコオオオオオオオオオオオーン!!」」」」」」」



私がそう言い切る前に、その巨大サラマンダーは爆風を発生させて、固くなった岩石の体表を周囲に吹き飛ばしていた。


飛ばされた多数の岩石は炎を纏い、さながら隕石の如く周囲に降り注ぎ、その一部が何人かの騎士を押し潰す所を見た。





―ギリギリ足りたと思った水量は、足りていなかったのだ。




十数人での水の合体魔法…我が騎士団の最高の威力を誇る水の魔法でしたが、サラマンダーの群れの火力の方が僅かに強く、動きを完全に止められなかったのだ。




そして、巨大サラマンダーは凄まじく怒っていた。


これは、私が “魔獣の気持ち” を使えるから…

という訳ではなく、誰が見ても怒っている事が分かる様な、禍々しい形相と魔力を放っていた。





ですが…




私は、その “魔獣の気持ち” で、魔獣の少し先の動きならば予測する事が出来た。


巨大サラマンダーの動きを…






       「「全員一時撤退だアアアア―!!」」



       「「この場から離れろー!!」」






騎士達は皆、混乱していた。

コーレン副団長が、そう叫んでいるのが聞こえたが、私の頭の中には、その声は殆ど入っていませんでした。



今からまもなくー



巨大サラマンダーが、砲撃の為に前方にいたルイアに向かって、凄まじい火炎を吐くの事が分かった。そして、ルイアがその炎に呑まれてしまう事も…







ルイアが危ない 助けなければー






私がそう思った瞬間には、すでに身体が動いていた。




私は、私が持てる全ての魔力を推進力に変えて、物凄い速さでルイアの所に行く。100メートル以上あった私達の距離は、瞬く間に縮まっていた。








少しでも、ルイアを遠くに―




私は溢れんばかりの推進力を全て両手に込めて、ルイアを思い切り突き飛ばす。そして、私は咄嗟に『身代わりの指輪』をルイアに発動させていた。





ルイアは、凄く突き飛ばされて…





というか吹き飛ばされて、まぁ…恐らく巨大サラマンダーの火炎に巻き込まれないだろうと思われる場所まで飛んでいった。






私の突進の威力は、凄まじかったので…

きっと、ルイアは怪我をしている事でしょう。



ですけど、巨大サラマンダーの火炎よりはマシだと思います。



そして、大部分のダメージは私が肩代わりしていますので…



ルイアを吹き飛ばしたのは多分、巨大サラマンダーの火炎を肩代わりした所で、威力が大きい為に庇いきれず、結局ルイアも死んでしまうと感じたからか…








「「「…」」」





「「「…」」」







遠くに飛ばされたルイアが私に向かって、何かを叫んでいる気がしたが、もう何も聞こえなかった。




恐らく鼓膜が破けているのか…





ルイアを吹き飛ばした直後ー



私が見た光景は、禍々しい赤い目で私の事を見て、火炎を吐こうとしている巨大サラマンダーであった。


私はルイアを助ける一心で、後先考えず行動していた。

逃げようとしても、身体中の骨が砕けているかもしれない。


全魔力を一気に放出して、常人を遥かに超えた動きをしたのだ。その上、ルイアのダメージも肩代わりしている。その代償は、か弱く華奢な身体には重たすぎた。










もう一歩も、その場から動く事は出来なかった。







私は、死を悟った。







「いやぁ…」 



私の目は、涙ぐんでいた。







その涙は…純粋な死の恐怖からか、それとも騎士として、まだ何も出来ずに夢半ばで終わってしまう悔しさからか、それとも親愛なる家族を残して先立ってしまう辛さからか。


恐らく、それらが全て混じっていたのであろうか。




頬に一筋の涙がつたう。







そして、それと同時に私の目の前に大きな光が現れて、私を包んでいく。













この光は…サラマンダーの炎だろうか…


それとも、炎に引火した砲弾の爆発の光だろうか。







そんなのは、もうどっちでも同じだ。














「ごめん、ルイア…」




最期に私はそう言葉を残して、光の中に消えていった。









         ―イブ・サラリーナ―








“ヴェル王国パーシャ近郊にて、サラマンダーの群れとの闘いにより、死亡。人々を守る為、命をかけて闘い抜いた貴殿の誇り高き闘いは、この王国の勇士として、永遠に語り継がれていくだろう”





こうして、私の騎士としての…誰よりも平和を望んでいた…そんな砂糖みたいな甘い理想を抱えていた一人の騎士の人生の幕は閉じた。




       そうだ…私は、もう死んでいたのだ。



気高く立派そうに見えて、その心はまだ少女の様にあどけなく、か弱かった。







ルイア…



貴方との約束を果たせなかった事が、一番辛かった。



そして、本当は…




貴方と2人で年老いて命尽きるまで、この世界を旅してみたかった。









その願いは、虚しく闇の中に消えていく。















     『魔法騎士になったイブの冒険 (完)』
















いや、まだ終わりじゃありませんからね!!











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