18話 余計な事
私達は、サラマンダーの群れに近付いていく。
近付くにつれ、焦げ臭い匂いと熱気を感じます。
「「ゴオオオオオオオー!!」」
そして、そう遠くない距離で見た巨大サラマンダーは、大きなトカゲというよりかは…翼がない竜であった。
(デ、デカい…)
…まぁ、竜を見た事はないけど、これがもう竜なのではないかと感じる程であった。巨大サラマンダーは…私達に気付いて、ゆっくりと私達の方に向かって歩いてきます。
私達、魔獣調教士は…すぐに “親和の芳香” を発動させる。
サラマンダーの群れから距離を保ちながら…
慎重に刺激しない様に、その魔法を操作します。
巨大ゴブリンや巨大スライムでも時間をかけずに、すぐに意識朦朧にさせて、眠らせてしまう “親和の芳香” ですが、この翼のない竜にどこまで効果が出るかは分からなかった。
「…」(私)
「クっ、やっぱり―」
私の魔法は、確かに巨大サラマンダーを包み込んでいるはずなんですが…
しばらく、時を待つが案の定…そのゆっくりとした巨大サラマンダーの動きは、何も変わる事が無く、相変わらずにゆっくりのままであった。
やはり “親和の芳香” では、この魔獣には通用しないのか。
“親愛の凝香” が使えれば…
ふと―
私の頭に、その魔法の名前が浮かびます。
“親愛の凝香” とは “親和の芳香” の上位の魔法になりまして、とても格が高い魔法になります。現在…この王国では、その魔法を使える者は1人もいません。
突然の余談になりますが…
50年前に、この王国に竜が飛来した時も、この魔法を使って竜を討伐したとか。当時の騎士団の総団長が生命力を全て魔力に変えて、この魔法を発動させたそうです。
そして、竜を眠らせた間に騎士団総出で仕留めたそうです。
“親愛の凝香” を使えれば…
この翼のない竜でさえも、すぐに眠らせる事が出来るはずです。
それが本当は、一番手っ取り早い方法なのです。
砲撃のスタンバイをしているルイアには悪いですけど…
「…」(私)
「「「イブ、危ないっ!!」」」
「「!!」」(私)
「「あっ、しまったー!!」」
私は、巨大サラマンダーの動きだけに気を取られ過ぎていた―
あと…使えもしない魔法とか、余計な事を考えていた事もありますけど。
「「ボオオオオオオオオオオー!!」」
動きが活発な1匹のサラマンダーが、私に向かって炎を吐いたのです。
私は即座に馬から飛び上がり、なんとか炎を回避する。
しかし、私の馬は逃げ出す事が出来ず、炎にのまれてしまった。
「「「ヒヒッイイイイイイイイイーン…」」」
「「ヒヒッイイイ…」」
「「…バチバチバチバチバチバチっ!!」」
「「メラメラメラメラメラメラ―!!」」
あっという間に黒焦げになり死んでいく馬を見て、サラマンダーの炎の威力を垣間見る。
「チっ」
(ごめんね、お馬さんー)
私が騎士になった時から連れ添っていた馬が…
だけど、今は悲しんでいる暇はない。
「「イブっ、こっちへ!!」」
「「はい!!」」
私はすぐに、声掛けで他の魔獣調教士の馬に飛び乗る。
「「イブ、何をしているの―」」
「「全体を見ないとダメよ!!」
「「敵は、巨大サラマンダーだけじゃないのよ!!」」
「はい、すいませんでした」
私は先輩の魔獣調教士の人から、そうお叱りを受けました。
―それからも、相変わらず巨大サラマンダーの動きに変化はありませんでしたが…周りの普通のサラマンダー達には、その効果が出てきたみたいでした。
数体のサラマンダーは、眠っていました。
眠ったサラマンダーは…赤黒く輝いていた体表の光が消えて、その身体は丸くなり、只の大きな岩になっていました。
あれはあれで、討伐完了みたいです。
高温を与えれば、また復活するみたいですが…
あの活発な、私に炎を吐いたサラマンダーも大人しくなっていました。
そして…どうやら、所定の場所まで来たみたいです。
―水の合体魔法の準備も、出来ていると合図が出ていた。
私達は、すぐにサラマンダーの群れから離れて、巨大な結界の中…には入れませんので、結界の後ろの方に待避する。そして、その場所に―先輩の魔獣調教士の1人が防壁の魔法で小さな結界を作り、私達はその中に入ります。
「「よし!!」」
「「水の合体魔法を発動させる。場所は―」」
サニーさんの指揮で、いよいよ水の合体魔法が発動されます。
作戦は、次の段階に進むのです!!




