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《UNDERCARD MATCH 3》 パンと野生と赤獅子

 ――最後は現実世界、日本列島のとある島にて。


 現在日本で発見されている諸島・離島は数多くあれど、近未来の時代でもしかしたら、地殻変動などを起こして新しい島が出来ているのかもしれません。


 そんな訳で舞台は、日本の国境離島の一つである未知の島となっています。ご了承の程を。


 〚SETTING...〛



 ――超次元ゲーム時代にて発見された未知の島。外辺は大海原、岩壁に囲まれて孤立されていながらも、見渡す限りの緑で覆われた平地、或いは密林が独立して生い茂っていた。


 長く高く聳え立つ木々の新緑の葉たちが、陽の光を遮り、或いはその隙間から木もれ陽として差し込んでいく。そして密林には小鳥の(さえず)り、虫たちも自由にこの自然を生き抜く姿が。何とも静かで、心安らぐ場所か―――― 



『ウガアアアアアッッッ!!!!!』



 ……前言撤回。突如として密林に木霊する野生の咆哮。その騒々しい声に反応したか、木々でのんびりしていた熊達が、一斉に木から落ちてくるではないか。


「オリャオリャオリャ〜ッッ、玲王(レオ)さまのお通りだいっ!!」


 木から落ちた熊の一頭目掛け、上から降りてきたのは虎パンいっちょの野生男子!!

 その姿は筋骨隆々、かつ特徴的なのは赤く染まった(たてがみ)のような荒々しい髪。泥にまみれて如何にもワイルドな佇まい!


 グォォオオオオオ!!


「うるせぇッッ、オイラの方が強いんだぞ! ソォらぁぁ!!」


 二本脚で立ち上がり、威嚇する熊に全く動じない野生児。背は熊の方が大きいが、それでも彼は猛突進して熊を押し倒し、鼻を丈夫な歯で噛みついた!

 これには熊も戦意喪失、参ったぁ〜と言わんばかりに両手を上げてお手上げポーズ。勝負あり。


「どうだどうだぁ〜、オイラ強え! オイラスゲェぞ〜!!」


 まるで子どものようにハシャギ、ぴょんぴょん飛び跳ねる野生児。この肉体からして成人そのものだが、精神的には幼稚なようだ。


「オイラ勝ったから、今日のメシに木の実ご馳走してくれよな〜。約束だぞ〜」


 どうやらご飯を賭けての勝負だったようで。熊達はへいへいと渋々承諾した様子で、木の実探しに出掛けるのだった。


「ヘヘッ、また遊ぼーな〜!」


 等と無邪気に熊達にサヨナラを交わしたその時。


 ――――ッッ!


 野生の勘が何かを告げたのか、鋭い嗅覚から自然の香りとは全く異なる()()の匂いを感じ取った。


「……なんだなんだ? 何かイヤ〜な匂いがするな」


 すると野生児、人並み外れた運動神経で一気に密林の高い木の天辺によじ登り、島全体を見渡す。 


「――――うわあっ!!」


 その刹那、野生児の丁度頭上に噴煙を上げて急降下するセスナ機の姿が。

 そのまま島の平地へと激突、爆発と共に煙柱が立っていった。


「ひどいなぁ〜、オイラの島をメチャクチャにして! ……でも待てよ? なんかそこから、ウマそうな匂いがする! よぉ〜し!!」


 何を思ったか野生児、一気に木から飛び降りて、炎上するセスナ機の下へと駆けていくのだった。



 〚SETTING...〛


「――――ぁ、痛ァ〜〜ッッ。ホンマ殺生やで、着いた思たらガス欠で不時着やがな。帰りどないしたらえぇねん……」


 何故に派手な不時着爆発で生きてるのか、小説だからマジレスは抜きにして。セスナ機の操縦者と思われるスキンヘッドにラガーマンなりの巨漢の男が煙に巻かれて機内から降りてきた。


 彼の名は、高橋豪樹(たかはしごうき)(24)。現役の格ゲーファイターの一人だ。


「……まぁ、コイツが無事なら漂流生活でもマシやな。こんなもんに狙いを付けるたぁ、()()()()も堕ちたな」


 等と呟く豪樹の手元には強固なアタッシュケース。さぞや貴重なものが入っているだろうと思わせる素振り。そんな中で……


「うわぁ〜〜、やっぱりこの匂いだぁ!!」

「え、うわぁぁああ!!?」


 この走りはジャガーかチーターか!? 全力疾走で駆け、急接近してきた野生児にビビる豪樹。


「なぁなぁなぁ! お前、ウマいもん持ってるんだろ? オイラにそれくれよ!」


「な、なんやねん急に!? てか、兄ちゃんこそパンツいっちょで何しとんねんな? この島で」

「ここ、オイラの島だ! ほんで、オイラの家だ! それよりもウマいもんくれよぉ〜!」

「それよりも、ってなぁ……」


 野生児の一方的な乗りに困惑する豪樹。


「ウマいもん……あ、もしかしてこのパンの事か?」


 豪樹はリュックサックの中から、非常用に持ってきたコッペパンを取り出す。袋から開けた途端に小麦の香りと、粒あんとマーガリンの甘い香りが広がってきた。


「おぉ〜! それだよそれ!! ハラ減ってんだ、早くくれぇ〜!!」

「あのな、がっつき過ぎやて兄ちゃん……まぁ今腹減ってへんし、あげるで」


「やったぁ〜〜!! いっただきま~す!!!」


 パンを手に取るや否や、野生の如しにパンを貪り食らう。味覚や味はどうでも良いのか、とにかく腹を満たそうと必死で喰らいついた。


(なんちゅー喰い方や、まるでライオンにでも育てられたみたいに……)


 等と思う間もなく、野生児はあっという間にコッペパンを喰い終わっていた。


「はぅ〜、ハラの虫が収まったぁ〜。おじちゃんあんがとな!」

「気にせんといてえぇで。それよりさっき、この島は兄ちゃんの島や言うてたな。ずっとこの島に住んどったんか?」


「そうだ! オイラ、玲王。赤城 玲王(あかぎ レオ)! ――――【赤獅子】だいっ!!」



「【赤獅子】……!?」



 ――高橋豪樹と赤城玲王。

 この二人の出会いと、黄狐と、青龍の魂を持つファイターとの繋がりが、この物語の幕を開く訳であります!!



 ――――拳・華・成・闘。格闘とグルメと最強への三つの道が導く格闘ゲームバトルサーガ!!

 その前座試合はここまで、いよいよ次回より本戦開始であります!!!





小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!


更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!


拳・華・成・闘、次回は赤獅子・黄狐・青龍、いよいよ合流で御座います!!

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