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03あらゆる不幸を引き連れて、すべてを破壊する


キツネ「こんこん」


探偵「うわっ、ちょっと寝てた。」


後輩「あと2分は寝てて平気ですよ。今2番目の殺人現場へ向かっています。」

後輩「あ、さっきの犯人さんは応援の方にお願いしました。」


探偵「そっか・・もう大丈夫だ。で、何があったんだ?」


後輩「強盗殺人事件です。元村長さんの自宅が荒らされ奥さんが殺されました。」

後輩「俺たちが役場にいた間にです。」


探偵「強殺・・凶悪犯罪じゃねえか!オレたちだけで大丈夫か?」


後輩「凶悪犯罪になるほど専門部署以外の方には任せられないんですよね。」

後輩「・・怖気づいたなら止めてもいいんですよ?」


探偵「面白い冗談だ。目が覚めたぜ。」

探偵「ま、リスク管理だけはしっかりやらせてもらうがな。」


後輩「助かります。探偵さんに何かあったらそれこそ大問題ですから。」

後輩「本来なら一般の方には控えてもらうのですが・・本当に人手が足りてなくて。」


後輩「犯人が人質をとっていたあの場面、見事な機転でした。」


探偵「携帯確認したらソシャゲの課金メールがずらっとあったからな。」

探偵「物を知らんきゃ探偵なんて何でも屋やってられん。有名どころはインストールしてある。」


探偵「彼を知り己を知れば百戦して危うからず、だな。」


後輩「孫子ですね。」


探偵「オレはすごいことをやってるわけじゃない。」

探偵「既存のものをうまく使ってるだけさ。」


後輩「十分すごいと思いますけどね・・あ、あの家です。強盗殺人があった元村長さんの家。」

後輩「かわいそうに・・元村長さんショックで倒れてしまったそうです。」


探偵「・・なんてこった・・人が住んでたとは思えないボロ屋になってるじゃねえか。」


後輩「その隣です。たぶんそれ普通に廃屋だと思います。」


探偵「・・ここは山村だから町に出る移住者も多いんだろうなー(棒)」


キツネ「こんこーん♪」


・・

・・・・


悪魔の声ブログ(第1グループ)


”先進国にしか興味ない衰退国のみなさんは、それ以外の国のことなんて眼中にないかもしれない”

”しかし今、中東が変わろうとしている”


”中東は石油という巨大な利権があり、超不安定地帯”

”複数の民族が共存、宗教対立、反政府組織、テロ組織、そして外国の介入が不安定地域にしている”


”戦前はイギリスやフランスの植民地。イギリスの二枚舌外交は領土対立を作ったりもした”

”戦後はイスラエルが強引に建国。アメリカイギリスフランスがそれを後押し”

”当然周辺国は反発。中東戦争を引き起こした”


”イスラエルが建国した場所はパレスチナの国。パレスチナ難民を生み出した”

”今も解決されていない”

”それ故にアメリカイギリスフランスはテロの対象にされやすい”


”テロが過激なのは戦争に勝てないから”

”弱者が強者に抗う手段としてゲリラ戦法が発展して、その一部がテロと呼ばれている”


”爆弾の登場でひとりが大勢を殺せるようになりゲリラ戦法が力を得た”


”テロリスト、テロリズムとは強者が弱者を悪へと貶める情報工作のひとつだ”

”大切な人が殺されたらあなただって・・”


”中東はずっと欧米列強にかき回されてきた”


”民族対立を生み出し宗教対立を煽られ、テロ組織に支援するアメリカ”

”ソ連のアフガニスタン侵攻に抵抗するゲリラを支援して、そのゲリラが後にアメリカ同時多発テロを引き起こす”


”簡単にまとめると、中東の問題はアメリカイギリスフランス石油が9割原因と言っても過言じゃない”


”ただ中東が民主化しにくいのは王制が多いから”

”自分たちの権力維持のため、民主化は国を越えて阻止しようと動く”


”さて、ソ連もシリアやトルコを支援してきた歴史があり大国は大体中東に関わってきた”


”アメリカイギリスフランスソ連・・あれ?中国は?”


”ここからが本題!”


”その中国は最近中東との関係を重視している”

”アメリカと関係の深いサウジアラビアやイスラエルとも積極的に関わろうと動き出した”


”中国とイスラエルの接近にアメリカは危機感を募らせている”


”実はアメリカにとって中東への興味は薄れていた”

”なぜならシェールガスが採れるようになったから。中東の石油の重要性が低くなった”


”・・そこへ中国が乗り込んできた”


”ロシアとウクライナの戦争でエネルギー資源の重要性は高まった”

”だが狙いは石油だけじゃない”


”世界中で石油が使われている。世界中が取引している”


”今はドルで取引されているが、これを人民元に変えたがっている”


”狙いはアメリカのドルを基軸通貨から引きずり下ろすこと”

”そうなればアメリカはドルの調達が困難になり、今までの様な財政出動ができなくなる”


”アメリカを殺すのに戦車はいらない。お金がアメリカを殺す”


”中国の国家戦略は素晴らしいですね。未来を見据えている”


”今の日本に未来はない”

”中国を無視できない時代が来てから慌てても遅い”


”だが今なら間に合う”


”中東の国々は西側諸国と東側諸国を天秤にかけうまく立ち回ろうとしている”

”中国の思惑通りにはなってない”


”中国には味方が必要だ。中国の戦略を後押しできる味方が”

”それができるのは日本しかいない”


”中国と共に腐敗した日本政府を倒し、新しい未来を作ろう”


・・

・・・・


悪魔の声ブログ(第3グループ)


”革命こそ日本を救う一手となる【続き】”


”■社会保障費”


”社会保障費が増え続けることは田中角栄元総理の時代にはわかっていた”

”それをずっっっと解決しないままにしてきた”


”なぜ外国人に生活保護を与えている?”

”生活保護やめたら暴動になる?一気に外国人の生活保護をやめさせたらそりゃ暴動だろう”

”グループ分けして順次国籍国に送り返せばいい。国籍国が拒否したらその国の人間は二度と入国させるな”


”日本政府の外国人優遇政策は明らかだ”


”外国人留学生に無償金銭支援、外国人を守るヘイトスピーチ法”

”外国人土地法があるのに古いからという理由で法を無視する。なら有効期限でも書いとけ”


”日本の税金は多岐に分かれている。これは暴動を防ぐためだ”

”例えば法人税をあげても庶民はそこまで嫌がらない。自分が払うわけではないから”

”所得税をあげると労働者は嫌がるが年金生活者はそこまで嫌がらない”


”自分の負担を嫌がるが、他人の負担は気にしないものだ”


”そうやって国民を分断させている”


”日本の衰退、戦争の危機、増えるばかりの税金、新しい技術を生み出せない日本”

”外国の支配を跳ねのけられない政治、売国奴だらけ、老いていく人と社会”


”今は水面下の問題に見えるが、一線を越えれば堰を切ったように日本は目に見えて狂っていく”


”自分は大丈夫・・そう思っている人たちは、税金に頼らず生きていけるだけの余裕があるのだろうか?”

”老後は外国で暮らせるか?それだけのお金と力があるか?”


”今のままでは、老後は野垂れ死にするかどうかの分岐点に来ている”


”逃げ切れるのは、今いくつの人かな?”

”少なくとも50代以下は幸せな老後を過ごせるとは思わない方がいい”

”30年後の少子高齢化率と人口がわかればゲロを吐きたくなる”


”大丈夫と言えるのは・・既に老人ホームで生活してる人くらい。あとは知らない”


”悪魔の声は老人を殺す”

”栄養の偏ったおいしい食事でコロリと逝ってもらおう”


”今の老人ホームは栄養バランスを考えたおいしくて体にいい食事を提供しようと努力している”

”老人ホームの努力は素晴らしい。お年寄りはさぞ満足した毎日を過ごしているだろう”


”・・その努力、おいくらですか?”


”毎月10万も20万も30万も払う側の身になってほしい”

”歳をとり自分で自分を管理できなくなれば、子供が手続きやお金のやりくりをする”


”80で死ぬのは早すぎる。だが、100歳も過ぎると子供の方が先に死んでもおかしくないくらいだ”

”早く死ぬのは悲しい。だが、長生きしすぎてもお金を管理する子供からは【こいついつまで生きるんだよ】と思われる”


”適度なタイミングで人生を終わらせよう”


”幸せな終末を目指そう”


”健康など無視したおいしい食事で老人を楽しませながら亡くなってもらう”

”おやつ?ベリーグッドだ!夜食?素晴らしい!たくさん食べ満足して死んでもらおう”


”お年寄りが早く死ねばそれだけ税金は浮く”

”たまには家族と一緒に、みんなでおいしい食事をしてもらおう”


”お小遣いをあげないと来ない孫?おいしい食事につられて来ればいいじゃないか!”

”若い人がたまに食べるくらいは問題ない。いわゆるチートデイだ”


”できる限り満足した老後を過ごしてもらい、ちゃっちゃと死んでもらう”

”これが悪魔の声が考える社会保障費削減プラン”


”もちろんできるだけコロッと亡くなってもらうにはどんな食事が適しているか調べる必要がある”

”ひとつ間違えば無限入院生活だ。それでは困る”

”延命治療は推奨せず保険の対象外なども考えているが、何が起こるか調査し小規模に試してから本格的に開始するのが望ましい”


”食べられなくなったら家族を呼んで最後に会えばいい”

”最後に伝えてあげてほしい。大好きだよ、愛してると”


”生き方を考えるのと同じだ。死に方も考える。どうすれば満足して死ねるかを”


”売国奴に安らかな死を与えるのか?虐げられた者たちを野垂れ死にさせるのか?”

”そんな国を誰が愛する?”


”早くプランを実行できれば、それだけ早く結果が出る”


”悪魔の声と、年寄りに税金をつぎ込み若者の未来を潰す日本政府、どちらが正しいか”


”誰もがわからない明日を生きている”

”長生きしたら貯金は底を尽きないか?子供が先に亡くなったらどうする?病気になったら?”


”だから・・最後は国で面倒を見るのが一番だ”


”長生きしすぎは困る。適度な年齢で亡くなってもらう”

”その代わり、幸せな終末を演出しよう。満足して亡くなってもらう”


”そうすれば、いつまでもお金を抱える必要もない”

”年寄りの財産をちゃっちゃと生前贈与させる”

”お金は経済の血液。滞留させず循環させよう”


”・・みんなわかってるだろう?悪魔の声のプランは机上の空論だ”

”だが、現実にする方法がある”


”※続きは次回【革命の問題を取り除こう!】をお送りします”


・・

・・・・


悪魔の声ブログ(第?グループ)


”岸田総理はいつもがんばっているのに、なぜか支持率が低く心を痛めております”

”日本に巣くう悪しき者たちが原因でしょう”


”良い部分を見ず、悪い部分だけを見て非難するなど愚かなことです”


”日本は無能が多すぎます”

”日本の税金にたかる弱者など日本にはいりません”


”正義の鉄槌をくらわせてやりましょう”

”人の形をしたゴミに生きる価値はありません”


”日本が良くなるには生贄が必要です”

”社会のゴミを生贄にしてみんなで結束しましょう”


”日本の未来は明るい。そう、岸田総理のおかげでね”


・・

・・・・


その頃、レーベルラットでは争いもなく人々が幸せに暮らしていました。


・・と、そこへ突然の雷雲!

豪雨が地上を襲いレーベルラットの人々は安全な世界を求めて旅立ったのだった。


それから5分後・・

真実の地を見つけたレーベルラットの人々は幸せに暮らしましたとさ。


・・と、そこへ突然の噴火!

マグマが地表を襲いレーベルラットの人々は安全な世界を求めて旅立ったのだった。


それから10分後・・

悠久の地を見つけたレーベルラットの人々は幸せに暮らしましたとさ。


はっぴーえんど。


・・

・・・・


悪魔の声ブログ(第?グループ)


”不幸な人が暴れたら困るので、ずっとネットに引きこもっててください”

”あなたたちが事件を起こすよりネットで愚痴ってもらってる方がずっとお得です”

”調子に乗ったら訴訟をちらつかせれば大抵卑屈になるので大変楽です”


”愚民同士でいがみ合ってください”


”権力者のみなさんも喜んでますよ”


・・

・・・・


第2の事件が起きた元村長宅。

その入口には地元の駐在さんが待機していた。


後輩「刑事の後輩です。」

探偵「探偵だ。事件解決の手伝いをしてる。」


駐在「本官は超・ド・田舎区の駐在であります。」

駐在「まさかこんな平和な村で立て続けに事件が起こるなんて・・」


探偵「まだ犯人は捕まってないんだろ?詳しい状況説明を頼む。」


駐在「はい!被害者である元村長の奥さんは、町内の日帰り温泉旅行に出かけていました。」

駐在「しかし子供が殺人を犯したと連絡を受け、急ぎ戻って来ました。これは隣家の住人が目撃しております。」

駐在「帰宅した被害者は家に入りすぐ悲鳴をあげたそうです。」

駐在「気になった隣家の住人が様子を見に行く時・・走って逃げて行く何者かが一名いたそうです。」

駐在「鍵のかかっていない家の中には、居間の入口で倒れている被害者だけがいたと・・」


探偵「隣家の住人は町内の温泉旅行には行かなかったのか?」


駐在「この家が町内の境目で、隣家は違う町内です。」


探偵「なるほど。」


後輩「状況からすると窃盗犯と被害者が鉢合わせしてしまい殺害された、でしょうか。」

後輩「家の中を見ていいですか?」


駐在「鑑識が調べていますのでそちらに問題ない範囲なら・・」


探偵「とりあえず指紋つけないようにだな。」

探偵「専用の防菌防臭防寒静電気防止手袋があるぜ。」


後輩「用意がよくて助かります・・もしかして、警察で支給されるのより高性能?」


探偵「・・昔、警視庁の手伝いした時にそれやって嫌がられたことあるんだ。」

探偵「迷惑かけないよう気合い入れたんだが、お高くとまってると思われちまった。」

探偵「だからこれは警察のとほぼ同等品。同じ失敗はしないぜ。」


後輩「へぇ、警視庁とお仕事を。」


探偵「地元に戻るとき挨拶したんだが・・その時こっちの刑事の話を聞いた。」

探偵「・・警視庁に出張してた後輩って刑事がいるってな。」


後輩「え・・じゃあ、俺のこと知っていたんですか?」


探偵「仕事は堅実、性格は温厚、気が付くと昔から一緒に仕事してたと思うくらい見事に馴染んでたってな。」

探偵「なんじゃそりゃとその時は思ったが、なるほど納得だ。一緒にいて仕事しやすい。」


後輩「テレクサイです。じゃあ中を調べましょうか。」


探偵「おう。」


駐在「玄関の警備はお任せあれ!」


・・

・・・・


鑑識「む、誰だ!?・・ああ後輩くんか。こんなところまでご苦労様。」

鑑識「・・キミは誰だね?部外者なら遠慮してもらえないか?」


探偵「探偵だ。大体状況はわかったから退散しても問題ない。」


鑑識「状況がわかっただと?面白い、なら言ってみろ。」


探偵「見たところ被害者は、玄関から廊下を通り居間のドアのところで倒れていた。」

探偵「そして荒らされた居間。駐在の話を合わせれば見えてくる。」


探偵「犯人が空き巣中に被害者が帰宅。犯人がいるのに気にせず家の中に入った。」

探偵「被害者が居間のドアを開けると荒らされた部屋。ここで隣人が聞いた悲鳴を上げた。」

探偵「犯人は被害者をなだめようとして近づき・・被害者を殺した。」


探偵「隣人が犯人を見かけたということは、犯人は玄関から出入りしたのだろう。」

探偵「犯人と被害者は知り合い。だから被害者は気にせず家の中に入ったし悲鳴の後も逃げなかった。」


鑑識「ほう・・では、鑑識が私ともうひとりしかいない理由はわかるかね?」


探偵「市議会議員の事件で来たんだろ?でなきゃこんな早く来れない。」

探偵「まだ向こうも調べ中。しかし早く調べないと証拠が消えてしまう。だから人手を分けてこの人数だ。」


鑑識「素晴らしい!いや疑ってすまなかった。」

鑑識「事件解決のため、地域住民のためよろしく頼むよ。」


探偵「任せとけ。どんな困難からもオレは逃げない。」


後輩「調べて何かわかりましたか?知り合いだと指紋も髪の毛も以前入ったことがある・・で逃げられそうですね。」


鑑識「ああ。だから先に外・・逃走経路の方を調べておいた。」

鑑識「犯人と思わしき靴跡が見つかっている。靴の種類やサイズを教えておくよ。」


探偵「くっそ有力な証拠じゃねえか。それに同じ推理をしてやがったな。」


鑑識「必要な情報が揃えば答えは自ずと見つかる。」

鑑識「とはいえ、町の平和を守るためにはまだまだ・・力不足はいつも感じてるよ。」

鑑識「おっと、長話より犯人逮捕だな。」


後輩「ですね。行きましょう探偵さん。」


探偵「おうよ!」


・・

・・・・


外に出ると、村の人が近づいてきた。


村人「すみません、こちらで何かあったんですか?」


探偵「ん、この声・・」


後輩「ちょっと事件がありまして。すみません、怪しい人を見かけませんでしたか?」


村人「今までずっと青果店で店番をしていましたが・・怪しいと言えば、元村長のお子さんがコロナだって連絡がありましたね。」

村人「ちょうどその時にお子さんが通られまして。怪しいのはそれくらいですかね。」


探偵「やっぱあんた電話に出た人か。」

村人「あーあの時の!元村長のお子さんちゃんと病院行きました?てか、事件って元村長の自宅・・?」


探偵「あの家は一生に一度の災厄が来てんだよ。祈ってやってくれ。」

村人「そうなんですか・・でも仕方ない気もします。元村長、合併前は色々ありましたから・・」


探偵「というと?」


村人「あーいえ昔のことですから。あはは、では失礼します。」


探偵「行っちまったか。どう思う?」


後輩「気にはなりますが後にしましょう。」

後輩「強盗殺人犯は野放しのままです。窃盗のつもりが思わぬ重犯罪になったことで自暴自棄になっているかもしれません。」

後輩「新たな事件の発生を防ぐのが優先です。」


探偵「同感だ。物証を始末される前に素早く対処だな。」

トラブルの種か・・もしかして、最初の事件ともつながりある?


・・

・・・・


隣人「目撃した怪しい人物ですかい?後ろ姿だったのではっきりとは・・」

隣人「ただ、私と同じくらいの年寄りとは思いましたが。」


探偵「若いやついるのか・・?」


後輩「事実陳列罪は重罪ですよ。」


隣人「若い人おるで。元村民の親族はんとかたまーに越して来たりしますわ。」

隣人「ま、やっぱ町の方がええって人もおりますが。」


探偵「・・なら、コロナになるやつもいるのか?」


隣人「あーおるおる。というか最近いた。最近いうてもひと月前かな?」

隣人「クラスタ言うの?あれ起きまして。ぎょーさんコロナなりましたわ。」


隣人「そりゃコロナも最初の方はかかったら村八分!みたいな空気もあってみんな気を付けておったけど。」

隣人「でも最近はマスク面倒って人や自粛とかしたくないって人も多くてねー。」

隣人「まあ政府が旅行だの推進しとるからしゃーないんでしょうが。でもコロナにかかるとみんな大変ですわ。」

隣人「やれ隔離だわやれ退屈だわもー家族も大変。」

隣人「苦しい苦しい言う人もおれば微熱ですぐ元気って人もいて。でも一週間は自宅待機。こりゃかなわんわー。」


探偵「ご協力ありがとうございました。後輩くんじゃあ行こうか。」


後輩「え、ええ。」


隣人「この辺りで検査できるとこなくて隣町まで行きましたわー。」

隣人「あと市販の検査薬?あれ色々種類あってどれ選べばいいかほんま困る。」

隣人「コロナになったらお風呂に入るたびにきっちり掃除せんといかんとかきっついきっつい。」

隣人「なんで無症状の人からコロナもろて症状が出るんかのう。」

隣人「今みたいな解熱剤じゃなく特効薬がほし・・あら、もう行ってしもうたか。」


隣人「若い人はせっかちやのー。」


・・

・・・・


後輩「コロナが気になりましたか?」


探偵「細かい話だが、青果店の店員に電話した時にちょっとな・・」

探偵「・・あいつコロナ患者だって名指しされたやつに話しかけようとしたんだ。それが気になって。」


後輩「クラスターが発生しているならコロナが危険なのは知っててその行動はおかしい・・と。」


探偵「ああ。事件とは結びつかないからそこまで気にすることじゃないと思うが。」

探偵「単にバカの可能性もあるしな。」


後輩「何にしても、事件が先ですね。目撃者を探して犯人を追いましょう。」


探偵「だな。逃走ルートを想定してどの辺りで聞き込みするか決めるか。」


青果店の店員ってさっき話しかけてきた人だよね。

そういえば・・元村長、合併前は色々あったって言ってたっけ・・


・・

・・・・


被害者の家と逃走方向を考えると、山頂ルート1か山頂ルート2。

普通に考えればそちらに自宅があるのだろう。


ここからは地道な聞き込み。


逃走犯の特徴を伝え、見かけたか確認する。

またその様な服なり人物なり心当たりないか確認する。


村人1「さあ・・見かけないね。ところでうちの娘(40)の婿に来ないか?」

村人2「うーん・・それだけじゃちょっとわからないな。ところでうちの娘(44)をもらってくれないか?」


村人3「・・もしかしてあの人かな?」


後輩「心当たりが?」


村人3「まあその・・ついさっき聞いたんだが、市議会議員さんが殺されたんだろ?」

村人3「・・そのお子さんだよ。以前その格好で出歩いてたのを見たことある。」

村人3「いい歳して借金抱えてこっちに戻ってきたんだ。親御さんが借金返してそれからは親の手伝いをしてたみたいだが・・」


後輩「・・」

探偵「・・なんだこの村。」


今は合併して村じゃなくなっていますよ。


・・

・・・・


探偵「元村長の子供が市議会議員を殺し、市議会議員の子供が元村長の妻を殺した・・」

探偵「なんだこれ?」


後輩「市議会議員の子供の方は確定していませんが、窃盗目的なら別々の犯罪ですよね?」

後輩「片や殺人狙い、片や金目当て。」


探偵「殺人が目的で金はついでかもしれねーぞ。交換殺人?いやなら元村長を狙う方が自然か・・?」


後輩「元村長の奥さんが旅行でいないという前提なら、元村長さんを狙った可能性も捨てきれません。」


探偵「復讐の可能性もありえるな。誰が親を殺したか知ったなら・・」


後輩「・・気味悪いですね・・っと、議員の方を調べていた鑑識さんから返事来ました。」

後輩「市議会議員のお子さんは自宅にいるそうです・・帰ってきたばかりだと。」


探偵「とすると、市議会議員は自宅近くで殺された感じか。」

探偵「自宅で殺されたら家族は入れないし、遠くで殺されたら現場を調べてる鑑識に子供の様子はわからない。」


後輩「はい。自宅の隣にある駐車場です―――行きますか。」


探偵「ああ。なんだってこんな・・解決しなきゃ気持ち悪くて帰れねえよ!」


・・

・・・・


ぴんぽーん。


後輩「すみません、お話少しよろしいでしょうか?」


しーん・・玄関の鍵は・・かかってる。


探偵「確か方針は”人命最優先”だよな?」


後輩「はい。」


探偵「なら・・失礼するぞ!」

探偵さんはいそいそと一階の窓が開いてないか調べ始めた。


後輩「手伝います・・ドアをぶち破るかと思いました。」


探偵「警察の依頼で動いてるからなぁ。窓が全部鍵かかってたらどっか壊して入るけど。」


後輩「あ、台所の窓が開いています。」


探偵「入るぞ。慎重にな。」

色々な可能性がありえるけど・・実は留守で不法侵入を訴えられたらどうしようかな。


・・

・・・・


探偵「(物音はなし・・背後の注意は頼む)」

俺は頷き、襲撃に備えた。


探偵「(一階は誰もいない。玄関に・・血の付いた服が・・)」


後輩「(すぐ鑑識さんを!・・いえ・・)」

後輩「(俺が二階へ行きますから探偵さんは鑑識さんを呼びに行ってください)」


探偵「(馬鹿言うな。二階へはふたりで行くぞ・・何かあったら大声上げる準備をしてろ)」

探偵「(一応玄関の鍵は開けとくか・・)」


人命最優先の意味・・みんな人命なんだよね・・

探偵さんも、俺も・・犯人さんだって・・


・・

・・・・


驚くほど静かな世界。

昨日まで日常だったのに、今は変わらない毎日に終わりを告げようとしている。


後輩「(・・この部屋から気配を感じます)」


探偵「(他の部屋は誰もいなかった・・覚悟を決めろ!)」


俺たちは部屋の中に入った。

部屋の住人はいた。


俺たちが見上げる位置に・・


後輩「急いで降ろします!!!」

探偵「くそったれ!この机借りるぞ!」


探偵さんが上に乗っている物を床に落としながら机を移動させた。

ふたりがかりで降ろす。


後輩「聞こえますか!?意識はありますか!?」

ほっぺを叩きながら意識確認をする・・ダメだ。


後輩「・・呼吸してない?気道確保!心臓マッサージをします!」


探偵「おーい!!!鑑識こっち来てくれ!!!市議会議員の子供が自殺を試みた!!!!!」

探偵「AEDあるならそれも頼む!!!!!」


なんだ?なんだろうこの感じ・・

・・悪魔の声に翻弄されていた時と似ているような・・


強い悪意を感じる。


・・

・・・・


鑑識「まさか隣でこんなことになっていたとは・・気付けず面目ない。」


後輩「それはしょうがないかと。息は吹き返しましたし後はお医者さんに任せましょう。」


探偵「すまん、現場を荒らした。むっちゃ強引に机を移動させちまったから・・」


鑑識「すぐその判断ができたなら見事なものだ。」

鑑識「大抵のやつは怖気づいてろくに何もできん。」


探偵「首吊りは初めてじゃないからな・・不景気は嫌だねぇ。」


え?


鑑識「遺書が見つかったよ。」

鑑識「”窃盗に入った家で殺人を犯してしまった”」

鑑識「”罪の重さに自ら責任をとることにした”」


探偵「遺書を書いてなかったら間に合わなかったな。遺書グッジョブ。」


遺書「いえいえどうも。」


後輩「大体調べた通りですね・・ただ・・」


鑑識「ん?」


後輩「動機がわかっていません。」


探偵「確かに気持ち悪いままだよな。自然に起きる出来事かこれ?」

探偵「ふたつの事件は関連ある気がする。」


鑑識「調べるのはいいが、もうだいぶ暗い。明日にした方がいいんじゃないか?」


後輩「ですね。」


探偵「帰るのだりぃ。」


鑑識「ははは、なら宿に泊まったらいい。山の幸を食べて鋭気を養い明日の活力に、ってな。」


探偵「車で来れる距離だからなぁ。警察が費用出すならともかく・・どうせ出ないだろ?」


後輩「大丈夫です!なんとかします。」


鑑識「ふぁ?」

探偵「税金の無駄遣いでは・・?」


・・

・・・・


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