18話 VSゴブリンジェネラル 決着。逃亡者の謎
そろそろヒロインくるかな・・・?
『強かったよ。ゴレイド……!』
何故この時モンスターにあんな言葉をかけたのか自分でもよくわからない。
ただ、そう思って、口から出て、全力で斬り捨てた。
自分の中の得体の知れない感情を確かめるように、そんなことを考えながら地に伏したゴレイドを見つめていると。
「……」
「……」
僅かな時間、視線はぶつかり。
ゴレイドの体はゆっくりと崩れるように跡形も無く消滅していった。
(消えた……初めて見る反応だ)
《名持モンスター:『ゴレイド』 及び率いるゴブリンの群れを討伐 経験値取得》
《----のレベルが12⇒21に上昇しました》
《特定討伐ボーナス スキル熟練度アップ》
《平面走行LV.3⇒LV.5》
《立体走行LV.3⇒LV.5》
《走破製図LV.1⇒LV.3》
《洞察眼LV.2⇒LV.4》
《読心術LV.1⇒LV.2》
《精神耐性LV.3⇒LV.5》
《目利きLV.1⇒LV.3》
《弱点直勘LV.1⇒LV.3》
《弱点特攻LV.1⇒LV.3》
《ドロップ率上昇LV.1⇒LV.2》
《近距離剣術LV.3⇒LV.4》
《体術LV.3⇒LV.4》
《直感反応LV.3⇒LV.4》
《武具投擲LV.3⇒LV.4》
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「……今回はやけに上がったな」
感傷的な雰囲気もそこそこに、おなじみの声は響く。
「名持って言ってたな」
この声に認知されている……名前を持っているのはゴレイド1体とも思えない。他にもいるってことだよな。
(ゴレイドと同じく人語を操るモンスター……)
名持モンスター。
今回の各レベルが大きく上昇したのも相手が名持だったというのが関係しているんだろう。
群れの討伐とも言っていたしな。
多分。
「……」
思えば。
死のうと思って半年間眠りこけて、目を覚ましたらこんな世界。
この世界で生きてみたい、知りたいと願って外に出てからこっち、巻き込まれ首を突っ込み。
悪意ある人間、そしてモンスターと戦ってきた。
そのモンスターは、自分と知己の人間を脅かす害獣。
シルエットだけでいえば人間にも近しいともいえるゴブリンやオークをそういった認識のもと殺してきた。
(けど、『ゴレイド』……名持モンスター……)
奴は。
ただのケダモノだと思っていたモンスターは、知性と礼節のようなものをちらつかせ俺はそれを斬り捨てた。
魔物使いを取り逃がした時と同じような、嫌な感情が脳裏をよぎる。
それでもあの時より気分がマシなのは、スキルのおかげか。
ゴレイドとの戦闘の中で決意した、戦いの覚悟のおかげか。
どっちにせよ改めて身に染みている。
(俺はあまりにも無知だ)
自分の中の本能のようなものが訴えている。
知れ、と。
そして何より、
捜せと。
「……ん?」
水の中を沈むように考えを深くしていると、視界の端。
ゴブリンジェネラル・ゴレイドが倒れていた場所に輝く何かが落ちているのに気がつき近寄ると。
「これは……石?水晶か?」
拾い上げると卵くらいのキレイな石。
見ると淡く光っていて、考え事を遮るのも頷ける異様な物体だった。
「こんな目立つものさっきまであったか?」
「ん……ぅう……」
ふと聞こえてくる呻くような女性の吐息に。
「! そうだ、襲われてた女性……!」
それまでのモヤがかった思考はすっかり霧散し、石はポケットにしまい込み女性のもとに駆け付ける。
「すぅ……すぅ」
「……どこかを痛めている様子もないし、目立った外傷はなさそうだ。呼吸も普通に眠っているだけっぽいな」
過去に軽くかじった医学と『洞察眼』で容体に異常がないのを確認し一息つく。
スキルも思いもよらないところで役立つもんだ。
「それにしてもこの人は、山さんのホームレス仲間……というわけでもなさそうだよな」
身なりからしてそうは思えないし若い女性がホームレスというのも……
俺が今の世の中をよく知らないだけで珍しくないのかもしれないけど。
「なんにせよ、このまま放っておくわけにはいかないよな……公園に連れて行こう」
そのために割って入ったんだから。
でもその前に。
「失礼します……!」
寝ている女性相手になんとなく背徳感を感じながらも、まったく知らない人間を招き入れて彼らの生活を脅かすわけにもいかないので、少しでも彼女について知るために俺は『目利き』を発動した。
(『目利き』もLV.1からLV.3に上がったからより多くの情報が見えるはずだ)
名:?
レベル:56
種族:ハーフエルフ
性別:女
職業:?
武器:?
防具(手):?
防具(脚):?
防具(飾):レザーマント(改)
MP:?
攻撃力:?
防御力:?
素早さ:?
知力:920
精神力:?
器用:?
運:?
状態:MP切れ
称号:無し
所有スキル:???
ユニークスキル:???
「レベっごじゅ!?ハ……エルフ!?え、きゅうひゃっ……!……!?」
俺はまたも思考の海にどっぷり浸かるのだった……
情報量多いわー