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15話 疾走。会敵

前回、追い詰められている人物のもとに駆け付ける主人公視点です

 スキルが発動しないギリギリに加減しつつ廃工場へ向かっていると。



「ゲギャォォオオォ!」


「……この声か」



 確かに、公園で聞いた通り今までのゴブリンなんかとは一線を画す不吉さを感じる鳴き声だ。


「近いが……闇雲に突っ込むのも危険だな」


 ゴブリンから逃げ惑った時よりレベルも上がり装備も増えたが、いつだって脅威は自分の体験のその先。

 未体験との遭遇にある。

 俺が知っている世界は狭すぎる、ビビり過ぎでちょうどいいんだ。


「この建物から様子を窺うか」


 手近な建物の階段を上り見晴らしの良いところで迷路のように入り組んだ路地を見渡す。


「多分あの方角から鳴き声が聞こえてきたはずだけど……」


 他の建物も背が高いから死角が多く全てを見渡せるわけじゃない。


「……ん?」


 だから、こんな迷路みたいなところで見つけられたのは奇跡に近いだろう。


「人が、襲われている!?」


 路地と建物の隙間から途切れ途切れにしか見えないが、鳴き声の主と思われる大きな影に小さな人影が追われている……と思う。


(いや、助けるにせよ倒すにせよ。スキルの力無しじゃ多分ムリだ)


 だったら今は駆けろ。

 後のことは置いていけ。


(階段を下りている時間も惜しい、最短距離で近い建物に飛び移りながら高度を落としてなおかつ敵の頭上を取るんだ!)


 走行スキルを駆使しながら、多少無茶をしつつモンスターのもとに向かう。

 この外套のおかげで無理な受け身も取れる。



(……見えた!)



 路地の塀の上まで降り、飛び移りながら前方を見ると、少し開けた場所で小柄な人影がモンスターに囲まれてるのが確認できた。


(周りの物陰に隠れているのは、ゴブリン?)


 しかも弓矢らしきものを持っている。


「まずい……!」


 更に走行速度を上げると予感は的中し、人影を囲むように矢をつがえ構えるゴブリン。


(間に合え!!)


 矢とへたり込む人影の射線上に滑り込むと、俺は祈る思いで外套を翻し。




(は、弾けた……)


 弓を使うモンスターを相手にしたことはなかったから、矢を防げるか確証はなかったが……


 内心の動揺を出さないように、刺激しないように心掛け背後の人物に声をかける。


「もう大丈夫だ」

「……あな、たは……?」


 若い女性の声だ。

 フードを目深にかぶっているので表情は窺い知れないが、余程怖かったのか震えているのが目に取れる。


(それにしても今のゴブリンの動き、一体だけ居るでかいやつの指示で動いたように見えた。モンスター同士でも連携が取れるのか?)


 初めてゴブリンと遭遇した時も挟み撃ちにされたことはあったけど、今のゴブリンの動きはより統制が取れているように見えた。

『洞察眼』で見てたからわかる。


(……今はとにかく、モンスターたちを倒さないと)


 また矢が飛んでくるとも限らないから外套は女性に装備させ、俺に関心が向くようモンスターたちへと駆け出す。



(でかいな。外見はゴブリンによく似てる。 『目利き』)




 名:?

 レベル:18

 種族:ゴブリンジェネラル

 性別:?


 攻撃力:?

 防御力:?

 素早さ:?

 知力:?

 精神力:?

 器用:?

 運:?

 状態:ふつう

 称号:?

 所有スキル:

 ???




 ゴブリン、ジェネラル……なるほど、やっぱり奴が周りのゴブリンを指揮しているんだな。

 で、あのオークよりレベルは上か。


(相手は俺よりもレベルが上。数もそろえてきて統率が取れてる)


 今はあの時と違って体力にも余裕がある。

 後ろの女性を担いで逃げることもできるかもしれないけど……


 今はそんな論理的な思考より、自分の中に芽生えつつある闘争の意思が膨れていくのを感じていた。

 危険な判断だと分かっていても、手が剣を握り込むのを止められないんだ。


(ついさっき、ビビり過ぎがちょうどいいなんて言っていたのにな)


 僅かな迷いを断ち切るように剣を抜き放ち。



「いくぞ!ゴブリンジェネラル!」



 宣戦布告し己の体を奮い立たせ、格上との戦いに身を投じた。

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どうして女性がこんなところに一人でいるのかな?
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