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10話 VSオーク 託された剣

 この廃工場に来る前、公園で池さんと話をする直前に俺は池さん相手に『目利き』のスキルを試していた。

 その時に見た池さんの職業(ジョブ)は。



「ヌシ、なぜワシが【鍛冶師(かじし)】だと?」

「説明は後だ!今すぐ武器が欲しい!さっき俺が持ってたナイフより丈夫な!突貫でそういうの出来るか!?」

「……即席でいいのなら、10分でできるが」

「本当か!?」

「しかし、元となる鋼が……」

「これ、使えるか!?」


 俺は池さんに、中ほどでぽっきり折れたナイフを投げてよこした。






 :::::::::





 坊主の投げたナイフを受け取りその状態を(あらた)める。


「これは、ダメじゃ……」


 このような大量生産品の鋼ではせいぜい伸ばして同程度の物しか打てん。

 こんなものでよくあの巨体の化け物と渡り合っとるもんじゃ。



 ……いや。

 ひとつだけ方法があったの。


「坊主!大丈夫だ!今こいつで新しい(もん)を打ってやる!」

「本当か!わかった、それまで俺が引き付ける!」


 嘘じゃよ。

 こんなナマクラ、どうしたってマシにはならん。


「坊主は、ワシの仲間のために命を懸けて戦っとる」


 ワシも命で答えなければ。

 こんな無価値と思っとった老いぼれの命で坊主の助けになるのなら。


「刀匠のワシからすりゃこんなもんは邪道もいいところだが」


 なるほど確かに。

 便利かもしれんのぉ。



 《警告。このスキルの使用条件は『代償発動(だいしょうはつどう)』です。スキルを使用しますか?》



 決まっとろうが。



「【鍛冶師(かじし)】、()()()()()()()



 受け取ってくれ坊主、これがワシの償いと




「《魂鋼(たまはがね)》」




 恩返しじゃ






 ::::::::






「ゴガァァァアア!!」

「くっ!」


 とめどないオークの攻勢に俺は追い詰められつつあった。

 疲弊していく俺をよそに、こいつの勢いはとどまる所を知らない。


(まだか、池さん!はやく!)




《受け取れ!坊主!》




 一旦距離を取る為大きく飛びのいた瞬間、どこからともなく池さんの声が聞こえる。

 それと共に頭上から棒状のものが降ってきて目の前の地に突き刺さる。



「これは、剣か?」



 さっきのナイフとは比べ物にならないほど、刃渡りも厚みもしっかりした剣。

 柄を握り込み引き抜くと、長剣とはいかないもののそのサイズは扱いやすく、触れるものを両断する雰囲気を秘めた美しい刀身が日の光を反射する。


「ショートソードってやつか、すごい……すごいよ池さん!これならいける!」


 はしゃぐ俺にお構いなしにオークは迫りくる。

 礼をいう暇も無いな。


(真剣なんて扱ったことないけど、要は長い刃物だ。真っ直ぐ振って真っ直ぐ刃を立てれば……!)


 もう見飽きた太い腕の攻撃を躱し、下から斜めにわき腹を斬りつける。


「ゴォォォォ!?」

「通った!」


 さっきまでのナイフとは比較にならない切れ味。

 相当なダメージだったらしく、痛みに吠えるオーク。


 元のこいつに知性があったのか、ゴブリンのように獣のような野蛮さだったのかは分からないが。


「お前も、あの魔物使いに利用されてるんだよな……今、楽にする」


 俺は最後の一撃のため走行スキルを全開に駆け出す。


(これで決める!集中して狙い澄ませ、今できる最高の一振りで斬り抜けるんだ!)






 《熟練度が規定値を超えました 職業(ジョブ)解体師(かいたいし) 獲得》

 《弱点直勘LV.1 獲得》

 《弱点特攻LV.1 獲得》

 《ドロップ率上昇LV.1 獲得》



 両腕を広げ迎え撃つオーク、間合いに入った俺を両の手で叩き潰すつもりらしいが。


「終わりだ」


 最大速に乗り切った俺をとらえることなくすり抜け。

 池さんの打った剣は、


「ゴ……ガ!?」


 オークの首を両断した。

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― 新着の感想 ―
インテリジェンスウェポンは熱いけど中身ジジィなんだよな……
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