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俺以外異世界人  作者: プププ
1/4

哀れな王

「おい! やめろ! はっなっせ」

「お前はここに入ってろ」

俺は頑丈な牢屋に放り込まれ、扉が閉まる。

「ここから出せ!」

扉を叩く。

バン、バン と連続で楽器を鳴らすように奏でた。


「俺は! この国の王様なんだぞ」

壁にパンチをする。

ドボーンと轟音が鳴り響いた。

扉に近づくと、腐っていた。

「うわ! なんだこれ!」

(べとべとして、気持ち悪いな)

扉を通りすぎ、 コツ、コツ と足音を立て、階段を上る。

自分がいた城が、消滅していた。

「はっはっは! よしこれは夢だ眠ろう」

すると、上から黒いオーラをまとった、男の天使が下りてきた。

「今ので生きている奴がいるのか!」

黒い天使が俺に触ろうと近づく。

「やめろぉ」

白いオーラをまとった、女の天使が俺の前に立ち、触るのを防ぐ。

「ぐわぁ」

二人が触れ合うと、悲鳴を上げ消滅した。

「なんだったんだ、今のは!」

俺は訳も分からず、混乱した。

「一人では寂しかろう?」

目の前に、大きい女神が現れた。

「異世界から人を寄こそう。そして、また国を作ってみろ!」

「俺に、国を作れだと?」

女神が指を上に向けた。

俺は上を見た。

「うわぁ! 誰か受け止めてくれ!」

(親方! 空から男の子が!)

俺は心の底でそう叫ぶ。

すると、俺から少し離れた地面に穴が開いた。

穴が光り、プチッと音を立てた、デデーン。

上から墓が降ってきた。

「おい! いきなり死んでるじゃねぇか!」

女神は笑う。

「あっははは、第一転移者、死す」

「笑えねぇーよ」

俺は怒っている。

「そうだ、お前を女にしてやろう」

「は?」

女神が指パッチンすると、俺の体が、細くて可愛い、ちび女になった。

「おいぃ! 元に戻せ!」

「これで民は増やせるだろぅ?」

「一人でどうしろって言うんだ!」

「サラダバー!」

女神が去ると、俺は足で小石を蹴り、小指がグキィと悲鳴をあげた。

なんと、小石は木だった。

「あぇぇうぇっぇ」

俺も悲鳴をあげた。

女神が戻ってきた。

「いきなりピンチなのかぁ? 弱すぎぃ! ほ! れ! 

もう一人追加しといたぞ」

今度は、女の頭が地面から現れる。

「ここが、異世界!」

首から下は出てきていない。

「う、動けない!」

「もう帰るぅ」

女は消え、女の形が地面に残った。

「おいぃ!」

俺は地面を、強く踏みまくった。

すると、さっきの女が、俺の下から出てくる。

「かえしてぇ! 元の世界に!」

「ちょ! おま!」

地面が盛り上がり、女の全身が地中から出ると、俺は体勢を崩し倒れ、

泣いている女に体をガッチリと掴まれた。

「ぎぇぇぁ! おぉたぁすけぇぇ! しにたくんなぁい!」

俺は悲鳴をあげ足をじたばたする。

女は俺の耳を優しく甘噛みした。

「おれぇのみみぃがぁぁ」

俺は耳を食べられたと勘違いをして、泡を吹いて倒れた。

「かわぁいい」

最後に女の声が聞こえたような気がした。


俺は目を覚ますと、警戒する。

「あぁ、あのぉ女は?」

俺は周りを見る。

木の家にあるベッドの上に、自分がいることを知った。

「いつできたんだぁ?」

大声で叫ぶと、女が現れた。

「起きたんだね おはよう!」

「うぎゃぁぁ! たぁべぇなぁいぃでぇ!」

俺が悲鳴をあげると、女は手を合わせた。

「いぃ たぁ だぁ きぃ まぁ すぅ」

俺には女の声がすごくスローに聞こえた。

「あぁぁえぇぇあぁぁ」

涙でうまく喋れていない。

俺の耳が、ペロリと舐められる。

俺は白目を向き倒れた。

「なんとぉ、情けない奴だぁ! もう一人追加だなぁ」

女神の声が聞こえたような気がした。


俺はベッドで目を覚ました。

女が二人に増えていた。

「スピー」

俺は見なかった振りをした。

(これは夢、これは夢、そうだ夢だ)

自分に暗示をかけた。

(夢なら耐えられる)

俺の中に勇気が湧いた。

新しい女が近づいてきた。

「お主可愛いのぉう!」

頭を優しく撫でやがった。

俺の体がプルプルと痙攣し、そのまま意識を失った。

「今度は男も連れてくるかぁ」

薄れていく意識の中、女神の声が聞こえた。


俺の目が覚めると、視界が黒く、体が動かなかった。

柔らかい椅子に拘束されているような感じがした。

「ずぅっとぉ、抱きしめていたいのぉう」

「おぉぉえ、ぉぉぁいぉうあぁ」

(この声、女2号かぁ)

口に違和感があり、うまく喋れない。

「はぁぶぅひぃへぇ」

俺は必死に、口の物を外せと頼んだ。

(くそぉ)

俺は手と足を鞭のようにしならせ、暴れる。

女2号が俺の腰を絞めてきた。

「あああぁぁぁ」

俺が叫ぶと、背骨がボキッと叫んだ。

俺の足の力が抜け、足が垂れ下がる。

「あぁぇいあぁ」

悲鳴をあげながら腕を振り回す。

こんどは、肩がグキィと悲鳴をあげた。

両腕の力が入らない。

腕も犠牲になった。

「これで、女の子のお人形さん第1号獲得」

俺の事を女の子のお人形と言っただと、許せん。

(だんだん、息ができなくなってきた)

俺の意識は、徐々に消えていった。

「お城は完成したのに残念じゃな! はぁっあ! はぁっはぁっ!」

女神が俺の事を嘲笑った。

「もう一人追加しておくかぁ」

女神が最後に呟いた。


俺は目覚めていない。

俺は首を動かすと、俺は椅子に座っていて、

周りには誰もいない、腕と足がついていた。

俺は必死に逃げようと、腕と足を動かそうとする。が、動かない。

体をひねるようにすると、腕と足がポロリと落ちた。

俺の腕と足がなくなり、落ちていたのは人形の手と足だった。

俺は悲鳴をあげようとするが、喋れなかった。


俺は目を覚ました。

汗をダラダラと垂らしながら。

俺は真っ先に腕と足をみた。

何事もなかったようにくっ付いていた。

「あぁぉぁぉぁ」

(あぁよかった)

俺はちゃんと、喋れていないことに気が付いていなかった。

さらに新しい女が現れた。

「どぉ? 折れていた腕と足! 治したよ?」

優しい声だった。

「あぃあぉぅ」

(ありがとう)

「背骨と肩折られたときに、精神も折られていたのか」

優しい女が俺の服を着替えさせ、オンブをして城をでた。

男と女二人は俺を見つけるために、城を必死に探しているだろう。

俺はそう思いながら、優しい女に身を任せ眠った。


私が目を覚ました。

(今までの夢はなんだったんだろう)

私には好きな人がいる。

一目見て、好きって思った。

私は喋れないけど。

私の世話をしてくれている、あの人は私の事をなんでも知っている。

「最後の女に洗脳されて、終わりとは可哀想だのぉう」

女神が私の頭に、言葉を贈った。

「お前が幸せなら! ハッピーエンド!」

女神が無理やり終わらせようとする。

ドンドン パフ パフ 祝砲が上がった。


お終い。


俺の名前はスイ。

俺は最近友達になったシルフィに自作の絵本を読んであげていた。

少し前までは、木の家を作り、誰か来るのを待っていた。

そんなとき、女神さまが緑色の髪をしたエルフを異世界から連れてきた。

この世界の第一村人だ。

ちなみに俺はずっと、この世界で一人だったから、俺が王様。

「どうだった? 俺の書いた絵本」

「青い髪で肌が白い、小さい女の子が、俺! っていうの変だと思う」

シルフィが、俺の一人称を否定した。

「本の事だよ! 本の事!」

「普通」

(俺の絵本の評価が普通だとぉ! 異世界人のくせに)

「絵本読んで貰ったし、私がご飯作るね」

シルフィが料理を作りに行った。

「暇だなぁ」

俺は寝て、ごろごろと転がり、仰向けになる。

睡魔が襲ってきた。

「また連れてきてやったぞ」

女神さまの声が、俺の頭に響く。

俺の顔の上に、ピンクの髪の女の子が降ってきた。

俺の顔はお尻で圧迫されて、息ができない。

「うぅいぃ」

(くるしい)

俺は必死に口を動かし、言葉を発する。

ピンクの女の子が、くすぐったいのか体重をさらに乗せてきた。

俺は息ができずに、体がびくびくっとはね、

ピンクの女の子に乗っかられたまま、泡を吹いた。

(王様の俺になんてことをするんだ! この女は)

「ごめんごめん、可愛い女の子に踏まれて良い気分でしょ?」

泡を吹いている俺に向かって、ピンクの女が喋った。

「えぇ? え? えぇぇぇ? 私より可愛い女の子!」

ビクビクと震えている俺の体を、女が強く揺らす。

「私の名前、ピクル。君の名前は?」

ピンクの女の子の名前は聞こえた。

が、

それ以降は意識を手放していたため、聞こえなかった。


俺が目を覚ますと、布団の上にいた。

シルフィとピクルが俺の手を片方ずつ握っていた。

「両手に花」

俺の声に反応したのか。

シルフィとピクルが同時に喋った。

「可愛いお花さんが目覚めた」

(え? どこぉ? どこ!)

俺はキョロキョロと周りを見渡し二人の言葉に合うものを探した。

「いないじゃん! うぅそぉつぅきぃ!」

俺はスローで嘘つきと言った。

すると、二人は人差し指で交互に、俺の鼻先を突いた。

「ぷにっぷにっして可愛い!」

二人の息が合ったように同時に喋った。

俺はうつ伏せになり布団を被った。

俺の怒りが頂点まで達し、顔が真っ赤になる。

俺は怒りの矛先をどこにも向けられないので、

どんどん溜まっていき、頭がオーバーヒートした。

オーバーヒートしたことにより、俺の脳は眠った。














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