感動の再開
「バルバド! それにみんな!」
「シーラ……なのか?」
「うん、シーラだよ。よかったぁ、みんな無事だったんだね」
「シーラが生きてたなんて」
「嘘みたい……」
感動の再開である。
シーラがゴブリンに捉えられて2日、その後俺と一緒に10日過ごし、今日で11日目、つまりほぼ2週間ぶりの再会なわけで、感極まらないわけがない。
皆、シーラの無事を抱き合いながら喜んでいた。
話を聞いていると、どうやらバルバド達はシーラがもう戻ってこないものと考えていたようだ。まぁ、普通に考えれば、魔物に連れ去られて無事に生還するほうが珍しいとは思う。
しばらく話をしているとやがて俺の話になった。
「ところで彼は何者なんだい?」
バルバドがシーラに尋ねる。
「彼は私の命の恩人。グリードよ。魔術師で召喚術を扱うの。」
「召喚術…… それは随分と珍しい魔術師だな。」
そう、俺とシーラは村に入る前にその辺の口裏合わせをしていた。さすがに、非魔術師というと、「どうやってシーラを助けたのか?」とかいった疑念がわくこと間違いない。またゴーレムを空間収納から取り出したり操っているところを見られるとそれはそれで注目を集めてしまう。だったら、ゴーレムを召喚し使役する召喚術師ということにしてはどうか? という話に収まった。
ちなみに、召喚師というのはこの世界に確かに存在するようだ。ただ、かなり特殊な魔法で召喚術を扱う魔道具なんてそうそうないから、基本的には魔道具がなくとも魔法が使える上級魔術師の代々続く家系として召喚術が存在する。
それはそれで注目を集めちゃいそうだが…… 仕方ない。こっちの説明のほうがまだ現実味があるということだから、シーラのアドバイスを信じる他ない。
「シーラの命を助けていただいて、ありがとうございました。」
『ありがとうございました』
バルバド含め、アリスにマロンだっけ? シーラのメンバーの各々が俺に礼を言う。ちゃんと礼を言われて当然俺も気分がいい。
「いえいえ、人助けは当然のことですよ。それでは、俺はこれで。」
さぁ、俺の役目は終わった。これから町を探索しよう! と思ったところでシーラから呼び止められた。
「グリードはこれからどうするの? せめて何かお礼できるまで村にいてほしいんだけど…… ダメかな?」
上目遣いでお願いされると返答に困ってしまう。
もっとも、俺としても今日明日でこの村を出ていくつもりはない。この世界のことを色々と知りたいのだ。それにグリードのいた町、確か「ラックバレー」だったかな、その町までの道のりや準備も欠かせない。
なので、最低数日はこの村に滞在する予定だった。
「数日はこの村に滞在するつもりだ。その間で都合がつけば礼を受け取るよ。」
「うん! 約束だよ!」
ぱぁっと表情が明かるくなったシーラに頷き、俺はハンターギルドを後にした。ちなみに、シーラと別れる直前で隷属魔法は解除した。もうシーラを隷属させておく必要はないからな。
で、後悔した。
別に隷属化を解除したことに対して、ではない。
「しまった、宿屋の場所くらいは聞いておけばよかった……」
だが、流石にかっこよく出て言った手前、「ごめん、宿屋はどこ?」とまた聞くのも恰好が悪いような…… ということで、自分の足で村を探索することにした。
2000人の村とはいっても、結構色んな店があることに驚いた。イルベンスの村より活気があるのは気のせいか? と思ったが、気のせいではないな。ちょっと店を回ってみても随分といろんな商品が並べられている。
とはいえ、今は金がない。正確にはこの国の貨幣がないということで、とにかく手持ちのものを現金に換える必要があった。
幸いなことに、こういうことを想定して錬金術で金、銀、銅、鉄といった金属をある程度ストックしてあるから、現金化はたやすいだろう。
「あ、そういえば、魔道具屋ってあるのかな?」
空間収納に蓄えられた大量の魔石。これをどうにかしたい、というより、どう使えるのか知りたい。俺は村を探索しながら魔道具屋を探した。
探すこと10分程度え魔道具屋を見つけることができた。早速中に入ってみる。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件で?」
「これを売るかどうにかしたいんだが、頼めるでしょうか?」
そういって、カウンターに魔石が大量に入った袋をドンッと置く。
一瞬、お店の人の目が驚きにあふれたが、すぐに中身を確認し、思案しているようだ。恐らく頭の中で換金額など考えているのだろう。
「しめて、15万エールで買い取らせていただきますが、いかがしましょうか。」
15万エールと言われても、それがどの程度の価値なのかが分からないが、売るかどうかはその使い道次第だ。
「すみません、その前に教えていただきたのですが、魔石ってどのような使い道があるんですか?」
「ハンターの方かと思いましたが、魔石の使い道に興味を示すなど珍しいですね。」
「ええ、興味本位ですけどね。教えていただけるのなら是非お願いします。」
「別に秘密にするような話でもありませんからね。魔石はマジックオーブやパワーポットの材料になるんです。正確に言えば、魔石をそれらの物質に変換します。例えば魔石1キロに対してマジックオーブやパワーポットが100グラムできるとお考え下さい。」
「なんと……」
これはとても有益な情報だ。つまり、あのゴブリンをひたすら狩猟し続ければゴーレムをいくらでも増やせるということに他ならない。
それに、パワーポットが造れるというのは大きい。魔法を使う魔物からマジックオーブが手に入るということは既知の情報であり、マジックオーブの確保はある程度見通しが立っていたが、パワーポットについてはまだその手立てがなかったのだ。
これでゴーレム量産化の道が開けると確信した。
「できれば、そのマジックオーブに換えたり、パワーポットに換える魔道具を見させていただきたいのですが、よろしいでしょうか? 何ならその見学料に対してお金を払っても構いません。」
俺はカウンターに金の延べ棒を1本だした。まだ金のストックは十分あるし、これくらい支払ってでも惜しくないほどの重要な情報だ。
「ふふっ、錬金術に興味がおありなんですね。いいですよ。」
そうして、魔道具屋の工房の方に案内された俺は、そこで巨大な魔道具を目にした。




