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ゴーレム製造工場

 小学校の体育館の何個分だろうか? それど広く大きな建物の中に案内された俺は、そのスケールの大きさに度肝を抜かれる。


 中には大小様々なゴーレムが所狭しと置かれていた。


 基本的には、石材でできたゴーレムが多いが、中には金属でできたゴーレムもある。大きさもバラバラだ。小さいものは俺と同じくらいのものから、大きいものは高さ5メートルはあるだろうか。さらに、腕が錐になっている危険極まりないものもあれば、盾を装備したものもいる。その多種多様なゴーレム達は、まるでガ〇ダムのプラモデルのコレクションを広げたような感じで、正直言って少しわくわくしてしまった。


 そんな中を俺とハーケンは進んでいき、やがて1対のゴーレムの前で止まった。


 「さ、仕事の続きだ。今日中にこいつを動かせるようにしろ。」


 「分かりました」


 はぁ、ったく、クソ上司って存在はどこの世界でも変わらないのな。そんな指示、小学生でも出せるっつーの。部下を上手くマネジメントして成果を挙げるのが上司の役割だろうに、マネジメントのマの字もない。


 しかも、ハーケンの部下は俺しかいない。マジでハーケンのポジションをあえて設ける必要がないのだが、そこは魔術師であるハーケンの既得権益という奴か。


 魔術師が非魔術師を使役する。つまり、持てる者が持てない者を使役するという構図。どこの世界も同じだなぁと冷めた心で受け止めつつも、仕事しないとどんな仕打ちを受けるか分からない。それに、ちょっとゴーレムを触るというのにエンジニア魂が燃え上ってきたところだ。


 目の前のゴーレムは身長3メートル程度の、ここのゴーレム達の中でも丁度真ん中辺りの大きさのゴーレムだ。


 色は全身が黒で、何かは分からないが金属製であるのは間違いない。


 ごつごつした重厚なガタイで、胸の辺りがぽっかりと空いている。いや、モビル・〇ーツ的に言わせれば、丁度胸元のコクピットが開いている状態といったほうがいいか。


 ゴーレムのオペレーティング・システムは基本的に胸の奥に設置されているマジック・オーブに記憶されている。そして、マジック・オーブに隣接する格好で、動力源となるパワー・ポットがあるはずだった。


 「これがパワー・ポットか。」


 俺はその美しさに見とれた。


 赤く輝く宝石のような石。大きさは俺の頭くらいはあるだろうか。とにかくデカい。それが煌々と輝くさまは、地球では中々お目にかかれない神秘性が。


 マジック・オーブはパワー・ポットとパワー・ケーブルで接続されることで魔力が供給される仕組みだ。俺は慣れた手つきでパワー・ポットをデバイスにはめ込み、そのデバイスから伸びたパワー・ケーブルをマジック・オーブが繋がるデバイスに差し込む。


 ブォン


 マジック・オーブが起動する音だ。次第にマジック・オーブが点滅し始め、オペレーティング・システムが動き出す。クルタ文字で書かれた処理がダラダラと流れていく。


 ふーん、見てて思ったが、随分と地球のコンピューターのOSと動きが似てるのな。


 <<起動シーケンス開始>>

 <<デバイス・マネージャ起動>>

 <<デバイス・アクセス正常終了>>

 <<常駐サービス起動>>

 <<セントラル・ネットワーク接続正常終了>>

 ……

 <<起動シーケンス正常終了>>


 こんな感じで起動処理が進んでいく。


 さて、オペレーティング・システムが無事立ち上がったところで、ふとした疑問がうかんだ。それは俺がクルタ文字が読めたということ。


 クリードの記憶を辿っても、クリードはオペレーティング・システムを起動させるだけでオペレーティング・システム自体には触れなかった。あくまでゴーレム・メーカーの役目はオペレーティング・システムを起動させてデバイスの動作確認とチューニングを行うだけだ。要するに、ハードはいじくるが、ソフトには手を出さないということ。何故かといえば、オペレーティング・システムに出てくるクルタ語を理解できないから。


 だが、不思議なことに俺にはその意味が理解できたし、恐らく文字を入力することさえできそうだった。何故か?と首をかしげたところで思い出した。


 「あ…… そういえば、この世界の言語を分かるようにしてやるって言ってたな。あれのおかげか」


 言語理解という、大したことのなさそうな、異世界に飛ばされるならデフォルトで持っていそうなスキルでガッカリしたっけか。だが、今の状況で考えれば、大変ありがたい。


 ちらりとハーケンの方を見ると、暇を持て余しているのか、他のゴーレムにもたれかかりながらうとうととしていた。


 俺がクルタ語を理解できる、というのはハーケン達には知られないほうがいいだろう。


 そう思った俺は、ハーケンに分からないようにそっとマジック・オーブに触れてみることにした。


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