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決行

 ゴーレムを全て整備し終えた。そして、整備している中で凄い発見をした。


 そういう言葉を使って俺はアルスマンとハーケンをゴーレム工場に呼んだ。


 訝しむ二人だったが、俺が口では説明できないから工場に来てくれ、というと、しぶしぶと重い腰を上げた。


 今、ゴーレム工場には俺とアルスマン、ハーケンの3人しかいない。


 流石に心臓がものすごいスピードで音を奏でる。なんせ、計画殺人なんてものをやるのはこれが初めてだ。


 正直、俺個人としては、あまりアルスマン、ハーケンには恨みはないが、クリードのためにもこいつらには目の前で死んでもらう。


 「それで、凄い発見というのは何なんだ?」

 「下らねぇ話だったらぶん殴るぞ。」


 アルスマンとハーケンは気だるそうに俺に尋ねる。元々、俺達労働者の監視・監督しか職務として与えられていない二人にとって、ゴーレムの整備が予定通りに終わればそれでよく、それ以外の情報は不要なのだろう。


 むしろ、余計な仕事を増やすことになりかねず、面倒だとさえ思っているに違いない。


 まぁ、そんな人間は別に珍しくなく、日本にもいたが。


 「このゴーレムなんです! なんと、空を飛ぶんですよ!」


 見せたのはドローン型ゴーレムのサーチャーだ。それが2体、アルスマンとハーケンの目の前をゆっくりと飛行して見せる。


 空を飛ぶゴーレム。


 もしもそれが既にあるんだったら二人は白けた顔をするだろうが、目を丸く見開いて驚いているところを見ると見るのは初めてのようだ。


 「こっ、こりゃぶったまげたな。こんなゴーレムがあったなんて知らなかったぜ。」

 「アルスマンの兄貴、おらぁ、夢を見てるのか? 空飛ぶゴーレムなんて見たことも聞いたこともないぜ……」

 「いや、俺も初めてだ。こりゃ、凄い発見だぜ。これを上に献上すれば俺達も出世できるかもしれねぇ。」


 ほぉ、そこまで重宝されるようなゴーレムだと作った甲斐があったというものだ。それにもしかしたら俺もそのおこぼれにあずかってここを出られるかもしれない。


 なので、一応聞いてみた。


 「そんな凄いものだったんですか。まさかお二人の出世にもお役に立てるかもしれないなんて私も少し驚いています。どうでしょう? このゴーレムで私もここから出してもらうなんてことはできないですかね?」


 演技とはいえ、自分の下手に出る振舞いに心の中苦笑いする。そして、やはり想定通りの答えが返ってきた。


 「お前がここから出られるなんてあるわけないだろう。」

 「調子に乗るんじゃねぇぞ? だがまぁ、この調子でこれからも頑張れよ。」


 心底安心した。


 ここで、良い人風に悩まれたらどうしよう? と心配していたが杞憂に終わって何よりだ。


 だから、こちらも遠慮なく行動に移せる。


 「そうですよね。いや、調子にのってすみませんでした。 やはり別の手段を取るようにします。 それじゃあ、良い夢を。」


 「なに?」

 「お前、そりゃどういう―――――」


 ドスッ


 ドスッ


 二人の言葉はそれ以上続くことはなかった。


 飛ばしていたサーチャーは2体だけじゃあない。こっそりと二人の背後に飛ばしていたサーチャーが俺の合図と共に釘を二人の後頭部に打ち付けた。


 「すみませんね。でも、私がここから逃げるためには仕方なかったんですよ。でも、人を拉致って働かせてたんだ。殺られる覚悟は当然できてたでしょ? それに――――」


 丁度二人が地面に倒れこむ。即死は間違いなく、釘が刺さったところから血が溢れてくる。


 「苦しまずに即死できてよかったじゃないですか。」


 初めて人を殺したというのに、随分と心は平然としたものだ。これがこの世界に絶望して自殺したクリードという人間に転生したせいなのか、それとも俺の中で何かが変わったのか、それは分からない。


 さてさて、作戦は始まったばかり。こんなところでトロトロしている暇はない。


 俺はサーチャーとゴーレム全機に命令を出す。


 「この施設の職員を抹殺せよ。」


 きっと今の俺はひどい顔をしているだろう。別に好き好んで人を殺せと命じているつもりはないが、何故か心躍る自分がいる。自分のマインドが可笑しくなったのか?と自問自答するが、すぐに首を横に振る。


 これはきっとアレだ。


 これまで苦しみながらも入念に計画的にこの日のために準備してきた。自分の万全な計画が実行フェーズに入る時のハイテンションなのだろう。


 サーチャーとゴーレム達は工場の入り口から外に出ていき、施設の職員を探し出す。基本的に、ゴーレム2体にサーチャー2体の計4体で1チームを構成する。そんなチームが10個もある。そのうち、4チームは東西南北の施設の門に向かい、残りは庁舎に向かう。


 「早速サーチャーがターゲットを見つけてきたな。」


 東西南北の門には必ず警備の者が常駐しているから見つけるのが楽で助かる。


 サーチャーから送られてきた警備の映像はそのまま殲滅対象としてサーチャーとゴーレムに通達。戦闘とも言えない戦闘が開始される。


 「さて、ではこちらも行くとするか。」


 俺の傍には4体のサーチャーと2体の漆黒のゴーレムがいる。この戦力をすっからかんのゴーレム工場で遊ばせておくつもりはない。


 俺達はすぐそばの魔道具工場に向かった。


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