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~夢だけ見ていた異世界転生~   作者: 小説読めない人
4/4

第四話 「粋人、冒険者になる。」

~あらすじ~

ファンタジーで洋風な街の中を、デロンデロンのパーカー姿というとんでもなく目立つ格好で歩き回った粋人、ギルドを発見し中に入り、冒険者登録をしようと試みる。

そして、彼のないはずだと思われた、隠された能力チートがようやく明らかになる!


ギルドの中は、僕が今まで読んできた異世界物語のギルドと完璧に一致していた。

やさしい木目の壁、自分の背丈の十何倍もの高さにある天井、美味しそうな匂いのがする食堂、人がにぎやかに食事を楽しむテーブル、冒険者たちの並ぶカウンター。

どれも、コンクリートによって構成されてきた世界に暮らしていた僕にとってはとても新鮮に感じたことを覚えている。

どうやら僕は、この作者には「冒険者」として生きていくことを強要されているようだ。

まずは軽い身分登録が必要だと考えた僕は、「新規冒険者登録無料!」と、まるでネトゲのメンバーページのような言葉が書かれているカウンターを見つけそこに向かった。

カウンターに置かれているベルを鳴らすと、受付嬢さんと思われる女性が慌てて椅子に足をぶつけながらやってくる。

「新規登録でしょうか?」と、受付嬢さんのイメージとはかけ離れた中年の女性はそう僕に問いかける。

どうやらこの世界では都合がよすぎることに、日本語で識字、会話が行われているらしい。

なろうの世界はとことん不思議で馬鹿馬鹿しいと再確認した。

はい。と僕はうなずきながら答えると、おばさんは、カウンター裏の書類の棚を熟練の技というべきであろう速度で開いては書類をカウンターに並べていく。

「これが登録に必要な書類だよ。」とおばさんは優しく僕に言いながら紙を渡してくる。

どうやら、この世界では書類を書いてギルドに登録して冒険者になるらしい。

書類を書こうとおばさんからペンを貸してもらい、ペンの先を最初の名前の欄で書き進めようとした瞬間に手が止まった。

そういえばこの世界での名乗り方をまだ決めていない。作者の致命的なミスである。

その瞬間、僕の尊敬する「カスマーチからはじめる異世界俺TUE曲」では、主人公の加藤が、「カトゥー」といういかにも臭すぎる名前を名乗っているのを思い出した。

そんな名前一生恥ずかしくて名乗れない。

なので僕は簡潔に自分の苗字である、「粋人いきりと」をカタカナで書き起こし、「イキリト」という、おそらくこの世界で最強になれるであろう名前を書類の欄に書き入れた。

おばさんにさっと見書き終わった書類を渡すと、「イキリトさんね、これで書類のほうは整ったから、いまから冒険者カードを渡すわね。」おばさんはそう言い、カウンターの奥へ進んでいき、数十秒くらいで戻ってきた。

「これが冒険者カードよ。こちらでもうあなたの情報は書き込んであるから安心してね。」

おばさんはそう言い、僕の手の上にカードをとんでもない速さで置いた。これがベテランの仕事だろう。

「カードを軽く指で押してごらん。」と言われ僕は優しく指を置いた。

次の瞬間、現実世界でいうホログラムだろうか。かなり薄くて奥がよく見える画面が現れた。

「イキリト」という名前が画面の左上に移っているのがわずかながら見える。

「お兄ちゃんの能力が画面下に映ってるよ。」とおばさんは僕に教えてくる。

下のほうに、なろう主人公としての高ステータス(チート)が乗っていると信じて、目線を下のほうに下げていく。

どうやらアルファベットによるラン付けで表示されているようだ。詳しい成長などのデータが見にくいが、多くの作者はステータスの数値をろくに考えられないのだろう。

体力もとい生命力と、MPまたは精神力は数値で表示されているところが余計にたちが悪い。

攻撃力B 魔法攻撃力B 防御力D 魔法防御力D 俊敏A 運B 援護魔法効果B

微妙だ。攻撃ができたとしても大した威力ではないだろうし防御力が低すぎる。

そもそも元の世界では50M走が9秒台の自分で俊敏Aなんて絶対おかしい。

いろいろ考えて、自分の能力にため息をついていたら「スキル欄」というもう一つの希望が、僕の心をまた期待させてしまった。

藁にも縋る思いでスキル欄を眺めてみると、パッシブ(常時発動)欄には「移動速度上昇Ⅲ」「スキル補正UPⅢ」「惨めな背中」「二刀流」「ハーレム主人公」。

使用スキル欄には、「スマートフォン・アイテムスキル」「異世界なろう系主人公」「バターナイフストリーム」など、訳の分からないスキルが並んでいる。

おばさんにスキルのことを聞いてみるも、こんなスキルは見たことがない。と、いかにも僕のスキルが能力チートのようなことをおばさんは答える。

突然のことだし驚いた。何も説明もされず、ただ転生されただけだと思い込んでいたのだが、まさかこのような滅茶苦茶に不可思議な名前のスキルを持っていることに、僕は本当に驚いたのだ。

その後おばさん、いや、ベテランの優しい受付嬢さんは、「王都」というド直球な名前の政府機関からの補助金を僕に手渡した後に、笑顔で僕の去る姿を見送った。

投稿間隔空いたので滅茶苦茶多めに書きました。

導入にこんなに時間がかかってしまうとは...

暇があれば更新します。

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