白雪姫の継母(魔女)と七人の???
4年前に「Book Short」に投稿して没ったものです
童話「白雪姫」を題材にしています
私は白雪姫の継母にしてこの国一番の魔女。誰にも私の邪魔はさせないわ。あの目障りな白雪姫も始末したし、王様は私の言いなりだし、もはやこの国は私のもの。
……と、思っていたら、あの小娘が生きているですって?何としても探し出して始末するのよ。狩人が逃がしたですって?ええい、もう人の手は借りないわ。私がこの手で殺してやるのよ!
私が丹精込めて作った毒リンゴ。これをあの子に食べさせるのよ。油断させるために半分は毒なし、半分は毒入りにして目の前で半分こしようという念の入れよう。もちろん、ばれないようにわざと年寄りに化けるのよ。わざとよ!決して私が素で年寄りというわけじゃないわ!
ふふふ。ぬかりは無い。さて、鏡で調べた、あの子のいる家へ……見えてきた!白雪姫は窓辺でくつろいでいるようね。今、おいしいリンゴを届けてあげるわ…
「こんにちは、お嬢さん。美味しいリンゴは如何かね?」
「あらおばあさん。こんにちは。リンゴ、美味しそうね」
おば……いやいや、コホン。しめしめ、私の完璧な変身の術にすっかり騙されているようね。変身の術よ、変身の術!
さて、気を取り直して……
「とおっても美味しいリンゴだよ。一つ、味見してみないかい?」
こうやって、半分に切って…毒の入っていない所が緑色だから間違わないよ。
「はい、お嬢さん」
赤くて美味しい毒リンゴだよ…さぁ、お食べ!
「お、美味そうなリンゴ、頂き~」
誰だい?!邪魔をするのは。男の声だね。……男?!男がいるのかい?!
「ああっ、もう、おばあさんに失礼でしょ?」
……いい男じゃないか、って、毒リンゴ!
「いーじゃん。美味かったよ、おばあさん」
あわわわわ。全部食べちまったよ…しかし、毒、効いてこないね…
「ずるいな。俺にも頂戴。」
って、また別の男かい!しかもこっちも滅法いい男じゃないか、って、こらこら!リンゴに手を出すんじゃないよ!何かあったらと思って赤いのは全部毒リンゴなんだよ!
「おおっ、本当だ! うまいうまい」
そりゃ、元はお城に入れている最高級のリンゴだからね…とか言ってるうちにまた違う男かい!
「ふむ……これは確かにいいリンゴだ。おばあさん、どこから仕入れてくるのだい?」
今度は知的な男だね。先の無邪気系、食いしん坊系も良いけど、これはこれで違った魅力が……そしてこれまた顔が頗る良い。
じゃなくて!
「こ、これは、その……私の知り合いの農園で育てているんだよ。無農薬の有機栽培で拘って作っているからねぇ。ほほほほほ」
何々?何か怪しいこと言った?何でそんなに私をじろじろ見るのさ…
「見たところ……」
何だい何だいまた新手かい。いったい何人いるのさ!しかし今度はまた随分クールな男だね。って、見たところ?見たところ?な、何かまずい恰好してたかね。
「身なりも悪いし、顔も悪いが栽培の道ではスペシャリストということか……侮れん。」
毒舌クール系イケメンか。腹は立つが顔が良いだけに怒れない。しかし、それも私の変身が完璧だという事。恥じる事ではないわ。恥じる事ではないのよ!
「待て待て待て! 今月の家計も火の車なんだからね! 無駄遣いはいけないよ!」
今度は家庭系イケメンかい。何かの見本市みたいだね。
「おばあさん。このリンゴひとついくら?」
「ええー、僕も食べたいー」
こ、子供まで。しかしなかなか将来有望な……
「おばあさん。僕もリンゴ食べたいな~」
くっ……捨てられた子犬のような目!さ、逆らえない……
「きょ、今日は、お近づきのしるし、ってことで、た、ただでいいよ」
「わぁ。ありがとうおばあさん」
笑顔が眩しい!恐るべし……
「末っ子がわがままですみません。でも、助かりました。今度は必ずお金を用意して……ごほっごほっ」
「ああっ兄さんまた無理して! 今日は調子が良くないんだから寝ててよ!」
病弱系イケメン……色々やりづらいがそれはそれで……
「兄さん、ほら、さっきもらったリンゴすりおろしたから食べて。」
ああっ、そうだった!それは毒リンゴ!ただでさえ弱ってるのにそんなもの食べさせたら!
「あれ?治った」
えええっ!?何故?どうして?それよりどうしてみんな無事?
「ありがとうおばあさん。おかげでとっても元気になりました」
「えっ、ああ、そう、良かったねぇ。じゃ、じゃあ私はこれで……」
「また来てねー」
おかしい。何故だ。あれは強力な毒だったはず。もう一度つくり方を魔法書で確認して……どれどれ……あ、ページを間違えた。
強力風邪薬の作り方だった……
読んで下さってありがとうございます
本当にざっくり書いたので雑ですみません(;^_^A
童話ベースは考えるのが楽しいので好きです
また書いてみたいですね
精進します