さすが、僕の友人だ。
診断メーカーで出たお題で書きました。
こんな世界は嫌いです。
僕は三度、そう思いました。
一度目は
出来損ないと言われ仲間に捨てられた時、
二度目は
好いた人間が僕の天敵だと知った時、
三度目は、
後ずさりしていた僕はついに背中が壁にぶつかる。
「おい。そこの吸血鬼。」
好いた人間に銃を向けられた時、
「お前がなぜその姿をしてる。」
人間は逃げ尽きた私に銃を向けながら怒気を含んだ声で問いかける。
僕はそれでも応えない。
「答えろ!」
バンッ
いたい、
でもここで泣いてはいけない。泣いたら、
また君は僕を逃がそうとするから。
「答えないというのなら、ここで、、」
目の前の人は絶えず銃を向けながらいう。
答えれるわけがないじゃない。
いやじゃないか、昔の友人が化け物だったなんて、
仲間に捨てられた時から僕はボンヤリしていた。何十年も何もせずにフラフラ日が当たらない森の中で、獣の血を吸って生きた。
けれどある夕方、森の狼たちが騒がしいと思い、その騒いでいる場所にいくと少年が木に登って狼から逃げていた。なんでこんな森の奥に少年がと思いつつも、人間って長くて100年ちょっとぐらいしか生きれない。ここで死んだらかわいそうだ。と家の中に入ってきた蛾を外に逃がす気持ちで、少年を助けた。それからである。
少年、君がよく僕のところに来るようになった。最初は僕にお礼を言いたいからといってきた。そこから君と僕との交流は当たり前になり、いつの間にか、お互いを友達と呼び合い始め、少年だった君が青年になるには充分な時間を過ごした。でもその関係はあっけなく壊れた。久しぶりに君が来るのを、楽しみに待っていると、森の中に誰かの叫び声が響いた。君に何かあったんじゃないかと思い、その叫び声の方向に行った。
そこには、血だまりの中に誰かが倒れていて、その横に手を真っ赤にした君が立っていた。わけがわからなかった。でも、
匂いが僕に教えてくれた。
倒れているのは僕と同じ吸血鬼であり、久々に会った君にはおぞましいくらい大量の吸血鬼の血の匂いがこべりついていた。わかってしまったのだ。君が僕らを狩る者だと、知って、僕は逃げた。ひたすらに逃げた。友達だった天敵から逃げるために。
逃げてしばらく経った時、君が僕を殺すために動いていることを知った。
そして今、僕は袋小路に追い詰められ、
年月が立ち老人なった君は僕に銃を向ける。君は昔から気づいていたのに、やっと僕を殺す気になったのか、
君は僕を睨んで銃の引き金を引く。
パァンと軽い音とともに銀の弾丸は放たれ真っ直ぐ僕の心臓に突き刺さる。そして胸元を赤く染める。
僕は昔みたいに君ににっこりと笑いかける。
「よくやった。さすが、」
僕の友人だ。
そう言葉を出すつもりだったのに代わりに口から血の塊が出る。
君の後ろから朝日が差し込み、体はサラサラと焼け崩れ始め、視界がガクンと下がる。ああ、やっと僕は死ぬことができる。
ボンヤリとした景色の中に、ハッキリと初めて会った時のまだ少年の君が泣いている姿がうつる。
おかしいな。君はいつもニコニコしていたのに、
おかしいな。ずっとこの時を待っていたのに、
おかしいな。さっきまで、空が明るくなってきていたのになんで真っ暗に、
まるで夜みたいだ。
もしかしたら、
明けない夜もあるのかもしれない。
お題は
鞠月 サーカスさんには「こんな世界は嫌いです」で始まり、「明けない夜もあるのかもしれない」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば8ツイート(1120字)以内でお願いします。
#書き出しと終わり
https://shindanmaker.com/801664
です!
診断メーカーからいただいたお題で書いた拙い作品を最後まで読了していただきありがとうございました!