表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デットヒート  作者: 長谷川ラジオ
8/15

修理人 俺の感じ

高校の時の近所の友達、遊びに来たというより修理依頼だ

高校の時の近所の友達が来た。

遊びに来たというより修理依頼だ。

ラジオがNHKだけ入らなくなってしまったそうだ。

そんなの捨てて新しいやつ買えよと言いたいところだが、わざわざ持ってきたので一応みてやることにした。

俺がもともと工作とかが好きで、いろいろ作ったり直して使っているのを知っていて持ってくるみたいだが、何でもかんでも直せる訳ではない。特に最近よくくるパソコンのハードディスクが壊れたというのは直しようがない。なんとか新品のハードディスクと交換しても、もとのバックアップなんて気のきいた事してる場合は少なくて、元どおりにならないことがほとんどだ。それにけちをつけてくるやつがいるので腹がたつ。

こっちも無償のボランティアでやってるのに、なんか勘違いしてるみたいだ。

そうはいってもいろいろ故障品を直してみるのは性分で、どうしても引き受けてしまう。


持ってきたラジオのふたを開けた。

「おまえこれなんかいじってないか。」

自分で直そうとした努力は感じられるが、ハンダがだんご付けになっていたりして、かえって壊れている。

「一応みてみるから、これでも聞いて待っててくれ。」

「何これ。」

「ゲルマニウムラジオだ。

電池無で鳴るんだぞ。それでも結構聞こえるだろ。」

NHKだけ鳴らないなんていう変な壊れかただそうだが、それだけ聞いても原因が特定できない。

とりあえず、ハンダ付けがアブナイところを付け直してみる。

「ずいぶんいじったな。」

しかし見た目で部品が壊れるとこまではいっていない。

付け直していくと、イヤホンのコネクタがうまくつながらないでぶらさがっているようだ。

「おまえコレ、NHKが鳴らないというより、全体的に鳴らなくないか。」

「ええっ確かにNHKだけ聞こえなかったと思うけど。」

「じゃあ、NHKを聞く時だけ力が入ってなくて、接触が悪かったんだよ。

とりあえずコネクタのとこは付け直したから、これで全部聞こえると思うよ。」

手入れしたラジオを渡す。

「そうなのかな。有難う。」

さっそく、イヤホンをいれて聞き始める。

「あれ。全部聞こえなくなっちゃったよ。」

「なんだよそれは。直ったはずだけどな。

 オマエこれ、持ってきたイヤホンが壊れてないか。」

「あれ、本当だ。そっちのイヤホンだと聞こえるわ。」

「しょうがねーな。そのイヤホンやるからそれで使ってくれ。」

「お代はいいの。」

「いいよ、100円ショップで買うから。」

「助かった。ありがとさん。さすがだな。そー言えばさ。」

「なんか次の人がもう来ちゃったから、余分な話はこんどだ。じゃあな。」


「お待たせ。何か持ってきたんですか。」

次のお客はけっこう年配のおばさんだ。

「この手すりが壊れちゃってね。つかまると落っこちるんですよ。」

モノを見てみる。

鉄製の手すりで結構ガンジョウそうだ。

でも手元の部品がプラスチック製だ。そこにヒビが入っているようだ。

「ちょっと待ってくださいね。ヒビが入ったとこを接着剤で付けてみるから。」

強力な瞬間接着剤で付けてみた。

「これどこで使うの。」

「はあ、私のうちですけど。」

「そういうんじゃなくてさ。たとえばトイレで使うとか、風呂場とか、廊下とかさー。」

「あー、風呂場で使うんですよ。」

風呂場か。今はうまく付いてるみたいだけど、湿気や温度の問題があって、どこまでもつか分からないな。

「おばさん、これヒビが入って壊れてるからさ。取り替えた方が良さそうなんだ。

 もしよかったらこっちで取り換えの部品を探しとくけど、どうする。」

「お願いします。わたしじゃ全然分からないんで、探してください。」

「うーん、高いと3000円位するかもしれないけど、いいかな。」

「もともと介護で付けたときは6000円位したので、3000円なら是非お願いします。」

「ちょっと待って。これ介護用品なの。」

「介護用品って言うか、介護の補助で付けてもらったんです。」

「じゃあ介護用品だよ。下手にシロートがいじらない方がいいな。

 最初に付けてもらったとこに頼んで取り替えてもらって。」

「そんなこと言われても、どこの会社が付けたかなんて分かりません。」

「じゃあ、介護の担当の人に相談してさ、聞いてみてくれ。

 悪いけど介護用品だと下手にいじれないんだ。」

「あらー。直りそうなのに残念だわ。またお願いしますね。」


「次のお客は、僕か、どうした。」

「レーシングカーが動かなくなっちゃったんだ。」

「電池は替えてみたかい。」

「うん。電池は新しいやつと変えたんだけど。

 全然動かなくなっちゃったんだ。」

「ラジコンとかリモコンじゃないね。

 スイッチを入れると、ビュンと走っていくやつだな。」

「そうです。

 友達のやつと競争してたんだけど。

 さいしょ遅くなってきて、全然動かなくなったんだ。」

ギヤが外れたか、かみが悪くなってきたか、モーターが壊れたんだな。

「ちょっと、分解するよ。」

ギヤはとくに悪くなさそうだな。まあいちおう油をさしとくか。

配線は繋がってそうだが中で切れたのかな。

一応、テスターで導通をみてみるが、配線は良さそうだ。

とするといよいよモーターだな。

「これ壊れる時に焦げ臭くなったりしなかった?」

「そういえば、ちょっと焦げ臭かったような気がします。」

子供の言うことじゃあてにならないな。

ちょっと手がかかるがモーターを外して、モーターだけで動かしてみると、

確かに動かない。モーターが原因のようだ。

「これさあ、モーターが壊れてるみたいなんだ。

 モーターを取り換えたいんだけど、この近所で売ってるとこが無いんだよ。」

近所の模型屋もおもちゃ屋もみんなやめちゃったからな。

最近、子供はみんなスマホで遊ぶのでおもちゃや模型なんかにはあまり興味がないんだ。

おもちゃや模型を欲しがるのはマニアの大人がほとんどだ。

通販で買えば買えると思うが、モーター1個を通販で買うのは気がすすまない。

「僕さあ、取り換えのモーターがスグになくて、買ってくるからさ、

 2,3日、この車、預けといてくれないかな。」

「分かりました。よろしくお願いします。」


モーター探して、とりあえず大型家庭用品店に来てみた。

おもちゃのコーナーがある。

おもちゃ屋は無くなったがこんなとこに置いてあるんだ。

けっこう広いし、これならモーターもありそうだ。

でも歩いてみるとニンテンドーとかのゲームのおもちゃばかりで、手にとって遊ぶおもちゃは意外と少ない。

しかも高級なものばかりだ。ラジコンヘリなど俺も欲しくなってくる。

モーターなんて置いてないな。一応店員に聞いてみる。

「モーターならレーシングカーのコーナーにあるかもしれません。」

そんなコーナーがあるのか。

行ってみると意外と広く場所がとってある。

「モーターはあるかな。ええっ!」

何種類もモーターが置いてある。

普通のやつから、黒塗りでいかにも速そうな高級タイプまでいろいろだ。

ちょっと高いけど、近所のガキと競争して負けないように、高級Sタイプを買うことにした。

とにかく意外と早くモーターが見つかってよかった。


戻って、早速モーター付け替え。

ビュン。やった速いぜ。

電話で連絡。

「僕かい。車直ったから、いつでもいいから取りに来な。モーターは、いいやつにしたから速いぜ。お代は1500円くらいだから持って来てな。」


けっこう今日は忙しい。

カップラーメンを食べ終わったら、すぐに次のお客が来た。

「どうしました。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ