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デットヒート  作者: 長谷川ラジオ
5/15

100発100中

お祭りの屋台でピストルを当てた、大当たりのはずが

今日は祭日で、中学からの友達のみさえちゃんと昼から映画を見る予定だ。

特に彼女という訳ではないけど、昔からの友達だ。

たまたま映画の券が2枚手に入ったので誘ったらOKだった。


待ち合わせの時間まではかなりあるので、バスは使わず、駅まで歩いて行くことにした。

歩いていると、神社ではお祭りをやっている。

まだ時間がありそうなので、祭りの屋台を見ていくことにした。

これから出かけるとこなので、金魚はいらないし、風船もいらない。

あっ、射的が面白そうだな。あのドラえもんっぽい人形をとって、みさえちゃんに持っていってあげるか。

「おじさん1回」

「300円ね。はずしたらティッシュだよ。よく狙いな。」

狙いはドラえもんっぽい人形

パーン

ガタッ、あれっ?違うものにあたっちゃった。

カランカラン「大当たり!いいのが当たったね。はいどうぞ。」

おじさんから渡されたのは、ピストルのおもちゃ。

カウボーイが持ってるようなやつだ。

ドラえもんっぽい人形の方が良かったのにな。

値段はこっちの方が高そうだ。

まあ、しょうがないか。ティッシュよりいいや。


待合せ場所は、いつもどおり、駅前の一番右側の木の下だ。

そろそろ時間になるが、まだ現れない。

まあどっちかというと、いつも5,6分遅れて来るやつだ。

人の流れを見ながら待っていると、やって来た。

しかし何だか様子が違う。

男性と一緒に歩いてきたのだ。

「ああ、健太くん。

 ちょっと今日、忙しくなっちゃったの。

 ごめんね。

 いきましょ。」

「ええっ。いいんですか。」

「いいのよ別に。ただの友達なんで。

 じゃあね。」

お構いなしで行ってしまった。

なんだいったい。

いくらなんでも失礼じゃないか。

バーン!ピストルで撃つまねをした。

途端にネジがはずれて部品がとれてしまった。

げーっ、やっぱり屋台のだからボロだな。


とにかく、あんな奴でも彼氏ができたんなら、おめでとうだ。

映画はまた別のやつを誘って行こう。

とりあえず飯でも食って帰るか。

駅横の地下街に入って行く。


階段を下りてスグにあるファミレスは、ちょっと1人で行くには寂しいな。

次は飲み屋で昼でも飲めるらしいけど、ここで飲むのも何だかわびしい。

その次は、手彫りの印鑑屋で全然関係なさそうだが、

向こうから声をかけてきた。50代くらいのメガネのおやじだ。

「いらっしゃい。今日はお買い物ですか。」

「いや、特に買い物ってわけでもないんですけど。暇でブラブラしてるんです。」

「うちは手彫りの印鑑屋なんですが、それだけでは食っていけないので、最近はいろいろ小物も作ってまして、良かったら見ていってください。」


実は声をかけた印鑑屋のおやじは、健太に目を付けていたのだ。

近所に住んでるらしく、よく店前を1人で通るし、風貌が冴えなくて、マニアっぽい。

話せば話が合いそうな感じだ。


「これなんかどうですか。

 印鑑のデザインの入った体重計です。」

「何コレ?なんかあんまりオシャレじゃない感じだけど。

 だいたい俺、80キロくらいあるから、無理なんじゃないの。」

「大丈夫です。是非ちょっとのってみて下さい。」

「ええっ、大丈夫かな。」

足を一歩のせた時、急にピストルのネジが外れてバラッと壊れて落ちてしまった。

「ワーッ!」

思わず体重計を蹴っ飛ばして、吹っ飛んでしまった。

「あれ~」 印鑑屋は慌てて体重計を取りに行く。

体重計は分解したが、拾った部品を組みなおしたら、スグに動きだした。

ピストルのほうは元から動くも何もないので、目についた部品を拾って組み立てた。

とりあえず人間は無事で、物も両方とも直ったようだ。まずは良かった。

「すいません。もう一度乗りなおします。」

「あっ、いえ、一応やめときましょう。」


ちょっと雰囲気が悪くなったところで、隣の団子屋のおばさんが声をかけてきた。

「もしもし、今日は祭日ですので、みたらし団子をサービスしてるんですが、いかがですか。」

「こりゃどうも、頂きます。」 「すいません。ご馳走様です。」

みたらし団子は久々でとてもおいしい。

「この店は食べるとこもあるんですか。」

「ええ。狭いですけど。ちょっと食べてみて頂けるところがございます。」

「今はどうですか。混んでますか。」

「きっちゃん。今、テーブルの方どう。」

「今なら昼前で空いてますよ。」

「ああ、じゃあ1人お願いします。」

「こっちの奥です。どうぞ。」

ごちゃごちゃした店の中を案内される。

これはとても自分一人では入れない。

販売中心で、食べる場所は、あまり積極的にやってない感じだ。

しかし入ってみると親子連れがいたり、おばさん達がたまっていたり、意外と盛況だ。


「メニューはこちらです。」

団子、まんじゅう、たい焼き、かき氷

ちょっと、食事をする場所ではないようだ。

「あんこの団子とみたらし団子のセットをください。飲み物は抹茶で。」

男のお客は自分だけだ。

団子だけなのに、思ったより時間がかかる。

抹茶を点てるのに時間がかかるようだ。


しばらくして店員が団子とお茶を運んできた。

「どうぞ。」

団子を食べようとした時、隣の席の子供が手を出してきた。

「あっ、ピストルだ。」

ピストルはガタンと落ちて、びっくりしてお茶をひっくり返してしまった。

更に湯呑みが転がって落っこちた。 がちゃん^

しまった割れちゃった。

慌てた顔で店員が拭きに来る。

「失礼しました。」

「いや、悪いのは私なので。」

しばらくして、店員が代りのお茶を持ってきた。


しかし、こそこそとおばさん達の声がきこえる。

「あの湯呑み京都のですごく高いらしいわよ。」

「あの人どうするのかしら。」

「こんなかたがいるんじゃ、お団子代だけじゃやっていけないわよね。」


えーっ、俺じゃなくて子供が突っ込んできたんだ。

なんか居心地わるいな。

団子をいそいで食べて、ごくっとお茶を飲んで退席した。


「ご馳走様です。あのー、湯呑み割れちゃったんですけど。」

「別にかまいませんので。」

「でも、すごく高い湯呑みだって聞いたんですけど。」

「そんなことないですよ。特売で買った安いものです。」

えっ、おばさんに嘘の情報を流された。

でも団子はうまかったし、食事しないでも結構お腹いっぱいになった。

今日はこれで帰ろう。


何だか妙に疲れたので、帰りはバスに乗ることにした。

タイミング良く、丁度バスが駅前に来たところだ。

バス停で3つか4つなので、乗るとすぐに降りる感じだ。

ピンポーン 「次止まります」

ここで降りるのは俺だけみたいだ。

降りようとバスのステップに足をかけた瞬間、

ぼろっ ピストルが壊れて散乱。


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