君と日本語学校
日曜午後。ころがってスマホを見てたら、超かわいい女子発見。
緑のコスプレ風の服で、おへそもいけてる。
でもどうせこんな過剰に可愛い子は99%が修正にきまってる。
写真ではアニメのキャラみたいに輝いてるのに、こいつの動画を見ると似ても似つかないゲボが出そうなB級おばさん顔が出てくるんだ。
分かっていながらその子の写真を押してしまった。
こいつの動画が出てくると思ったら違った。
女の子は笑顔で手を上にしてそこには『にほんごきょうしつ』
なんじゃこりゃ。
女の子の説明は
「今なら入会金無料。
せんせいはみんなやさしい、あんぜんです。べんりです。」
うーん、超カワの女子へ
言いたいことはいちおう分かったが、俺には全く関係なさそうだ。
日本に来た外国人は、みんなこんなとこで日本語を習うんだろうか。
なんだか俺からするといんちきくさいが、外人はそんな事は分からないだろう。
まあとにかく女の子は動画でも可愛かったので、めっけもんだったし。
さっさとおさらばだ。
あれ、画面を閉じようとしたが、しまらない。
『つぎのページにいく YES』
なんだか先に進むしかないようだ。
最近少ないけど、たまにこういうのってあるんだよな。
次のページに行くと女の子は消えて、
アジア系の男性が現れた。
「わたしはここで日本語べんきょうしました。
すぐにわかりました。
とてもよいです。」
卒業生へのインタビューらしい。
続いて、中国系らしい女性が出てきた。
「とてもべんりです。
せんせいはとてもしんせつです。
すぐにうまいなります。」
説明はもういいや。
しかしあいかわらず、画面が閉まらない。
『つぎのページにいく YES』
壊れてるんじゃないかな。
しかたなくYES。
またさっきの可愛い女子があらわれた。
笑顔で手を上にしてそこには『もうしこみのページ』
おいこら関係無いぞ。
「もうしこみはかんたん。
ボタンを押すだけです。
ここで日本語をべんきょうします YES」
さすがにこれはYESできない。
NOのボタンがあるのだが、選択できないようになっている。
女の子を押してみたり、画面のはじっこを押したりしたが、ダメだ。
後から断るしかないか。
しかたなくYES。
すると女の子がチューのポーズ。
「おもうしこみありがとうございます。
じゃあねー」
画面が消えた。
しかしなんだか申し込んじゃったみたいだ。
日本語学校の申し込み、メールで断るか。
でもいつ返事がくるか分からないし、返事が無いかもしれない。
まあ今日のところはこれでいいだろう。
3日後に
封書が届いた。
開けてみて、まず説明文を見ると
『日本語学校 入会金無料
年間授業料 14万8千円
4月2日 9:00 スタート
授業料は3日以内にお支払いください。カードもOK。』
んん?何か入ってるみたいだ。
ころっと出てきたのは、校章のバッチらしい。
こんなものをいちいち作ってるのか。
なんだか、某大学のデザインに似ている気がする。
しかし今はそれどころじゃない。
こんなの早いところ全部断らないと。
だがこんな事いちいち面倒なので、ほったらかしにしてしまった。
すると3日目にはもう催促の封書が送られてきた。
『期日を過ぎた場合は、5%加算されます。ご注意ください。』
これはひどい。
いちおう電話が載っているので、ここにかけてみよう。
03-XXXX-XXXX
「すいません、間違って申し込んだので、断りたいんですが。」
「すでに校章バッチと説明がはいった封書は届いているんですか。
でしたら、とりあえず授業料を振り込んでください。
そのあと授業の初日に、受付にお越しください。」
授業料を加算されてはたまらないし、後で返してくれるということなので、振り込んだ方が良さそうだ。
なんだかナリイキで授業料を支払ってしまった。
結局、気がついてみたら、日本語学校の申し込みをまだ断れないまま、授業の初日になった。
まったく迷惑な話だが、当日に受付へ来いということなので、もう行ってみるしかない。
日本語学校に行くのは初めてなので、場所が分かるか心配だったが、迷わずに着けた。
1階がコンビニで、2,3階でやっていて、一応かんばんも出ている。
受付は2階だ。
「すいません。間違えて申し込んだので、断りたいんですが。」
「授業初日のキャンセルですと、授業料はもどりませんよ。」
「そんなばかな。授業料支払っても断れるって聞いてます。」
「断れますが、授業料はもどりません。
なるべくならキャンセルしないで受講される方が良いです。」
「待ってくれ。俺に日本語学校で何を勉強しろっていうんだ。」
「それは分かりませんが。キャンセルされますか。」
「おい、ちょっと待て。キャンセルしないでくれ。
わけ分からないが、ここまできたら、とりあえず受講するしかないか。」
「今日から今期の授業が始まります。
氏名等をご記入されてから、3階の3B教室へ行ってください。」
日本語を習うことになってしまった。
特になまりもないし、俺の方が教えてやりたいぐらいだ。
とにかく3階の3B教室へ向かった。
すれちがうのは外国人らしき人ばかりで、異国感がある。
覚悟を決めて、3Bへ入室した。
学生数20名位の教室だ。
皆さんほとんど俺より先に着席している。
前の方から順に座っているようだ。
俺は後ろの方がいいので丁度いい。
キンコンカンコーン
先生が現れた。よかった、若い女性の先生だ。
一見、まじめでやさしそうに見える。
「グッドモーニング。みなさん^おは~ようござ^いま~す。」
げっ、先生が外国人で、しかも発音が悪い。
みんなこんな人に日本語を習うのか。
俺の発音が悪くなりそうだ。
先生の説明が始まった。
ホワイトボードに、もともと書き込みがある。
「スケジュールです。
1時間目 数学
2時間目 PC
3時間目 日本語会話
4時間目 日本語文章
5時間目 日本映画
です。」
日本語学校といってもいろいろやるんだな。
数学の時間まであるとは驚きだ。
でも数学って何をやるんだろう。俺が真っ先に質問。
「先生、数学って何をやるんですか。」
「はじめは、足し算、引き算、掛け算、割り算をします。
PCは、ワードやエクセルをします。
日本語会話は、『おはようございます』などの挨拶からはじめます。
日本語文章は、はじめは50音などの文字を勉強します。
日本映画は、ドラえもんや名探偵コナンを見る予定です。」
日本映画というと、ドラえもんなのか。
まああまり過激なものは良くないのでいいかもしれないな。
今の俺の質問への答えは、すでに生徒の半数くらいは、分からなかったようだ。
席順は毎日違うのだが、今日の隣の席はどうだろう。
隣を見ると、アラブ系のけっこう可愛い女の子だ。
たぶん今の話なんて、ぜんぜん分からなかっただろう。
いきなり、隣の女子が笑顔で話しかけてきた。
「日本映画ってドラえもんなんですね。
ちょっと子供向けだけど、あれは面白いですよね。
私は大好きです。」
げーっ、若造に聞かせてやりたい位のいい発音だ!
この娘に先生をやって欲しいよ。
「そうですね。
僕もドラえもんは大好きです。
がんばっていきましょう。」




