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生と死の狭間で  作者: border
5/9

4,恨み

さぁ、ここからどうしようか。



私は、身の前の椅子に座っている香音ちゃんに視線を移す。

すると、彼女も私を見ていたようで、ぱちりと目が合った。

そのまま、無言が訪れる。




その気まずい時をたったのは、香音ちゃんだった。


「おじさん、御手洗、どこ?」


「あ、あぁ、御手洗?部屋をでて、右の2番目のドアだよ。」


「解った。借りるね。」


「あ、うん」


香音ちゃんが出ていったドアを見つめる。

やはり、さっき感じた虚無感は勘違いだったのかと考えるほど、彼女は普通の女の子だった。

無言の間、困った様に視線を彷徨わせる姿も、御手洗の場所を聞く時ちょっと恥じらう姿も、年相応の少女そのものだった。



「おじさん、ありがと。」


ついびくり、としてしまう。いつの間にか、香音ちゃんが帰ってきていたようだ。

さぁ、とりあえず、彼女のことを知らなくては。


「えっと、自己紹介をお願いできる?」


「もちろんです!私の名前は…さっき言ったしいいや、歳は18で、孤児です。今の仕事に就いたのは、十年前ですね。」


耳に入ってきた言葉に思わず愕然とする。

この子は、8歳の頃から殺しをしていたというのか?

というか、なぜそんな小さい頃から殺しをしていたのだろう


「それじゃあ、今の仕事に就いた理由を教えてくれるかな?」


「買われたからです!」




「………は?」


買われた?こんなご時世にそんな事があるのか?

それに、殺し屋組織がこんな少女を、何故態々買うんだ?


そう考えていると、彼女は呑気に笑った。


「びっくりですよね、こんな時代に、こんな国で人身売買があるなんて。でも、事実なんですよね、孤児院の人間みんな殺したら、5000万払うからうちの組織へ来ないか?って!!住む場所も食べるものも無い身、そりゃあOKしかないですよね!」


「孤児院の人間みんな殺した?…どういうこと?」


「もー、おじさんは理解力がないなぁ、そのまんまだよ!私の事、みんながいじめるから、殺してやったの!」



あぁ、前言撤回。


彼女は、何も無い訳じゃあない。






彼女は、この世への恨みしか持っていないのだ。

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