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生と死の狭間で  作者: border
2/9

1,出会い

それは、葉が少しずつ色づき始めた、秋のことであった。



「火事だ!!」

「誰かが火をつけたんだよ、僕見たもん!」


熱気が周りを夏に逆戻りさせる中、野次馬が騒いでいた。

話が聞こえてくるあたり、どうやら放火魔が出たらしい。


まぁ、私には関係ない事だ。

私は、人でごった返している道路を避け、路地裏を通って帰ることにした。


たまに使う見慣れた路地裏に足を踏み入れる。

そこには、相変わらず缶やら煙草やらが、この煩い喧騒の中、我関せずといった様子でどっかりと座り込んでいた。


どんどん細い道を進んでいく。

そうすると、表の騒ぎ声が遠くなり、かわりに、聞こえることの少ない、静かな足音が聞こえた。


ほんの少し、好奇心が芽生え、その足音を追ってみる。

そこでは、まだ二十歳にもなっていないような少女が歩いていた。


彼女の背中を見つめていると、妙な考えが頭を駆け巡った。

証拠など何も無い、しかし、なぜだか私は確信していた。

つい、声に出してしまう。


「あそこの火事、君がやったんだろう?」


少女はゆっくりと振り返った。

その顔は、まだこの世界に降り立ったばかりの天使のように美しく、純粋であった。


あぁ、私は何を言ってるんだ。

こんな少女があんなことするはずがないじゃないか。

そう私が後悔している中、少女は、にこりと、寒気がするほど綺麗に笑って、言った。




「おじさん、だいせーかい!」

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