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僕の職業は不遇職!?  作者: ひろ
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第7話「別れ道」

いよいよ物語が動き始めます。やっぱり、バトルシーンは難しくてまだまだなれません…なにかご指摘要望がありましたら、遠慮なくコメントしてください。

 僕はいつも通り朝起きた。昨日のことを思い出すと、今でもあの胸の感触が…って、僕は何を考えてるんだ。雑念を振り払い、昨日プレゼントされた勾玉のネックレスを見る。簡単なデザインだが、効果は素晴らしいものだ。着けておこう。


「よしっと。これで装備されたのかな?そうそう死にそうになることなんて今はないと思うけど…まあ、念のために。僕は今死にたくはないからな」


 歩いていると、ばったり桜さんと会ってしまった。桜さんは昨日のことが恥ずかしいのか、もじもじさせながら潤んだ瞳で僕を見てくる。


(桜さんって天然なのか?これは破壊力がありすぎてやばい)


「あ、あの…昨日は恥ずかしかったけど、嫌じゃなかったから」

「え?嫌じゃないって…」

「ふぇ!?な、何でもないよ!」

「そ、そっか。それより、昨日はごめんね。あんな風に、その…触っちゃって」

「お、思い出すと恥ずかしいから、もうこの話は終わりにしよ!それより、ご飯食べいこ!」


 僕の手を取り、顔を赤くしながら食堂に向かうのだった。朝食を食べ終わると、団長が声をかけてきた。


「勇者諸君!君達もだいぶ強くなってきた。そこで、実戦として今からダンジョンに向かう。ああ、安心しろ、念のため私も騎士団数名と共に行くからな。では、準備しておくように」


 朝食の後解散すると、僕は部屋で準備をしていた。おそらくは簡単なダンジョンだが、油断は禁物だ。僕はこの手の小説を読み込んでいるため、数パターン展開を予想している。


(だいたいは、クラスの人がいじめっ子に魔法を当てられ奈落の底に落ちて行くパターンがある。そこで、力を経て強くなって行く…みたいな。毎回思うんだけど、よくそんな高さから落ちて生きてるよな)


 ま、さすがにこんなことは起きないか、なんて気楽な思考をしていた。この考えが後に後悔に繋がるとも知らずに…


 その後、広場に集まり説明を受けた。今回のダンジョンは予想通り、冒険者の初心者が腕試しで受けるようなダンジョンらしい。今の僕たちなら余裕で対処できる、とのことだった。僕は最後に、自分のステータスを確認した。



 名前 : キサラギ カエデ

 職業 : 銃士

 レベル : 1

 HP : 250/250

 MP : 1000/1000

 STR : 150

 INT : 100

 DEX : 100

 AGI : 200

 LUK : 50

【スキル】

 鷹の目・銃術・魔力調整・短剣術・気配察知・身体強化

【固有スキル】

 真魔眼

【加護】

 創造神の加護


 あれから増えたものと言えば、身体強化だ。颯太との一戦の後、僕も何となく魔力を全身に巡らせたら出来てしまった。それから練習も重ね、今ではスムーズに使うことができる。


「さて、集まったな。では、これからダンジョンに向かう。始まりのダンジョンだとしても、油断はしないようにな!では行くぞ」


 しばらく歩き、目的の場所に着いた。まんまダンジョンって感じだ。少し感動していると、颯太が声をかけてきた。


「おい、ダンジョンだぜ。宝とかあるんじゃね?」

「あるわけないだろ。ここ、初心者用のダンジョンだし。実戦訓練だ」

「だよなー。よし、早く強くなってお宝探しにダンジョン行こうぜ!一緒にさ」

「それもいいな。まあ、考えとくよ」


 そんな風に軽口を叩きながら、僕たちはダンジョンの中に入っていった。その後は、欠伸が出るほど退屈だった。なにせ僕たちの一撃だけで倒れていくし。そのおかげで少しはレベルが上がった。


(はぁ…勇者っていうのは、こんなに強いもんなのか?それとも、ここが相当弱い魔物しか出ないとか)


 少し気落ちしながら、奥に進んで行く。僕は完全に油断していたが、急に嫌な予感がした。この奥は…危険な香りがする。気がつくと、広い部屋のような場所に来ていた。


「ここは…こんなところあったか?」

「いや、俺は知らないぞ。まあダンジョンなんて何が起こるか分かんないし、こんなこともあるだろ」

「しかし、ここ広いな。何の空洞なんだ?」


 騎士の話からすると、どうやらこれはイレギュラーな事態らしい。そして、僕の予感が当たったかのように、そいつは現れた。


「うわぁぁぁ!?な、なんだこいつ!」

「な、何よこれ!?いやぁぁぁ!」


 前の方から叫び声が聞こえた。事態を把握しようと、前の方に行ってみるとそこには、無残にも爪に貫かれている騎士の姿があった。


(何だこいつは…!?騎士団が一瞬でやられた!?くそっ、どうなってる。いや、ここは冷静になれ。落ち着くんだ。ひとまず、情報を得よう)


 そして、僕は魔眼を発動させた。そこには、圧倒的な数値が浮かび上がった。


 名前 : キマイラ

 レベル : 80

 HP: 5000/5000

 MP : 1500/1500

 STR : 1200

 INT : 900

 DEX : 880

 AGI : 750

 LUK : 200

【スキル】

 雄叫び・雷魔法・弱体無効・雷耐性・雷撃爪

【固有スキル】

 怒りの一撃


(攻撃力が高いな…一撃貰ったらやばそうだ。そして、気になるのは固有スキル。魔物で固有スキルを持っているとはな)


 怒りの一撃 : 怒りに任せて、攻撃を放つ。怒りの段階によって威力が異なる。


 厄介なスキルを持っているな。それに、魔法まで使えるとは。とてもじゃないが、今の僕では太刀打ちできない。それは、他の勇者だって同じだ。


「撤退だ!逃げ道は俺たちが作る。だから、君達は来た道を引き返せ!!」


 団長が言うのをきっかけにして、我先にと出口を求めて駆けて行く。自分の命がかかっているため、他の人にまで気が回らないのは当たり前であった。運悪く桜さんが誰かに当たり、こけてしまった。


「きゃっ」

「桜さんっ!そこは危ない、早く逃げて!」

「う、うん…でも、足が…」


 よく見ると、足を痛そうに抑えている。今ので足を痛めてしまったようだ。僕はすぐに駆け寄り、桜さんを抱き上げた。いわゆる、お姫様だっこと言うやつだ。


「ひゃっ。か、楓君?」

「ごめん、今は非常事態だ。大人しくしててね」

「は、はい…大人しくしてます」


 ぎゅっと僕に抱きついてくる。その際に、その大きな胸が押し付けられたが、今そんな事を考えている場合ではない。消えろ、煩悩!


 団長を筆頭に、騎士数名がキマイラを足止めしている。相手が圧倒的に強いためか、なかなかダメージが通らないみたいだが、こちらも上手く連携して対処している。と、その時キマイラが僕たちを標的にして動いた。


(くっ…避けきれない…!)


 思ったよりもキマイラが早く、僕たちの目の前で攻撃モーションに入った。もう回避するのは手遅れだ。なら、せめて桜さんだけでも守ろう。そう考え、桜さんを後方に投げる。


「か、楓君!?ダメ!いやぁぁ!」


 そうして僕は左肩をキマイラに貫かれる。初めて貫かれた痛みにクラクラしながらも、僕は倒れそうになるのを我慢し、右手に持っていた銃を無造作に抜き放った。運良くキマイラの目に当たり、暴れ出した。


「ざまーみろ…!ごほ、ごほ…くそ、まずいな」


 もう左腕は上がらない。さらに、この出血量は以外とまずいかもしれない。桜さんが足を引きずりながらもこちらに来ようとしていた。


「だ、ダメだ桜さん…君は早く逃げるんだ」

「逃げるなら楓君も一緒…!今行くねっ」


 そう言って、僕の側まで来ようとしたその時。キマイラが咆哮を上げた。


 グォォォォォ!!!


 キマイラに禍々しい魔力が集まっているのが見えた。どんどんそれが大きくなっていく。


(固有スキルか!?だが、まだ大丈夫なはずだ。どうやら溜めが必要みたいだからな。今すぐ撤退すれば何とかなる)


「団長ー!今すぐ撤退を!あれはマズイです!」

「分かっている!今そちらに向かう、待っていてくれ!」


 今、位置的には僕が一番キマイラに近い。さらに、肩の傷のせいで上手く身体を動かせない。そして、キマイラのチャージは僕の予想よりも早かった。キマイラが攻撃を放とうとしたその時、いきなり床が崩れ落ちた。


(なるほど…団長たちの戦いと、さっきの暴れていたので限界を迎えたのか。それにしても…落ちるのが僕だけでよかった…)


 落ちる瞬間、桜さんの悲痛な叫び声を聞いた。どうやら、崩れたのは僕とキマイラを含むほどの範囲だけだ。団長たちも無事みたいだ。


 キマイラが落ちながらこちらをにらめ付けてくる。目に当てたせいで怨みを買ったらしい。それより、僕も落ちながら銃を構える。


「さて、ここはお前と2人きりだ。どうせ死ぬならお前を殺してから死んでやる」


 そして、僕は銃に魔力を込める。僕の魔力量限界までだ。銃を見ると、ピキピキとヒビが入っていた。魔力に耐えきれていないようだ。


「この一発はもってくれ…!くたばれぇぇぇ!」

「ガアァァァ!」


 僕が全力で撃った魔力と、キマイラの爪が衝突する。爆発が起き、僕は真っ逆さまに下に落ちる。銃も砕け散り、バラバラになってしまった。


(桜さんは無事出られたかな…颯太のやつも無事だといいが。はぁ…まさか、貧乏くじが僕だったなんてな。アレはフラグだったか…)


 そんな事を思いながら、僕は底の見えない奈落にどんどん落ちていく。そして…意識を手放した。

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