第6話「颯太VS楓」
いよいよバトル回です!バトルの描写が難しすぎて、上手くいきませんでした。これからも頑張って書いていきますので、コメント等がありましたらいつでもお待ちしています。
訓練開始日から早いもので1ヶ月の時が過ぎた。さすがに、この頃にはクラスのみんなはこの世界にも馴染んでいるようだ。僕のクラスメイト達は、それぞれ訓練を経て強くなっていた。もちろん、僕もその一人なのだが。
「ふぅ…今日の訓練も終わりかな。だいぶ銃の扱いにも慣れてきたし、模擬戦でもしたいところだ。後は、密かに接近戦用に鍛えてきた短剣の腕も確かめたいところだな」
僕は銃だけの戦い方だけでは危険だと感じた。なにしろ、魔力が尽きたら何もできなくなるのだから。そのため、短剣の扱いを学び、今では銃同様に使いこなせるようになっていた。
「でも、やっぱりレベルだけは魔物を倒さないと上がらないみたいだな。スキルは何個か覚えたみたいだけど」
僕が覚えたスキルは、短剣術と気配察知だ。短剣術は、短剣の扱いが上手くなるスキルで、この気配察知は意外と便利だ。不意打ちを防げるし、意識すればどこに人がいるか感じ取れる。
「それにしても、この銃はどのくらい魔力を込められるんだろう?限界まで込めたら爆発しそうでまだ試したことはないけど…まあ、少し込めても威力は出るし、気にしないでおこう」
一人で考え事をしていると、颯太が近くに来た。颯太の顔を見て、僕は良いことを思いついた。
「ねぇ颯太。模擬戦やらない?」
「あ?模擬戦だぁ?まあ、暇だし俺は構わんが…何かかけるか?」
そう言って颯太はニヤリと笑った。そっちがそのつもりなら、僕も容赦はしない。
「なら、夕飯のおかずでもかける?」
「お、それいいな。そうしようぜ!」
早速僕たちは少し離れたところに来て、間合いを取った。この異世界に来て、バトルらしいバトルは初めてだ。颯太のやつ、どのくらい強くなってるのか、確認しておこう。僕は魔眼を発動させた。
名前 : シバ ソウタ
職業 : 剣豪
HP : 450
MP : 250
STR : 420
INT : 370
DEX : 350
AGI : 320
LUK : 300
【スキル】
剣術・身体強化・剣速・気配察知・火魔法
【固有スキル】
なし
【加護】
なし
こんな感じのステータスだった。だいぶ僕より強いみたいだ。分かってたし、悔しくなんてないさ。それよりも…やはり、魔法は覚えてるな。それと、身体強化か。
身体強化 : 魔力を使い、全ステータスを一時的にアップさせることが出来る。なお、魔力は一定時間ごとに消費される。
魔力が多い僕には便利そうなスキルだ。後で頑張って覚えよう。このスキルを覚えてる時点で、ちょっと僕に不利だと思うんだが…気のせいだろうか。それはそうと、僕も進化したスキルがある。それは、魔眼だ。
真魔眼 : 相手のステータスや物の情報を読み取れる。さらに、魔力を込めることで相手の動きを先読みすることが出来る。
おそらく、これは某忍者漫画のキャラクターが使用していたあの眼みたいなことが出来るのだろう。少し楽しみになってきたな。
「おい、黙り込んでどうかしたか?それよりも、なんか眼赤くねえか?」
「え?あ、ああ大丈夫だ。この眼は気にしないで」
新事実が発覚した。どうやら、魔眼を使うと眼が赤くなるらしい。使用する時には気をつけないとな。
「じゃ、早いとこ始めますか!」
「ああ、始めるとしよう!」
僕たちはお互いに武器を構えた。颯太は剣を構え、僕は短剣を左手に持ち、銃を右手に構えた。僕がこの1ヶ月で編み出した、オリジナルの構えだ。
「面白い構えだな。だが、俺の速さについてこれるか?」
「そのセリフ、そっくりそのまま返してやるよ。さあこい!」
先手を取ったのは颯太だ。予測はしていたが、思ったよりも速い…!僕はとっさに剣をしゃがんで回避し、短剣で斬りつけたが剣で防がれてしまった。
「思ったよりも速くてビビったぞ」
「そっちもかわすなんてやるじゃないか。だが、これでどうだ?」
そう言うと、颯太の剣が熱を帯び始める。まさかこれは…火魔法の応用か?くそっ颯太のやつこんなことまで出来るのか。僕は一旦距離を取るために、後ろに思いっきり跳躍した。
「それ、火魔法か?そんなことまで出来るなんてな」
「お、バレちったか。その通り、これは火魔法さ。炎の剣ってところだな。後、距離を取っても…無駄だぜ!」
そう言って、一瞬で距離を詰められる。これは、どうやら身体強化を使ったようだ。先ほどよりもだいぶスピードが上がっている。僕はとっさに真魔眼を使い、颯太の動きを先読みし、なんとか回避することに成功した。
「お、またかわされたか。これは当たると思ったんだがなぁ。おかずがかかってるんでな、俺も本気でやるぜ」
「おかずそんなに渡したくないのかよ…いや、それよりもそんなに油断してていいのかなっ…と!」
僕は今まで使ってなかった銃を瞬時に抜き去り、魔力を込めて放った。完全に不意をついた一撃だったが、颯太は間一髪でかわしていた。
「ちっ…当たらなかったか」
「うぉぉおぉ!?あ、あぶねぇ…完全に銃のこと忘れてたぜ」
「よくよけたな。褒めてやるよ、颯太」
「いや、話しながら無造作に撃つのやめろよ!?」
2発続けて放ったのたが、難なくかわしていく。一応かなりのスピードなんだが、どんな反射神経してるんだこいつ。これもステータスの差かね。
「それより、火魔法は普通に使わないのか?」
「いや、俺あんまり魔法上手く使えなくてな。まださっきやったみたいなことしかできん」
どうやら、颯太もあまり魔法に才能はないみたいだ。少し仲間がいるみたいで嬉しい。まあ、僕は何にも使えないけどな。
そして、初めて長時間魔眼を発動させているが…案外きついな。まだ魔力容量が少ないせいか、少しふらふらしてくる。銃も合わせて使ってるし、すこし確認してみるか
MP : 650/1000
このまま使い続けるとぶっ倒れそうだ。早めに決着をつけないと。それに、颯太のやつもこのままいけば魔力切れになるだろう。だから、僕の魔力が切れる前に…倒す!
「いくぞ、颯太ぁぁぁ!」
「こい、楓ぇぇぇぇ!」
いつの間にか熱くなっていた僕たちは、そのまま互いの全力を出して戦った。しばらく経って、僕たちは同時に倒れていた。いわゆる、ドローというやつだ。
「はぁはぁ…お前、あそこで普通銃撃つか?あんな至近距離で…おかげで俺たちボロボロだぞ」
「う、うるさい…ごほっ。ああしなきゃ僕の負けだったんだ」
そう、最後の一撃の時。颯太が僕の間合いに入り剣で一閃をしようとしていた。僕は残りの魔力を注ぎ、捨て身で銃を撃った。僕の弾と颯太の剣が衝突し、軽い爆発の後、僕たちはそろって吹き飛ばされたのだった。
「それにしても…この前まで高校生だったのに、今はもう勇者だもんな。しかも、こんな戦いも出来るようになって…なんか、アニメの中に入ってるみたいだぜ」
「僕だってそう思うよ。でも、せっかく異世界に来たんだ。魔王はいるけど、楽しもうと思う」
「さすが楓だな。まあ確かにそっか…俺も楽しませてもらうか」
僕たちはお互いに顔を見合わせて笑った。ボロボロだったけど、なんかこういうの青春って感じで好きだ。それに、不遇の職業だって…戦えた。少しは自信を持てた。もっと強くなって、異世界を満喫しよう。
その後、桜さんが来てかなり驚かれた。事情を説明したら、納得はしてくれたものの、お説教をもらいました。でも…桜さん怒ってても可愛いから、役得かななんて思ってたり。とにかく、僕たちは桜さんに治癒してもらいながら、体を休めていた。
身体が動くようになってたから、3人で食堂に向かった。異世界でも、こういう日常はあまり変わらないんだな…と、そんなことを思いながら、満足した1日を送るのであった。