第5話「初めての武器」
やっと次で物語が進みます。もう少しお待ちください。あと、ところどころ読みにくいところがあったり、拙い文章があると思いますが、温かい目で見てくれると嬉しいです。
食事を取り、部屋でごろごろしていると誰かがノックをしてきた。とりあえずドアを開けると、そこには颯太と桜さんが立っていた。僕は颯太達をひとまず部屋の中に入れた。
「何か用事?まあ、僕は見ての通り何もやることないけどさ」
「いや、俺は単純に暇だったし、これからのことを確認しようと思ってな。春風さんとはそこで偶然会ったってわけだ」
「こんばんは、楓君!よかったらお話ししない?」
僕としてもこんな異世界で一人きりなのは少し気が滅入る。ここは、颯太達と話でもしておこう。
「そういえば、颯太や桜さんはステータスどうだった?他の人がどうかわかんないから、自分のステータスが強いのかいまいちわからん」
「ああ、俺は平均して400前後かな。MPは250って感じで少なかったけど」
「私はえっと…平均で200前後だったよ。MPは500くらい。これっていい方なの?」
「………」
ちょっと待って欲しい。まだ颯太のステータスは分かる。なんか剣豪らしいし、そのくらいは許容範囲だ。だけど、桜さんは聖女だろう?回復職らしいし…え?僕は回復職のステータスに負けてるの?
「で、楓はどうだったんだ?さすがに戦闘職だし、春風さんよりは高いんだろ?」
「あ、ああ…僕は平均で300前後かな」
言えない…まさか、桜さんより低いなんて言えないだろ。いいんだ、僕はレベルを上げて強くなっていけば。僕には創造神の加護がついてる!大丈夫さ!そんな風に気持ちを切り替えて、颯太達と話し、夜が更けていくのだった。
翌朝、目がさめるとふかふかのベッドの上にいた。あれ?ここはどこだ…そう思い、昨日の記憶を探るとここは異世界と言うことを思い出した。夢じゃなかったんだよなぁ。あまりに現実離れしていて、未だに信じられないよ。
「っと。そんなことより、今日は何するんだろ。とりあえず着替えだけ済ましとくか」
準備をしたところで、ちょうどメイドさんが呼びに来た。メイドさんに案内され、昨日と同じ所で朝食をとることになった。ちなみに、このメイドさん普通に美人だ。異世界って可愛い人や美人な人ばかりなんじゃないだろうか。
朝食を済ませると、桜さんが近くに来た。今日の服装は白のカーディガンに紺色のミニスカートだ。可愛かったので、つい見とれてしまった。
「おはよ、楓君。あれ?どうかした?」
「い、いや何でもないよ。それより、今日は何するんだろう」
「うーん、私もよくわからないけど…楓君なら分かるかなって。ほら、楓君って異世界物の小説とか詳しいんだよね?」
「…それ誰から聞いた?」
「えっと、志波君から」
あの野郎…!後で一発お見舞いしてやる。まあ、桜さんに僕の趣味がバレた所で別にいいんだけど。言いふらさないだろうし、桜さんなら信用できる。
「そうだな…テンプレだと、この後は騎士みたいな人が来て僕たちの訓練でもするんじゃないか?ほら、それぞれ職業はわかったし」
「あ、そっか。私って聖女なんだけど何するんだろ」
「桜さんは多分魔法の訓練かな。回復魔法とかさ。僕は魔法使えないから、少し羨ましいよ」
「楓君には楓君にしか出来ないことがきっとあるよ!大丈夫、私だって剣持って戦うとかは出来ないから、気にしない気にしない」
そう言って、僕を慰めてくれた。桜さんって本当優しいよな。可愛いし性格いいし…これが天使というやつか。まあ実際天使みたいな子だよな、桜さん。
「勇者諸君!お集まりかな?私は騎士団団長のリーン=フォレストだ。これから君達に訓練をしてもらう。もちろん、強制はしないしきつくなったら休んでも構わない。力を貸してくれる者だけついて来てくれ」
なんだかんだで、僕のクラスは全員でついて行くことになった。まあ、ここで一人外れた所で何もすることないしな。人間って言うのは流される生き物だと聞いたことがある。訓練場に着いた時、団長のリーンさんが声をかけた。
「この中から自分に合う武器を選んでくれ。手に馴染む物がいいと思うぞ。ああ、それとカエデ殿はこちらに来てくれ」
僕だけ別なのか?そう疑問に思いながらも、ついていった。そこには随分と埃をかぶった箱があった。
「あの、この箱は何でしょう?随分と古いようですが」
「すまない。この中に君の武器が入っている。ここ最近は銃士の職業の者がいなくてな。武器等は他の場所に保管していたんだ。このような武器で申し訳ない」
「いえ、そう言うことなら大丈夫ですよ。とりあえず選ばせてもらいますね」
箱を開けると何種類かの銃があった。いくら不遇の職といっても、やっぱり銃はカッコいいな。さて、どれにしよう。あ、この黒いの手に馴染むしこれにするか。僕が手に取ったのは、コンパクトで警察がもっていそうな銃だった。
「これにします。僕は銃に詳しくないのでよくわかりませんが、手に馴染んだので」
「そうか。ならばそれにするといい。さて、他の勇者達も選び終わってるからだろうし、戻るか」
訓練場に戻った後、僕たちは団長の指示に従い武器を持ち訓練した。他の騎士の人達からそれぞれ見てもらっていたが、生憎と僕の職業の人はいないみたいだ。そのおかげで、僕だけ自主練なんだけどね。
「てか、これどうやって撃つんだよ。魔力を込めるとか言ってたけど…こうか?」
僕は何となく銃に力を込めるようにして握ってみた。すると、銃が光り僕の体から少し力が抜ける感覚があった。これは成功したのか?とにかく確かめてみよう。
MP : 900/1000
100ほど減っていた。どうやら上手くいったようだ。よし、これで後は引き金を引くだけか。そう思い、とりあえず近くの的に狙いをつけて撃ってみた。
ドォーン!!
…ん?なんか的が木っ端微塵になったぞ?もしかして銃士って攻撃力は高いのかな?それとも…魔力を込めすぎたか。周りを見ると、騎士の人が唖然として僕をみていた。やばい…やりすぎたか。
「こ、これは…カエデ殿、なにをしたんだ?」
「えっと、普通に銃を撃っただけですけど…ダメでした?」
「いや、ダメではないが…普通に撃つだけではこうはならん。何か特別なことはしたか?」
「そうですね、魔力を込めすぎたのかもしれません。初めてなので、適当にやったら出来ました」
「適当にやってできるものでもないのだが…ふむ、カエデ殿には銃士としての才能があるかもしれんな。よかったな!」
と、その時頭の中にメッセージが浮かんできた。【魔力調整】を覚えました。なんだこれは。確認してみよう。
魔力調整 : 魔力の扱いが上手くなる。このスキルが進化するごとに度合いが変化する。
なるほどね。つまり、僕が銃に上手く魔力を込められたからこのスキルを覚えたわけだ。…スキル覚えるの早くない?そんなものなのかな。
そんなこんなで、訓練の日々が続いた。そして、この後の出来事が僕の運命を大きく変えることになるとは、この時の僕には予想できなかった。