第13話「覚悟」
お待たせしました。また短くて申し訳ありません。
僕は草むらから飛び出した。今まさに盗賊たちが女の子に襲いかかる寸前だったが、牽制の1発を盗賊たちの足元に放った。
「おい、お前ら。その女の子を放せ」
「あ?なんだお前…急に出てきて、お楽しみ中なのがわかんないのかなぁ!」
「兄貴!こいつ殺っちまいましょう!」
「ああ、そうだな。この生意気そうなガキをさっさと殺してしまおう」
僕は女の子の方を見た。その女の子は震えながら、不安げな表情をしていた。落ち着かせるために、その女の子に微笑みかけ、戦闘態勢をとった。
「お前ら外道に容赦はしない。一瞬でやってやるよ」
「へっ!その減らず口をいますぐ閉じさせてやんよぉ!」
盗賊たちは一斉に斬りかかってきた。統率がとれた行動とは思えない。僕は瞬時に銃に魔力を込め、見えない速度で抜き放つ。
「かはっ…ば、ばか…な…」
「こ、こんなことが…俺達が、こんなガキ…に…」
盗賊たちは何が起こったのか分からないような顔をして、息絶えた。僕はその様子を見て、一瞬吐き気がしたが、堪えて女の子の方に向かう。その前に、イヴが話しかけてきた。
『おい…大丈夫か、マスターよ。初めてだったんじゃろう?もう少し休んだ方がよい』
「いや…大丈夫だ。それより、あの女の子を保護しないと」
『まったく…マスターは本当に優しいんじゃな。だが、自身の身体のことも考えるのじゃぞ』
「ああ…わかってるよ。ありがとな」
今は自分のことより、助けた女の子の方が優先だ。とにかく、話しかけてみるとするか。
「えっと…大丈夫だったか?」
「は、はい。助かりました、ありがとうございます。わ、私はラフィって言います!」
「僕はカエデだ。それよりも、どうしてこんなところに?」
「そ、それはその…ちょっと学校から課題が出たので、それを終わらせに…」
ラフィの格好を改めて見る。ハーフパンツに、ラフなシャツ、その上から申し訳程度の防具をしている。とてもじゃないが、冒険者には見えない。
「それでこんな森に?危険じゃないのか?」
「あ、ここはトキワの森と言いまして、魔物が滅多に出ないんです。出たとしても、力が弱いしいので…その、逃げきれるかなって」
「で、運悪く盗賊たちに狙われた、と」
「うぅ…その通りですぅ」
いくら魔物が出ないとはいえ、盗賊たちに狙われていては本末転倒だ。そもそも、女の子一人でこんな森にくること自体危険である。
「はぁ…まあ、とにかく無事でよかった。良かったら街まで送ろうか?」
「え?いいんですか?その…一緒に来てくれると嬉しいです。お礼もしたいですし…」
少し顔を赤らめながら言っている仕草に、ドキッとした。改めてよくみると、とても可愛らしい顔をしている。それに、胸も程よく膨らんでおり、身長はやや低めだが、美少女と言える女の子だった。
「あ、ああ…僕もちょっと迷ってたし、どちらかと言うと街まで連れて行ってほしいかな?」
「わ、わかりました!じゃあついてきてくださいっ」
その女の子…ラフィは元気よく歩いていく。その後を追いかけるようにして歩く。こうして、運良く会えたラフィと共に久々の街までいくのだった。