第12話「ダンジョンでたらそこは森」
長い間更新出来なくて、申し訳ありません。ようやくひと段落ついたので、また更新していきます。今回は短いです。
僕が目覚めたのはそれからしばらく経ってからだった。またしても柔らかい膝の上だ。このまま寝ていたい気もするが、一刻も早くこのダンジョンから出たいために、なんとか起き上がる。
「ふぅ。だいぶ回復したな。ありがとう、イヴ」
「礼など良い。当然のことじゃ。それより、これからどうするのじゃ?」
「とりあえず、ここから出よう。やっとあの装置を調べられるんだ、こんなところ早くおさらばした方がいいだろう」
そう言いながら、僕はその装置に魔眼を使い調べてみた。どうやら一定量の魔力を送ることで起動するらしい。僕の魔力も多少は戻ったし、起動してみよう。
「よし、起動するぞ。準備はいいか?」
「うむ、いつでも良い」
「それじゃ…よっと!」
魔力を込め始めると、地面に魔法陣が描かれ始めた。しばらくすると辺りを覆い尽くすほどの光に溢れ、僕の視界を埋め尽くしていった。いや、正確には僕の視力を奪い去った。
「目がぁぁぁぁ!!おい、何も見えないんだが!?」
「落ち着け、マスター!しばらくすれば治る!」
「ていうか、イヴは知ってたのか!?教えろよ!」
「すまん、すっかり忘れておった。そろそろ視力は戻るはずじゃぞ?」
すぐに僕の視力は回復していった。この魔法陣、初見の人が見たら文句言うだろうな。なんでこんな仕様なんだよ。僕は心の中でそう思っていた。
「で、無事に地上に出れたのか?」
「それは心配ない。ほれ、空を見よ。青空じゃ!」
「はぁ…やっと戻ってこれた。あれから何日経ったんだ?その前に、この場所はどこなんだろう」
ひとまず僕は近くに町がないかを探してみる。食料もないわけだし、早めに町かどこかにやった方がよさそうだ。ここはどうやら森の中のようだ。
「森か。うーん、よくあるテンプレだと誰か人が襲われてて、それを助けて町まで送ってもらうって言うのがあるんだけど」
「そう上手くいくかのう。人生そう甘くはないぞ」
「まあそれはそうだけど…ほら、案外起こる確率もあるかもしれない」
「何を根拠にしておるのじゃ…まったく、ひとまず進むかの?」
「そうするか。よし、イヴは銃の形態になってくれ」
その森を僕は注意深く進んでいく。見渡す限り木が生えており、街が見えてくる気配はない。時折、何かの鳴き声が響き渡る中、ひたすらに歩き続ける。
「うーん…何も起こらない」
「ほれ、言った通りであろう。して、どこに向けて歩いておるのじゃ?」
「いや、適当に。行くあてもないし、どうするかな…」
当たり前だが、ただ歩いているだけで何も起こらない。それどころか、喉が乾き空腹も感じてきた。空を見上げ、途方に暮れる。その時、女性の悲鳴のようなものが聞こえてきた。
「今のは…何かあったのか?」
「ふむ…一応、見に行って見るかの?」
「ああ、魔物に襲われていたら大変だ。様子を見に行くぞ…!」
木々の間をすり抜けていき、すぐにその場所についた。そっと覗くと、そこには盗賊に襲われている女の子がいるのが見えた。盗賊の話し声が聞こえてくる。
「おい、こいつは上玉だ。俺らでヤっちまおうぜ!」
「そりゃいい親分!あっしらにも後でやらせてくださいよォ!」
「わかってるって!まずは、俺からだ」
一方で、女の子の方は絶望の表情をしていた。画面蒼白で、ポロポロと涙を流している。
「こんなことになるなら…こんな人達に初めてをあげたくない…いやぁ…」
もう我慢の限界だ。僕は銃形態のイヴをにぎりしめ、強く思う。あいつらは、生かしておけない。僕が…ここで、始末する。
「いくぞ、イヴ。あの女の子を助ける」
『やれやれ…マスターならそういうと思ったぞ。しかし、人じゃぞ?殺れるのか?』
「確かに人だ。でも…あいつらは、人の皮を被った外道だ。しかもあんな女の子を…!」
『マスター、怒るのはいいが冷静にな。戦闘では、冷静になれない奴から死ぬのでな』
「ああ、分かってる。じゃ、いくぞ…!」
人を殺すのは初めてだ。だが、やるしかない。さあ、戦闘開始だ。